特集・インタビュー
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2020年にトップクリエイターたちの手で初舞台化された、舞台『ねじまき鳥クロニクル』が今年11月7日(火)より東京芸術劇場プレイハウスにて再上演いたします。
村上春樹の代表作を、イスラエルの奇才と呼ばれるインパル・ピントが演出・美術・振付・衣裳を手掛けた本作。村上春樹の世界を‟誰も思いつかない形″で表現した唯一無二の舞台空間は、演劇ファン・文学ファンからも絶賛の声が多数寄せられました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって、初演時は公演期間の短縮を余儀なくされました。
今回の再演にあたり、より広く、より多くの方に本作の魅力を知っていただくために、一般&学生の方から‟ねじまきレポーター″を募集!
‟ねじまきレポーター″の皆様には、実際に稽古場へお越しいただき稽古場レポートを作成していただきました!是非ご覧ください。
レポーター:sumika
▼イラスト稽古場レポート/作:sumika
気がつくと私は夢中でダンサーの身体をデッサンしていた。
2023年の10月某日都内某所にて
舞台「ねじまき鳥クロニクル」の稽古を見学した。
株式会社ホリプロから“ねじまきレポーター”に任命されたためだ。(村上春樹ファン32年、重めの原作ファン)
今作は2020年の上演作品の再演。
初演はコロナ禍で観劇出来ず、満を持しての観劇となるので春樹ファンとして非常に楽しみにしている。
今日は「振付day」という事らしい。
インバルさんが一人一人ダンサー(特に踊る)へ振付していく。
※演じる・歌う・踊るのみなさんの出番はなし
当初、3時間の見学の予定だったがホリプロさんのご好意で「もし、お時間が大丈夫なら区切りのいいとこまで…」とさらに1時間ほど延長して見学できた(とても幸運なことに)。
夢中でデッサンし、クロッキーのようなメモ書きは最終的に27枚に!
レポーター:arida
誰もが「感じるままに見ることで想像力と五感が満たされる」豊かな作品
少し前に、株式会社ホリプロに依頼され『ねじまき鳥クロニクル』の宣伝に協力するため「ねじまきレポーター」として稽古場見学に行って来ました。
この日の「ねじまきレポーター」は私を含め4人、お母様の影響で子どもの頃から観劇をしていたという高校生、30年来のハルキストさん、成河くん大好きさん、そして志望動機に「2012年にミュージカル『100万回生きたねこ』でインバル・ピントさんを知って以来その世界観に魅了され大好きになり〜(以下省略)」と書いた私の4人です。
前置きが長くなりましたが、この日の稽古場メニューは舞台『ねじまき鳥クロニクル』になくてはならない<特に踊る>人たち(加賀谷一肇さん、川合ロンさん、東海林靖志さん、鈴木美奈子さん、藤村港平さん、皆川まゆむさん、陸さん、渡辺はるかさん)の二つの場面でした。
稽古場はすでに本場さながら八百屋舞台の傾斜がついていました。私たちは皆さまの視界に入らないよう上からの見学です。初演を観ていたのは私だけだったので、セリフのない抽象的な場面な上、まちまちの稽古着で、色のない稽古場での稽古風景に3人から戸惑いも伺えました。
レポーター:さんふら
特に注目したのは「インバルさんの舞台の作り方」
この日見学したのは、“特に踊る”方々のダンスの稽古です。プールのシーンとホテルのシーンの2つを見ることができたので、その様子を稽古場の雰囲気とともに分かりやすくお伝えできればと思います。
稽古場に入って目に飛び込んできたのは大きなセット。今回は再演のため、初演で使用したセットをそのまま稽古場に持ってきて使用しているそうです。より舞台感が増して気持ちが高まります。では早速、稽古をしている様子を見ていきたいと思います。
まずはプールのシーンから。今回は再演ですが、このシーンは今回の公演のために一から新しくしたシーンだそうです。はしごが付いているプールサイドを模したセットを使って、プールサイドと水中とを表現していきます。ねじまき鳥クロニクルでは、「水」が大きなキーワードとなっていますが、舞台上では水なしで、踊りのみでプールを表現する必要があります。はしごの降り方や足を開いて移動する角度まで細かく稽古していきます。踊る方々それぞれが異なる動きでプールを表現していたことが印象的でした。また、はしごを降りる動きひとつとっても違う形で表現していたり、ねじのような動きも取り入れられていたり・・・と表現の幅広さに驚かされました。一連の流れを確認しようと通しを始めようとすると、今日は予定には入っていなかったものの、稽古場に来ていた渡辺大知さんもここに参加!音声に合わせて通しをやる中、歌を口ずさむ姿も見ることができました。渡辺さんのように、稽古のない日でも稽古場に訪れる出演者の方は多いそうです。
レポーター:げそ@虹色のシャボン玉宇宙まで飛ばそう
一瞬の場面を何度も試行錯誤しながら創り上げていく過程を見学
観劇が大好きで、ミュージカルや演劇をたくさん観に行く私。同じ作品に何度も足を運び、その度に新
