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竹内涼真が約5年ぶりにミュージカルの主演に挑む。作品は『奇跡を呼ぶ男』。1992年に公開されたスティーヴ・マーティン主演の映画をもとに、2010年にミュージカル化。音楽はアラン・メンケン、作詞はグレン・スレーターとトップクリエイターが手がけた作品で、2012年にはブロードウェイでも上演された。初舞台だった前作『17 AGAIN』で圧倒的な表現力を見せつけた竹内による新たな挑戦。今の心境を聞いた。
(取材・文:三浦真紀、撮影:林 将平)
12月7日(日)まで!
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お客さんの前に立ち、生で表現する。
その難しさと美しさ、充実感

――『17 AGAIN』以来のミュージカルご出演ですね。出演を決めた理由は?
初舞台だった『17 AGAIN』では2カ月間稽古をして本番を迎えました。キャストとスタッフが一丸となり、チームであり家族のような関係になって、51公演を完走しました。そこでは本当にさまざまな気づきがありましたね。自分に足りないところもあれば、ここはいけるなと思えた部分もあって。そして何より、僕は稽古が好きなんだということにも気づいたんです。だからいつかまた、自分のタイミングと合う作品があれば絶対にチャレンジしたいと思っていました。それがこの『奇跡を呼ぶ男』でした。
――『17 AGAIN』は振り返ってみて、どんな経験でしたか。
ほんと一言では言い表せないくらい、濃密な日々でした。身体の変化や使い方、自分の可能性に気づいたり、逆に苦手な部分を思い知らされたり。稽古から本番までの4カ月間、いろんなことが起きました。
自分の声が観客の皆さんにしっかり届くんだ!と確信を持てたことは自信になりました。お客さんの前に立ち、生で表現する。その難しさと美しさ、充実感というものを初めて味わいました。ああ、舞台とはこういうものか!って。

――その後、映像で活躍なさってきましたが、『17 AGAIN』での経験はどのように生きていますか。
僕の中では映像と舞台でやることが違うという感覚はあまりないです。自分が考える役作りのプロセスはどちらにも応用できます。ただ舞台では約2時間の中で、そのキャラクターの人生を表現できる。自分が相手とキャッチボールして感じるものだったり、その日の体調や感情で感じることが変わっていく。その変化をすごく楽しめました。もちろん稽古を通して一つ正解の形はできるけれど、どの公演も同じにはならない。その違いを繊細にキャッチしながら表現していくんです。
映像は必要ならやり直せますが、舞台はやり直せない。そして目の前にお客さんがいるかいないか、そのくらいの違いだと僕は思っています。どれだけ同じことをやろうが、毎回幕が開いた瞬間から最後まで流れを止めてはいけない。流れが止まらなければ、また新しい発見があるのだと、日々の公演で感じました。

舞台の怖さは、生であることやお客さんが目の前にいることではありません。特に映像よりも怖いのは、馴れとマンネリ化。既に台詞や流れが自分の中に完璧に入っている状態だからこそ危険なんです。そこで大切なのは、自分から仕掛けること。より良い進化を目指して、今日はこうしてみようと毎回考えて工夫をするんですが、その努力をやめた途端に自分が地獄に落ちる(笑)。そこは本当に紙一重で、楽しようとした瞬間に全てが水の泡……。
そんなことを感じつつも、舞台をやってよかったし、僕にとってとても大きな経験になっています。
舞台2作目。出演を決めたのは“勘”

――ミュージカルは身近になりましたか?
はい、よく観に行くようになりました。最近では高畑充希さん主演の『ウェイトレス』を観ました。女性の人生の岐路を描いた作品ですが、人間味豊かなキャラクター達がコミカルで、物語はテンポ良く進みます。でも観終わった後にじわっと考えさせられ、感動に襲われるような舞台でした。僕は男性なので、やはり男性に感情移入しながら観ていましたね。
――そして2作目の舞台として『奇跡を呼ぶ男』。この作品に出演を決めた理由は何でしょう?
勘です(笑)。まず音楽に惹かれました。それから僕は今回が2作目の舞台で、コンスタントに舞台を経験されている方に比べるとまだまだ経験が浅い。今回僕が演じるジョナス・ナイチンゲールは伝道師のふりをして献金を集めるペテン師で、嘘を重ねている男です。そんな彼と、僕自身が5年ぶりの舞台で自分は本当にいけるのかどうなのか?というスリリングな感覚がリンクする気がして。嘘を本当のものにしていくという過程が面白いだろうと想像しています。

