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日本を代表する世界的作家・村上春樹が36歳の時に発表され、海外でも人気の高い長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が、フィリップ・ドゥクフレ演出・振付、藤原竜也主演にて世界で初めて舞台化される。
“世界の終り”の主人公である僕役には、オーディションを経て、駒木根葵汰と島村龍乃介がWキャストとして出演することが決まった。高い壁に囲まれた街で夢を読む仕事をしながら、街の正体を探り脱出を図る役どころを、身体能力を活かして表現する。駒木根は、「機界戦隊ゼンカイジャー」や「天狗の台所」シリーズ、「25時、赤坂で」など数々の映像作品にて主演を務め、今回が初の舞台出演となる。島村は舞台『弱虫ペダル』4作で主演を務め、ドラマ「アンメット」や「週末旅の極意 2」などに出演してきた。
本作品が大きな挑戦となる彼らに、いまの想いと期待を語っていただいた。
(撮影:板場俊)
――デビューしてから今まで、映像を中心に様々な役を演じられていますが、印象的だった役やエピソードを教えていただけますか。
駒木根葵汰(以下、駒木根):僕にとってのターニングポイントは間違いなく、スーパー戦隊シリーズ「機界戦隊ゼンカイジャー」への出演だと思います。
自分がまだ右も左もわからない状態で優しく温かく教えてくださったあの1年間は本当に今でも忘れないですし、これから先の自分の人生にとっても俳優生活にとってもかけがえのない時間になったと感謝しています。
感情表現がうまくできなかったときに監督からたくさんの指導を受けました。印象的なのが蛇口を例えたエピソードで当時ご一緒していた榊原郁恵さんと一緒に聞きながら学ばせていただきましたし、郁恵さんからも現場でたくさんのことを学ばせていただきました。

島村龍乃介(以下、島村):僕が特に印象的だったのは、舞台『ジャンヌ・ダルク』での経験です。
第一線を走り続ける先輩方に囲まれての稽古は毎日がとても刺激的で、たくさんのことを学ばせていただきました。皆さんの仕草一つとってもすごく洗練されており、台詞の言い回しから動き方、アクションに至るまで様々なことを間近で勉強させていただけて、僕自身の大きな糧となりました。またコロナ禍の真っ只中だったのですが、誰1人挫けることなく、むしろ毎公演ベストを更新できるようにしよう!という皆さんの姿勢を見て、「芝居はどんなことがあってもやり切らないといけない、それが舞台に立つ上での在り方なんだ」と改めて気づかされました。

――仕事をする上で大切にしていることや、今考えていることなど教えてください。
駒木根:仕事をする上で大切にしていることは、とにかく自分の中でしっかりかみ砕いた上で、胸を張って皆さんにお届けできるものを、ちゃんと誠意を込めて作り上げたいなというのはずっと変わらずに持っています。
今25歳になって、未来の事も少しずつ明確に考えるようになりました。仕事を通して自分が今後どういう人生を送りたいか、仕事面とプライベート面を一緒に考えることもあれば、切り離してどうなりたいか、を考えています。
島村:僕は、自分の世界観だけで芝居をしないように気を付けています。一人ひとり感じ方や考え方が違うので、主観だけの芝居で突っ走らず、いま自分が置かれている現場の空気感を大切にして芝居を固めすぎず、柔軟に対応できるように心がけています。

――村上春樹さん原作の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」にて、“世界の終り”の主人公である僕役を演じます。舞台に対する印象や目指していることなどありますか。
駒木根:僕は舞台に初挑戦ということで、もちろん怖さだったり不安というものはすごくあるんですが、先輩方から「ジャンルは違えども、舞台はあなたにとってすごくためになるよ」と言われました。おかげでお客さんの目の前でその瞬間の芝居をするっていうのは、すごく楽しそうだなとポジティブに思っています。俳優人生においても次のステップアップとして、絶対に舞台を経験したいと思っていたので、このタイミングで出演できることに何か縁を感じていますし、すごく意味のあることだと思っています。
島村:僕は、舞台の魅力はお客様の反応を直接感じられるところだと思います。舞台はお客様が観てくださって初めて完成するものなので、やり切った時の達成感も大きい反面、もしあまり反応がなかったら…というプレッシャーもすごくあります。
そのプレッシャーに打ち勝つには、稽古期間の過ごし方を大切にすることが鍵だと考えています。
ただ稽古を重ねるのではなく、毎日必ず一つは新たな発見をし、それを改善につなげていく。その積み重ねによって不安材料を取り除き、自信へと変えていくことで、ようやく舞台に立てるようになるんだということをこれまでの経験から学びました。