しい発見や感動を見つけ、気付けば完全に観劇オタク笑。そんな私の「X(旧Twitter)」に舞台「ねじまき鳥クロニクル」の稽古場に潜入し、稽古場レポートを募集する案内情報が流れてきた。本編を観ることはもちろん好きだが、アフタートークや舞台見学など、俳優さんや演出家などの話を直接聞ける機会は、とても興味深い。ただ、平日が仕事の私にとって、そのような機会は少なく、今まであまり行くことができなかった。しかし、今回の企画は土日に行われるため参加が可能だ。しかも、稽古場に行って実際に練習をしている姿を見ることができるのだ。劇場ではなく、稽古場。きっと今まで見てきた世界とは違う何かを知ることができるのだ、と考えただけでわくわくしてしまう。そもそもオタクなら誰もが憧れる稽古場に足を踏み入れることなんて、こんなチャンスなど滅多にあるはずがない!と、初演のねじまき鳥クロニクルの公演を観ていないにもかかわらず、志望動機をつれづれなるままに書いたところ、念願が叶い#ねじまきレポーター になることができたのだ。
かくして向かった稽古場、そして稽古風景は、このようなところでした。。。。
レポーター:北澤和也
舞台について語るときに
真の村上主義者は、原作が舞台化されても観に行かない一
というのは真っ赤な嘘だ。私が村上さんのエッセイから一文をもじらせていただいた。
結論からお話すると、原作を読んだ方には舞台を是非観ていただきたい。これ、絶対おもしろいやつ!である。これまで文章(自分の感覚)で読んでいた内容に動きと音が加わることにより、当然ではあるがよりリアルに感じることができるようになる。
勿論、原作を読んだことがない方にも舞台を観ていただきたい。一つの作品として、役者の皆さんの演技、ダンス、演奏、舞台のセット、全てを楽しめるはずである(舞台稽古では演奏を聴くことはできなかったため、あくまで推測。あの空間に素敵な演奏が加わったら…と期待してしまう)。
私自身は真の村上主義者であるため、舞台は観に行く予定がなかった。
株式会社ホリプロから“ねじまきレポーター”に任命されて、舞台稽古を観せていただくまでは。
これから記載する内容は、これまでに舞台を一度も観たことがない、ごく普通の会社員が、舞台稽古を初めて拝見して感じたことである。私が記載した内容をご覧になっていただき、一人でも多くの方が「お、観てみようかな」と思っていただけたら、これ以上の喜びはない。
レポーター:遠藤玲奈
言語の壁を越えた共同作業
株式会社ホリプロから“ねじまきレポーター”に任命され、『ねじまき鳥クロニクル』の稽古を見学しました。芝居は生ものだとよく言いますが、それは稽古の段階でも言えることで、稽古場で色々な物事が徐々につくられていく様子を見ることができました。この点について、興味深いと思ったことを場面ごとに書いていきたいと思います。
まず見学したのは、井戸の中で考え事をしている岡田トオルに対して、笠原メイが上から話しかける場面です。トオルを演じる役者は成河さんと渡辺大知さんの二人ですが、ダブルキャストではないと聞いていたので、どのように演じ分けられるのか、気になっていました。この場面では、二人の役者が手足を絡めて、二人一組でトオルを演じていました。その状態から、少しずつ離れていったり、上半身を起こしたりするので、スムーズな体の動きを含めた演技は難しいことだろうと想像しました。
レポーター:トモベカヨコ
「ねじまき鳥クロニクル」は【わたしの物語】
はじめまして、こんにちは。トモベカヨコです。
今回この“舞台ねじまき鳥クロニクル”稽古場潜入レポートは、今の(私)そして、過去の(わたし) の視点で、とても個人的な文章を書きました。
読んでくださる方全員に響くような文章ではありませんがたとえば100人(そんなに沢山の方が読んでくれたと仮定して)のうちたった1人の貴方にこの舞台を観に行きたいと強く感じてもらえたらと思って書きます。
そしてできれば、その1人の貴方がたくさんいて、ひとりでも多くの方に、この素晴らしい“舞台ねじまき鳥クロニクル”を観ていただけたらと願います。
レポーター:陳 琪栄
村上春樹Xインバル・ピント:どんな火花を生み出せるか
世界的に有名な日本の作家村上春樹は、ノーベル文学賞の有力候補として毎年名前が取り沙汰されている。彼の小説作品はもはや文学の領域を超え、世界中で1つの文化現象となっている。
村上春樹の作品は常に映画や舞台劇のアダプテーションの対象となっているが、彼の個性的な心理描写、巧妙な比喩文、超現実的なプロットなどの執筆スタイルのため、映画化、舞台化される時には多くの障害が生じやすい。それゆえ、すでに映画化、舞台化された作品は村上のファンの期待に応えられないことが少なくない。つまり、彼の小説をアダプトすることは、多くの監督にとって、機会とリスクが同時に存在する冒険的な行為であろう。幸運なことに、近年、評判と興行収入の両方で成功を収めた作品がいくつか現れた。
作品名 | 舞台『ねじまき鳥クロニクル』 |
期間 | 2023年11月7日(火)~11月26日(日) |
会場 | 東京芸術劇場プレイハウス / ▼座席表 |
上演時間 | 約3時間前後予定(休憩あり) ※演出の都合により、変更になる可能性がございます |
チケット料金 | S席:平日10,800円/土日祝11,800円 サイドシート:共通8,500円 U-25(25歳以下限定):6,500円 (全席指定・税込) |
ツアー公演 | 大阪、愛知 |
作品HP | https://horipro-stage.jp/stage/nejimaki2023/ |