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【動画&写真】『ラブ・ネバー・ダイ』に新ファントム登場!/『ラブ・ネバー・ダイ』橋本さとしインタビュー
  • インタビュー

来年2025年1月東京・日生劇場で開幕するミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』。アンドリュー・ロイド=ウェバーが自身の代表作であるミュージカル『オペラ座の怪人』から登場人物たちの10年後の変遷と運命を自ら描いたこのミュージカルは、2014年に日本初演され瞬くまに喝采を集め、2019年に再演。2025年公演が待望の三演目となっている。その2025年上演バージョンで、新ファントムとして登場するのが橋本さとし。俳優として多彩な役柄を演じてきた橋本が、オリジナルキャストの市村正親、2019年公演から続投の石丸幹二と並んだトリプルキャストの一角として、どんなファントム像を観せてくれる のか。熱い製作発表を終えた橋本に、意気込みと役柄への思いを語ってもらった。

(取材・文:橘 涼香/撮影:林 将平)

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01  橋本さとしというフィルターから生まれる新たなファントム
02  僕も常に目に見えない仮面をかぶりながら舞台に立っているんだろうなと
03  ミュージカルの素晴らしさをロイド=ウェバーから教えてもらった

橋本さとしというフィルターから生まれる新たなファントム

撮影:渡部孝弘

本当ですか?そう言ってもらえるとホッとします。もう緊張して緊張して。

いえいえ、市村正親さんと石丸幹二さん、ファントムを演じ続けている方々のなかで、僕は今回初参加なので「さ~て橋本さとしはどんなファントムをやるのか、よし観てやろう、聴いてやろう」と皆さんが思われているんじゃないかと勝手に想像してしまって。 


僕はこれまで面白い役ですとか、濃いキャラクターを演じることが多かったので。その橋本さとしが仮面を含めて世界的にも有名なファントムという役柄をどう表現するのか?をお披露目する第一歩の日だったので、緊張しましたね。 

ありがとうございます。それはやはり加藤和樹という仲間が相手で、対決させてくれたことが大きくて、二人のちょっとした駆け引きが早くもあの瞬間に生まれていたんですよ。彼もラウルとしてこの公演が初参加なので、初めて役に取り組む者同士の初対決でしたから、 僕も彼もこれから歩むべき道というものが、今日見えたような気がしました。もちろんあくまでもスタートラインに立ったばかりですが、貴重な経験になりました。

役者としては客席から観てまず、あの豪華絢爛なステージに立ってみたいという気持ちになる、夢のようなセットでしたし、そこに仮面をつけた男の後ろ姿のシルエットからはじ まる世界観に、問答無用で惹きこまれました。アンドリュー・ロイド=ウェバーの『オペラ座の怪人』はずっと劇団四季さんが上演されている演目で、僕たちにとってファントムはなかなか手の届かないキャラクターなのですが、そのファントムが新たにお披露目されたこの『ラブ・ネバー・ダイ』という作品には、大きな意味を感じていたんです。特に僕は劇団☆新感線の、小劇場出身の俳優ですから、こうした世界的なカリスマ性のあるキャラクターに巡り合えたというのはビッグ・チャンスですし、今までの経験をすべてぶつけられるハードルの高いところに招かれたということには、喜びを越えた恐怖心や、緊迫感もあるんです。やはり喜んでいるだけではなし得ない世界であり、役柄ですから、ひと言で言うなら橋本さとしというフィルターから生まれてくる新たなファントムを、まず僕自身が信じるしかないなと思っています。 

僕も常に目に見えない仮面をかぶりながら舞台に立っているんだろうなと

スイッチが入りましたね。やっぱり仮面をつけた自分の姿を鏡で見た瞬間「僕がファントムになると、こうなるのか」という、ある種の自信が芽生えました。まだ稽古もはじまっていないのに早すぎるのですが、自信というのはうぬぼれなどでは決してなくて、自分を信じる力なんです。僕がファントムを演じるにあたっては、自分を信じるしかないのだから、自信を持っていこうと鏡を見ながらすごく思いました。 

まず彼が仮面で隠しているものは、決して醜い、醜悪なものではなくて、むしろ純粋さを隠してるんじゃないかな、という気がしています。ですからその仮面をファントムが取った時に、抑えていた感情がぶわっと出る瞬間を作りたいなと思っていて。今までずっと心を抑えて、ある意味はったりで生きてきた孤独な男が、仮面を取った瞬間に恥も外聞もかなぐり捨てる。実はファントムと僕の共通点といえばそこかなと思っているんです。と言うのも、 僕も常に目に見えない仮面をかぶりながら人前に立っているんだろうな、という気がすごくしていて。何しろ僕がファントムをやることが公表された時に「おっ、世界初のおもろいファントムの誕生か?」とか「さとし、お前、絶対なんか狙っているだろ?」と言われたりもしたんですよ(笑)。 


もちろん、みんなで楽しく作品を作るというのも自分の…なんていうのかな、手札でしょうかね、そういうものとしてはひとつあって、お客様との空気を共有しながら一緒に楽しみましょう、笑いあいましょう、という方向性も僕の武器になっているのは事実なんです。でも、それだけではなく、自分にもやっぱりダークサイドな部分もありますし、嫌な面ももちろん持っていて劣等感もありますから、そこは仮面で隠していますし、人前に立つことも本当はすごく怖いんです。恥もかきたくないですし、足が震えるほど緊張もします。だけど、やっぱりそこに仮面をつけて舞台に立つのが役者であり仕事なので、「仮面」というキーワードはおそらく僕だけではなく、役者という生き物にとって重要なんだと思います。ですからそこにファントムと自分とをオーバーラップさせながら、仮面をつけている時と、外した 時の違い、仮面の下には何を隠しているのか、或いは隠そうとしているのかをテーマに、役作りをしていきたいと思っています。 