――「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で演じる僕役や作品へのイメージはありますか。
駒木根:原作を読んだ時、一行一行自分の中でしっかり深く考えながら読み進めたので、読み終えるにはだいぶ時間がかかりました。すごく哲学的だなと思いました。
例えば、“僕”は影を持たない人物なのですが、人間の体と心が切り離されたらどっちが本質なのか、自分自身が生きていくうえでどちらを大事にすべきか、それを考えるきっかけになりました。どちらとも大事にするべきなんですけど、やはり心というものはすごく大切だと思うし、人それぞれに違う色の感情があると思います。自分のアイデンティティや自分にしかないもの、ネガティブな要素を含めて僕自身だと思うので、そういったところを舞台上で、表現者として皆さんにも伝えていけたらと思っています。
島村:“僕”という役は向き合っても奥が深すぎて、少しずつ近づくことはできても決して全てを理解しきれない存在なのかなと感じています。今回の舞台は、自分が感じとった世界観というよりも、稽古を通して“僕”が見ている世界観を見つけながら、大切に演じていきたいです。一言で表現できないからこそすごくのめり込んでしまう原作で、舞台上で視覚化されたときはもっと美しいと思います。僕自身もこの作品が舞台上で形になるのがすごく楽しみです。

――今回の舞台で期待していることや楽しみにしていることなどありますか。
駒木根:藤原さんの舞台は何度も観に行って勉強させていただいていました。そんな藤原さんと同じステージに立てるということ自体すごく光栄なことだと思っています。また、フィリップさんの演出を通して初めての舞台で表現することや気づきに身を任せられたらと思っています。なおかつ自分の意志をしっかりと持って、コミュニケーションをしっかりとりながら、最高のパフォーマンス、最高の作品になるように真摯に向き合っていきたいです!
きっとこの素敵な舞台を経験して、より進化した姿をファンの方にお届けすることが出来るんじゃないかなと思っています。そのためにも、この舞台と役を全うして後悔の無いように過ごしていきたいです。
島村:海外のクリエイターの方とお仕事させていただくのが初めてで、演出のフィリップさんとの稽古の中で、日本とはまた違った世界観を見ることができるのかなと思うとすごく楽しみです!
藤原竜也さんは僕がずっと憧れている方で……。今回の作品が決まった時は本当に信じられなくて、こんなに早く共演させてもらえるのかという驚きと喜び、そして間近でお芝居を見てたくさん勉強できる!というワクワクでいっぱいでした。稽古や本番を通して1日1日を大切に、日々進歩していきたいなと思っています。

――舞台を楽しみにしているお客様に向けて、最後にメッセージをお願いいたします。
駒木根:初舞台で村上春樹さんの小説、そして主演が藤原竜也さん、そして、演出家がフィリップさんという本当に贅沢な空間で自分もステージに立つという想像をしただけでとてもワクワクします!初舞台という緊張感とある種の挑戦的な気持ちを持って、真正面から役に対して、そして作品に対してぶつかっていきたいと思いますので、是非皆さん楽しみにして、劇場に足を運んでいただけたら嬉しく思います。
島村:「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」がどのように皆様の目の前に現れるのか、ぜひ楽しみにしていただきたいです!そして、「僕」という存在が皆さんの心のどこかに残るよう、日々この作品と向き合っていこうと思っております。劇場でお待ちしております!

◉駒木根葵汰(こまぎねきいた)
2000年、茨城県出身。
21年にスーパー戦隊シリーズ「機界戦隊ゼンカイジャー」で初主演。その後同じ役で22年のスーパー戦隊シリーズ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」に続投し話題に。近年の主な出演作に、ドラマ「星降る夜に」「伝説の頭 翔」「天狗の台所」「25時、赤坂で」「やぶさかではございません」など。2025年10月期ドラマ「25時、赤坂で Season2」に出演が決定している。
◉島村龍乃介(しまむらりゅうのすけ)
2002年、大阪府出身。
19年にドラマ「TWO WEEKS」で俳優デビュー。22年〜24年には舞台『弱虫ペダル』シリーズ4作で主人公の小野田坂道を演じ、注目を集める。近年の主な出演作に、舞台『ジャンヌ・ダルク』、ドラマ「青春シンデレラ」「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」「アンメット ある脳外科医の日記」「週末旅の極意2~家族って近くにいて遠いもの~」「なんで私が神説教」など。ドラマや舞台、CMで幅広く活躍中。

作品名 | 舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 |
日程 | 2026年1月10日(土)~2月1日(日) |
会場 | 東京芸術劇場プレイハウス 座席表>> |
チケット情報 | <チケット料金> S席:12,500円 サイドシート:8,800円 U-25(25歳以下当日引換券):6,500円 Yシート(20歳以下当日引換券):2,000円* *=ホリプロステージのみ取扱い (全席指定・税込) <販売スケジュール> 【抽選先行】 9月2日(火)12:00~9月7日(日)23:59 【先着先行】 ゴールド会員:9月20日(土)9:00~10月5日(日)23:59 レギュラー会員:9月20日(土)10:00~10月5日(日)23:59 【一般発売】10月8日(水)11:00~ 【U-25(25歳以下当日引換券)】10月8日(水)11:00~ 【Yシート(20歳以下当日引換券)】10月13日(月祝)17:00~10月19日(日)23:59 チケット販売詳細はこちらをご確認ください。 https://horipro-stage.jp/news/sekainoowari2026_ticket/ |
チケットに関するお問合せ | ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11:00~18:00/定休日 土・日・祝) |
作品HP | 舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 https://horipro-stage.jp/stage/sekainoowari2026/ |