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韓国で社会現象を起こした「ミセン」をホリプロ×韓国クリエイター陣が世界初オリジナルミュージカル化!2025年1~2月に大阪、愛知、東京にて上演される本作の創作過程をまとめた制作レポートが到着。第1弾は韓国・ソウルで開催されたリーディング・ワークショップの様子をお届け!
(文・写真=上野紀子)
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ミュージカル『キングアーサー』を日韓両国で作り上げた演出のオ・ルピナ、『ナビレラ』等の人気作を多く手がけている脚本・歌詞のパク・ヘリム、『マリー・キュリー』などで高い評価を得ている音楽のチェ・ジョンユン。韓国ミュージカル界の精鋭クリエイターである彼らを中心に、オリジナルミュージカル『ミセン』の創作は進められている。
今夏のソウルで、まだ台本や音楽が未完成の状態で、中間チェックのためのリーディング・ワークショップが開催された。ミュージカルの創作過程でこうしたリーディングが行われるのは韓国では通例であり、中には関係者だけでなく一般の観客も迎え入れる形の公演もあって、その反応を創作に生かしていくという。今回は弘益大学公演芸術学部の協力を得て、大学の講義室を借りてワークショップが行われた。
アジアのブロードウェイとの呼び名もあるソウルの演劇街、大学路。小劇場を中心におよそ140もの劇場が集まるこの地区の南端に、弘益大学大学路キャンパスがある。
井川P(プロデューサー)と筆者はリーディング本番の二日前にソウルに入り、まずはワークショップ(稽古)から視察を開始した。会場である講義室に向かうと、扉の前に立派なプレートが立てられていてビックリ!青地にくっきりと“ミセン”のカタカナロゴ、その下にハングル文字でリーディングの日時、場所、主催(ホリプロ)、後援(弘益大学)が記されている。今回のリーディングは関係者と一部の記者のみを招く内内のものにも関わらず、こんなに本格的に…!と講義室に入る前から感激している我々を、演出のオ・ルピナが「それ、日本に持って帰っていいですよ〜」と朗らかに迎えてくれた(井川Pはプレートをしっかり持って帰りました)。
一人、二人と俳優陣が集まって本読み稽古が始まり、次はその顔触れに驚くことに。
主人公チャン・グレ役のキム・ギョンロクは、その日も大学路の小劇場でミュージカルのマチネ出演を終えてから稽古に駆けつけていた若手の急成長株。オ・サンシク課長役のチェ・ホジュンは今年の話題作『イル・テノーレ』出演のほか、過去には『ムーラン・ルージュ』のロートレック役など人気作を踏み倒している実力派で、ソン・ジヨン次長&グレの母親の二役を担うイ・ヘギョンはオ・ルピナ演出の『HOPE』主演のほか、こちらも『フランケンシュタイン』のエレン役や『ラ・マンチャの男』のアルドンサ役などを経験している大ベテラン。本公演の舞台に立つわけではなく、あくまで創作に協力するために、第一線で活躍中の面々が参加しているのである。
アンサンブルとして参加の俳優はオーディションで選ばれた弘益大学公演芸術学部の学生たちで、商社を舞台とした『ミセン』ゆえ、ちゃんとスーツを来てオーディションを受けに来たという。日本のオリジナルミュージカルのために尽力する韓国の演劇人たち、その本気の熱量に感じ入るばかりだ。
「俳優もスタッフもとても積極的に協力してくれて、韓国で創作する場合、こうした状況はよくあることです。俳優たちは単に覚えた台詞を言って歌うだけではなく、自分がこの作品を、この役を任されるとしたらどう演じるかを深く考えて、意見もたくさん出して、一緒に作り上げていくんです」(オ・ルピナ)
まずは歌以外の芝居部分から始まり、オ・ルピナが非常にテンポよく状況説明や人物の感情表現について自身の解釈を述べていく。日本で『キングアーサー』を手がけた際に話を聞いた時も「稽古の進行が早いタイプ。まずコンセプトや動線プランをしっかり立てて俳優にガイドラインを渡し、そこから修正していくスタイルです」と語っていたことを思い出した。
