Story
“世界の終り”と“ハードボイルド・ワンダーランド”という二つの世界が同時進行で描かれる。
二つの物語が織りなす、思いもよらない結末とは――。
・世界の終り
周囲が高い壁に囲まれた街に“僕”はやって来た。街の人々は一見平穏な日々を過ごしている。僕は街に入る際に影を切り離され、いずれ“影”が死ぬと同時に心を失うと知らされる。僕は古い図書館で美しい少女に助けられながら一角獣の頭骨に収められた夢を読む仕事を与えられていたが、“影”から街の地図を作成するよう頼まれる。影は街から脱出する方法を模索していたのだ。僕は地図を完成させるために、図書館の彼女や大佐、発電所の青年から話を聞き、街の正体を探るのだった。
・ハードボイルド・ワンダーランド
“組織”に雇われる計算士である“私”は、依頼された情報を暗号化する「シャフリング」という技術を使いこなす。ある日私は謎の博士に呼び出され、博士の孫娘の案内で地下にある彼の秘密の研究所に向かい、「シャフリング」を依頼される。博士に渡された贈り物を開けると、そこには一角獣の頭骨が入っていた。私は頭骨のことを調べに行った図書館で、心魅かれる女性司書と出会う。だが博士は研究のために、私の意識の核に思考回路を埋め込んでいた。世界が終るまでの残された時間が迫るなか、私は地下世界から脱出し、どこへ向かうのか。