特集・インタビュー

【プログラム収録対談 先行公開】『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』SPECIAL TALK/藤原竜也×中村勘九郎「二人の仲蔵が語り合う 芝居の熱、役者の道」
  • インタビュー

一月上旬、とある日の稽古場を訪れたのは、歌舞伎俳優の中村勘九郎さん。高い評価を得たドラマ『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』に主演した中村仲蔵役の「先輩」であり、藤原竜也とはプライベートでも親交が深い同世代の盟友だ。弟の中村七之助さんと共に中村屋の看板を背負い、歌舞伎を広く一般の人々が楽しめるものにすべく尽力した亡父十八世中村勘三郎さんの精神を受け継ぎ、ジャンルの垣根を超えて八面六臂の活躍を続けている。旧知の仲だからこそ飛び出す本音も交えて、仲蔵と歌舞伎、芝居と役者について語り尽くす!

(取材・文:市川安紀/撮影:渡部孝弘)

暗闇で足の踏み場を探す

──勘九郎さんは対談前に稽古もご覧になられたんですね。

勘九郎:ほんの少しでしたけど。でもすでに一幕が通せている感じでしたよね?

藤原:そうですね、荒通しですけど。すごいスピードで演出家が組み立てています。今回はシーンも多いし、蓬莱さんは全体のバランスを見て計画的に演出されているんじゃないかなと思いますね。役者に対する芝居のつけ方も的確だし、役者が蓬莱さんの演出に応えて芝居に集中すればいいという環境を作ってくださっているのかなと。

勘九郎:僕が蓬莱さんとご一緒したのは、赤坂大歌舞伎の『夢幻恋双紙 赤目の転生 ゆめまぼろしかこいぞうし あかめ てんせい』(17年)。蓬莱さんが台本を書き下ろした全くの新作だったので、本当にゼロからみんなで話し合いながら稽古場で創り上げた作品でした。蓬莱さんは「歌舞伎だから」という枠組みに囚われず、演出をつける際も普通のお芝居と同じようにされていましたね。すごく楽しんでくださっていたと思いますよ。

藤原:ただ我々は今回、何をやっても批判される対象に手を出しているわけですよ。

勘九郎:いやいや、そんなことないですよ。歌舞伎をちゃんと知らない人ほど「自分たちが考える歌舞伎はこういうのじゃない」って批判するんだと思います。そんな頭の固い人たちの言うことは耳に入れなくていいんですよ。だって僕が歌舞伎って何か、わからないですもん。「じゃあ歌舞伎って何ですか?」って僕が聞きたい。その時は喜んでお話を聞きますから(笑)。

藤原:やさしいなぁ……。我々の唯一の味方、中村屋!

勘九郎:(笑)いやいや、本当に。

藤原:うちは家族で中村屋さんの大ファンなんです。勘九郎さんも七之助さんも、お客さんの前に出たら、常に一日一日、全力で演じる。当然かもしれないですけど、なかなか出来ないことですよ。だから心を掴まれるし、今回の仲蔵の台詞じゃないですけど、知らないうちに引き込まれちゃう。勘九郎さんは僕にとってそういう存在なので、今、ぶっちゃけて言うと非常に恥ずかしいんです。なんで俺ごときが仲蔵をやってるんだろう?と。勘九郎さんの舞台は楽しく観させてもらってきたし、仲良くさせていただいてますけど、僕自身は歌舞伎とはかけ離れた世界で育ってきたので。「現代版・仲蔵」で良かったのに!

勘九郎:ハハハハ、でもそこをあえて、というのがすごいですよ。僕がオペラをやるようなものかな。歌舞伎の場面も日常生活も江戸時代のものとして演じるわけですよね?

藤原:そうですね。蓬莱さんもだと思いますけれど、暗闇で足の踏み場を探している気分ですよ。この仕事をして四十歳も過ぎると、経験値を使ってラクをしようと思えば出来ると思うんです。でも中村屋兄弟みたいに「それじゃいかん」と自分に課している感じです。

勘九郎:もともとそれが好きなタイプでしょ。

藤原:うーん、好きではないですよ。ただ稽古をしていると、昔の自分が甦ってきますね。勘九郎さんの使命とか、背負っているものの大きさとは比較にならないですけれど。


記事全文は公演プログラムに掲載!


◉紙書籍(オンラインショップ&劇場)
オンラインショップ:2月5日(月)18:00~販売開始
https://starsmall.jp/shops/horiprostageshop

◉電子書籍(Reader Store)
2月6日(火)17:00~販売開始
https://bit.ly/3SnHv92

作品名Sky presents 舞台『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』
期間2024年2月6日(火)~2月25日(日)
会場東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) / ▼座席表
上演時間1幕70分/休憩20分/2幕80分(計2時間50分)予定
チケット料金特等席:平日13,000円/土日祝13,800円
1等席:平日11,000円/土日祝11,800円
2等席:平日9,000円/土日祝9,800円
3等席:平日5,000円/土日祝5,500円
(全席指定・税込)
ツアー公演広島、名古屋、宮城、福岡、大阪
作品HPhttps://horipro-stage.jp/stage/nakamuranakazo2024/

PICK UP CONTENTS