チャン・グレ、アン・ヨンイ、ハン・ソギョル、チャン・ベッキの、新人インターン4人組それぞれの個性の違いが面白く、演じる彼らも言葉の一つ一つに対し、独自の意見を放っていく。「ここの台詞、こんなふうに言うのはどうでしょう?」といった俳優の提案に「うん、悪くないね!」とオ・ルピナが爽快に返し、「このフレーズを言う時の心境は?」と演出家が問えば、俳優陣のあいだでさまざまな見解が飛び交う。弾むようなやり取りが続き、その活気のままに歌稽古へと進んだ。NYで研鑽を積んだというボーカルアレンジのイ・ミンヒがこれまた太陽のように快活な人で、エネルギッシュな指揮で皆をグングン乗せていく。芯の太いハーモニーが響き渡り、チェ・ジョンユンの手がけたメロディから、お互いを労わり、励まし、明日に向かって踏み出そう!と顔を上げる、そんな光景が浮かび上がった。
和やかで、皆が一つの作品へ向けて積極的に動いている、終始その熱気に覆われたワークショップだった。
こうして迎えたリーディング公演当日。一般客のいない、少人数のギャラリーを前にした公演なのでキャストもラフな普段着だが、チャン・グレ役のキム・ギョンロクだけはいかにも新入社員といったスーツ姿でやって来た。それぞれの役名が書かれた譜面台を並べてスタンバイ。その横にはイ・ミンヒが率いるギター、ベース、キーボード、パーカッションのバンドも控えている。
「失敗があっても気にせず、楽しくやりましょう」
オ・ルピナの一言に、キャスト全員から「オ〜ッ!」と気合いの声が上がった。いい緊張感を保って進みながら、オ課長役チェ・ホジュンの勢いのある語り口にキャスト陣が吹き出す場面も。休憩を挟み、再び「ファイティン!」と皆で声を掛け合って二幕がスタート。アンサンブルからも、露天商の役を担った学生が思い切りのよい豪快な表現で、皆の爆笑を誘っていた。
ほぼ二時間のリーディングを終え、全員で拍手喝采。キャストの仲間たちやギャラリーに向かって拍手を送り合う様子は、韓国の劇場のカーテンコールで見る光景と同じである。
「じゃあ何人か、ランダムに聞いていきますね」とオ・ルピナがキャストに向けて指名して、すぐさまリーディングの感想と作品への意見交換が始まった。ここでも皆、熱く語る!「自分にとっていい経験だった」とほとんどの人が口にしてくれたのが嬉しい。「ほかに誰か、言いたいことありますか?」という演出家の声に、アンサンブルの学生からも手が上がった。「僕個人の考えですけど」と前置きをしながら「もっと登場人物のディテールを描いたほうが〜」と、作家パク・ヘリムを前にしても遠慮のない意見を放つ。そんな頼もしい後輩の言葉を、頷きながら真摯に聞き入る先輩俳優たちの姿が印象的だった。
「日本で、必ずいい作品に仕上げて来ます」
皆への感謝と決意を語るオ・ルピナに、再び拍手が沸き起こった。創作のバトンはいよいよ日本のキャスト&スタッフへ。ミセン=未生の完成形を韓国の仲間も待ち望んでいる。
期間 | 2025年2月6日(木)~2月11日(火祝) |
会場 | めぐろパーシモンホール 大ホール 座席表 |
チケット料金 | ・エグゼクティブシート:16,000円(優先入場ほか特典付) ・S席:13,500円 ・A席:11,000円 ・U-25:7,500円(11月13日~販売) ・Yシート:2,000円(11月18日~11月24日販売)※ ※=ホリプロステージのみ取扱 |
チケット販売期間 | 【エグゼクティブシート抽選先行】 9月24日(火)12:00 ~9月29日(日)23:59 【S席・A席抽選先行】 10月8日(火)12:00 ~10月14日(月祝)23:59 【先着先行】 ゴールド会員:11月2日(土)9:00~11月10日(日)23:59 レギュラー会員:11月2日(土)10:00~11月10日(日)23:59 【一般発売】 11月13日(水)11:00~ 【Yシート】 11月18日(月)17:00~11月24日(日)23:59 チケット情報詳細>> |
ツアー公演 | 大阪*、愛知公演 *=ホリプロステージでのチケット取扱いあり |
作品HP | https://horipro-stage.jp/stage/misaeng2025/ |