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いよいよ東京公演も残すところ2週間あまりとなった『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。今回はホリプロ新入社員である制作スタッフのレポートをご紹介。ロングランミュージカルの裏側を少しだけお見せします!
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この作品に出会ったのは、コロナ禍真っ只中の2020年9月。大学生だった私は、オンライン授業で人にも会えず悶々としていた夏の終わりに、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』を観劇しました。衝撃的な出会いでした。
そこから4年経った2024年。社会人になった私はホリプロに入社し、公演事業本部に配属となり、『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』制作担当になりました。そしてこの作品がどのように作られているのか、約4ヶ月間間近に見てきました。観客として舞台を観ていた時には知らなかった作品の裏側と、このカンパニーについて、少しでもお伝えできたらと思います。
開幕後も上を目指す子どもたち
子どもが主役であるうえに、4か月間のロングラン。無事走り抜けるためには、日々のメンテナンスや安全確認が欠かせません。
ビリーやマイケルはクワトロキャスト、デビーはトリプルキャストだから、劇場にはあまり来ないのか?と思いきや、そんなことはありませんでした。出番のない日にも急遽の登板に備えて交代でスタンバイし、待機中には稽古をしています。稽古の内容は、演技のノート(ダメ出し)からダンス、タップ、トレーニングなど様々。ノートはメモを取り、次の本番までに改善することを目指します。
「この前の本番はどうだったかな」
「この台詞の意図は何だった?」「この振付は何に気を付けるんだっけ」
「腸腰筋を鍛えよう」「このトレーニング、家でもやってね」
それぞれの課題にアプローチすべく、スタッフがコミュニケーションをとっていきます。開幕することがゴールではなく、よりレベルアップした舞台にすることを目指しているのです。子どもたちは学校に通いながらの参加で疲れもたまるはずですが、稽古にも一生懸命食らいつく姿を見ていると、プロフェッショナルな存在だと感じます。
それでも、休憩時間に見せる顔はまだまだ子ども。少しホッとする瞬間です。
安全を守るためのルーティン
開幕して2か月経っても、1日2公演の日も、公演前に必ず行うことがあります。「安全確認」、通称「セーフティ」です。スタッフ立ち会いのもと、劇中に登場するリフトや擬闘、器械体操、縄跳び、フェッテ(ピルエットを連続で回るバレエの振付)などを一通りさらい、安全に舞台を進行できるか確認します。そしてこのセーフティには、出演するビリーとスタンバイのビリーの2名が必ず参加します。スタッフや各キャプテンのアドバイスを貰いつつ、丁寧に確認していきます。
毎回のルーティンであるセーフティの他にも、上演していくうちに改めて確認した方が良い部分は、スタッフやキャプテン主導のもと、修正していきます。
キャプテンは、ウォームアップを主導したり、カンパニーに向けてアドバイスを伝えたり、スタッフと相談しながら公演のクオリティを保ちます。出演しながらも様々な面に気を配り、各セクションとコミュニケーションをとる、カンパニーの支柱のような存在です。
スタッフによる環境作り
公演の安全な実施は、何よりもスタッフワークの賜物だと言えます。公演前は朝から、舞台監督の指揮のもと各機構や音響、照明、フライングなどに異常がないかをひとつひとつ確認し、公演後にメンテナンスや点検を行うこともあります。
4ヶ月ものロングランともなると、子どもは背が伸び、足も大きくなり、髪も伸びます。衣裳が小さくなれば衣裳部がフィッティングし直し、バレエシューズが小さくなったり擦り切れたりしたら履物スタッフが新しいものを用意します。髪が伸びれば、役の指定の髪型に戻すため、資格をもったヘアメイクスタッフがカットします。
小道具も同様で、例えば劇中で使用する縄跳びは、一人一人の身長や使い心地に合わせて調整した専用のものです。背が伸びたビリー、新調した縄跳びで跳んでみると、「跳びやすい!」とニコニコ。安全な公演の裏には、スタッフの細やかな作業や工夫があるのだと知りました。
コミュニティの物語
ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』にはたくさんのメッセージが詰まっています。夢を追いかけることの希望。自分を表現すること、ありのままでいることの喜び。しかし、明るいメッセージだけではありません。ストライキで困窮に苦しむ炭鉱町でバレエに出会ってしまった少年と、彼を取り巻く家族や町の人々の、葛藤や悲しみ、怒りも描かれています。ビリーが夢に向かって旅立つ一方で、町の人々の危機的な状況は変わらない現実。
ビリーが夢への切符を手にするのは、彼の努力や才能だけでなく、コミュニティの大人たちが血のにじむような思いをして払った犠牲の結果なのだと感じます。
ビリー以外にも、多くの子どもが登場するこの作品。子どもたちが努力を重ねてこの舞台に立っていることは勿論ですが、そこには沢山の大人の支えがありました。稽古中や本番を通して、キャストやスタッフからはこの作品への誇りと、カンパニーへの愛を感じる場面が多くあります。このカンパニーのあり方そのものが、作品のメッセージにも通じていると感じます。
是非、今しか観られない『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』を劇場で見届けてください。
カンパニー一同、心よりお待ちしております。
作品名 | Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』 |
期間 | 【東京公演】2024年10月26日(土)まで上演中 【大阪公演】2024年11月9日(土)~24日(日) |
会場 | 【東京公演】東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) / ▼座席表 【大阪公演】SkyシアターMBS |
チケット料金 | 【東京公演】 S席:平日15,000円/土日祝15,500円 A席:平日12,000円/土日祝12,500円 B席:平日9,000円/土日祝9,500円 【大阪公演】 S席:平日15,000円/土日祝15,500円 U-25:平日12,000円/土日祝12,500円 チケット販売詳細>> |
作品HP | https://horipro-stage.jp/stage/billyelliot2024/ |