――『17 AGAIN』で竹内さんが演じたマイク・オドネルはある意味、一般の等身大の青年でしたが、ジョナスは人々を上手く騙す、ちょっと規格外の人物。現時点でどんなイメージを描いていますか。
まずはジョナスを等身大の自分に引き寄せたいと思っています。それができたら本心から嘘をつけるのではないかと。
多分、ジョナスって99%嘘の世界に浸かっているけれど、どこかで自分の中にある1%の真実、光に対して希望を持っている気がします。その1%をバネに何とかはい上がろうとする、そんな彼の執念に人々は惹きつけられていくんじゃないかと。光のある場所に行きたいエネルギーは強いけれど、根はすごく弱い人間なんですよね。僕も日常でそんなことを感じたりすることもあるので、そこを上手く重ね合わせて、僕らしく演じたいなと思っています。
詐欺師だからといって100%悪いというわけではなくて、なぜそうなったのかが大事だと思うんです。最初は嘘から始まっても、それが本当になれば嘘ではなくなります。ものすごくエネルギーが要る作業ですけどね。ただ台本も稽古もこれからなので、まだ変わるかもしれません。
――映画では往年の名コメディアンであるスティーヴ・マーティンが演じた役。コメディはお得意ですか?
どうでしょう?僕、コメディは自分が笑わせにいったら終わりだと思っていて。真剣に全力で行きすぎてドーンと転ぶからこそ面白い。ダサい、イコールかっこいいというか。人間の醜さやダサさが突き抜けたときに、失敗する。その瞬間に人は笑えるし、面白くなるということだと考えています。アメリカのコメディ映画を見るのは好きなので、いろいろと知恵を絞りたいです。

大好きなブラックミュージック、
そのグルーヴを身体に染み込ませたい
――音楽はゴスペルなどのブラックミュージックの要素が強く、かっこいい印象があります。
はい。僕は普段ブラックミュージックをよく聞くので、この音楽にはとても惹かれています。日本にはあまりないリズムなんですよね。だからこそ歌唱指導の先生のもと、キャスト陣でそのグルーヴ感をいち早く掴めたらと思っています。楽曲が素晴らしいので、いじりすぎず、僕ら日本版キャストのフィルターを通してどう解釈できるのか。あのリズムがあるからこそ、この楽曲が魅力的なんだと思います。ブラックミュージックの魂のようなものを早く身体に馴染ませたいですね。

――演出はイギリスの演出家ジェニファー・タン。ティナ・ターナーを主人公にしたミュージカル『ティナ(Tina: The Tina Turner Musical)』にも関わっており、日本での初演出になるとか。
一度お会いした際、俳優の心を大切にしてくださる印象を受けました。外側からではなく内側から一緒に解釈をして、可能性を広げていこうと言ってくださって。
『ティナ』の経験もあり、ブラックミュージックについては僕らより遥かに理解していらっしゃるので、全て吸収していきたいです。既にボイストレーニングは始めていて、リズムやグルーヴのとり方や身体の構えなど少しずつやっています。そのあたりをある程度、身体に馴染ませた状態で本稽古に臨みたいです。言葉よりも先にまず身体が動くからあのグルーヴが生まれる気がして、そこは僕の中での肝になる感じがします。
――この舞台で目指したいことはありますか。
千秋楽までやり遂げた後に、僕自身がどう変わっているのかを楽しみにしています。嘘を本当にするという奇跡!それが実際、舞台上で起きたときに、ジョナスとしてどんな光を掴めるのか。こういう作品は今まで見たことがない!というような驚きをお届けしたいです。ご覧いただいた皆さんの心に強く残り、頭から離れない、そんな作品を目指しています。ぜひ楽しみにしていてください!



| 作品名 | ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』 |
| 日程 | 2026年4月4日(土)~4月24日(金) |
| 会場 | 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) 座席表 |
| チケット情報 | <ホリプロステージ チケット販売期間> 【最速抽選】12月1日(月)12:00~12月7日(日)23:59 【先着先行】12月27日(土)~1月18日(日)23:59 ※ゴールド会員:9:00~/レギュラー会員:10:00~ 【一般発売】2026年1月21日(水)11:00~ 【Yシート(20歳以下当日引換券)】2026年1月26日(月)17:00~2月1日(日)23:59 【U-25(25歳以下当日引換券)】2026年1月31日(土)11:00~ <チケット料金> S席:14,000円 S席ペンライト付:15,000円 A席:10,000円 A席ペンライト付:11,000円 U-25 :6,500円(25歳以下当日引換券) Yシート:2,000円(20歳以下当日引換券) *ホリプロステージのみ取扱い チケット詳細はこちらをご確認ください。 https://horipro-stage.jp/news/leapoffaith2025_ticket/ |
| ツアー公演 | 大阪・福岡・愛知公演あり |
| 作品HP | https://horipro-stage.jp/stage/leapoffaith2025/ |

