Story
「仮に、Xさんと呼ぶことにします」
弁護士の城戸章良は、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住む谷口里枝は、愛する夫を仕事中に起きた不慮の事故で失ってしまう。
しかし、夫の兄から知らされたのは、遺影に写る愛した人が全くの別人だということだった。
戸籍で示されるはずの個人の証明。人は何をもって「個人」として存在するのか。
真実を追う中で城戸もまた自身の葛藤と向き合うこととなる。
自分の価値とは何なのか―。自分の生きる道は、自分で選ぶことができるのか―
ある男が生きた人生を通して見えてくる、自分の存在と意義。
我々は、この世界の真実に触れる。