確かに今まで色々なキャラクターに出会っていて、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジ ャンもそうですし、『ジェーン・エア』のロチェスターのように、心をえぐられた傷を持ちながら、愛を探し求めて苦悩するという役柄も演じたことはあります。ですからファントムもきっと、愛された記憶を持たない男が、クリスティーヌという女性とその才能に出会って、はじめての愛を知り、絶対に手放したくないという想い、ある意味の生きがいを持ったがために強い執着が生まれ、愛を得ようとして失い、それでもまた得ようとする。その繰り返しの中で、彼が傷だらけになりながら求めている純粋さを探したいです。

ミュージカルの素晴らしさをロイド=ウェバーから教えてもらった

僕が一番好きなミュージカルが、ロイド=ウェバーの『ジーザス・クライスト・スーパースター』なんです。幼い頃からロック小僧だったので、ロックのテイストがあるものには自分のアンテナが敏感に反応するんですよ。そこからすると、ミュージカルのダイナミズムと美しさにプラスして、ロックの破壊しようとする何かが混じっている『ジーザス・クライス ト・スーパースター』の楽曲の数々には僕の好きなものの全てが集約されていて。特に1996年に出たスティーブ・バルサモがジーザスをやっているCD、既に絶版になっていていまは手に入らない1枚は宝物で、いまもずっと聴き続けているんです。それからもうひとつ、僕が初めてミュージカルに出会った、ミュージカルの入り口になったのが『CATS』で。 

まだロイド=ウェバーも、ミュージカルも全く知らなかった自分に「ミュージカル」というジャンルの素晴らしさを教えてくれたのが『CATS』でした。そうした僕にとってとても大切な作品を生み出したロイド=ウェバーの楽曲のなかに入り込んで、自分が作品のキャラクターを演じられるというのは、夢の中にいるような気持ちがあります。

やはりお客様に楽しんでいただくためには、それなりのハードルを超えないといけない ので。自分の器の中だけで収まってしまうのではなく、大好きなアンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲だからこそ、自分でコントロールして、物語を語る歌として歌えるようにならないといけませんから、そこに行き着くまでの試練や、乗り越えるべき壁に覚悟を持って挑んでいこうと思います。 

左より)クリスティーヌ役:平原綾香、笹本玲奈、真彩希帆/撮影:渡部孝弘

本当に三者三様のクリスティーヌだなと早くも感じられたので、それぞれのクリスティーヌと出会えるのが楽しみです。特に平原綾香さん、あーやとは『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』で恋愛という感情ではないところ、仕事仲間を超えた身内の愛というんでしょうか、親が娘を見ているような面と、店を潰さない為に共に闘う同志の面もある間柄を演じさせてもらっていたのですが、今度は完全に、僕が彼女から光を見出す関係性なので、また新たなものが創れるんじゃないかと思います。そういう意味では、笹本玲奈さん、真彩希帆さんのクリスティーヌからも、それぞれ色は違うかもしれませんが眩いばかりの光を感じ、闇の中にいる自分が救いを求めながら、それぞれの光をもらっていきたいなと思いますし、それをくれるお三方だなと感じました。 

和樹と万里生は年齢的にも近くて、目指す場所がとてもたくさんある二人だと思うんです。そんな旬の二人と絡めるのは役者としてすごく楽しみですし、自分なりに経験してきたことを彼らにぶつけ、自分にないものを彼らから得ていきたいなと。役柄としてはファントムとラウルなので対決していくわけですが、役者対役者としてもガチでやっていきたいと思っています。実際彼らを見ていて羨ましい部分もあるんですよ。体力もありますし、音楽のスキルも高いですしね。二人共に『カム・フロム・アウェイ』で共演しましたが、万里生が音を自由自在に操る、音楽と彼が一体化する瞬間を目の当たりにして、こんな天才がいるんだとつくづく感じました。一方の和樹もまずオーラがありますし、何しろカッコいいじゃないですか。それを観てくださる方にできるだけ「私だったらラウルがいいな」と思わせな いようにしないといけない。そんな彼らと僕が何で勝負するのか?と言ったら、もうぶつかって行くしかないなと。そうすればきっとお互い何か刺激し合えるものが生まれ、炎が燃えるのではないかと思っています。 

そうなんですよ。本当に何があったんだと思いますよね。あんなに王子様だったのに、やさぐれてしまっていてね。でも、きっと彼らがそこを想像させてくれると思うんです、10年の間にラウルの中で起きた色々な物語、背負うべき物語というのを。今まで全く違う土俵にいたはずの二人の男が、二人とも闇の世界にいるのがこの作品のなかの現実だし、それを思うと二人にはどこか分かち合える部分があるのかもしれない。でもそこにクリスティーヌがいる以上、分かち合っている場合ではなくて、自分が得たいものの為に対決していくわけですから、その対決が『ラブ・ネバー・ダイ』の特徴でもあると思います。

やっぱり勝負は幕開けだと思います。いきなりファントムのビッグ・ナンバーからはじまりますし、しかも背中から始まると言うね。その背中にお客様が何を感じてくださるのかが重要です。自分はこういう状態で10年間を過ごしてきた、でも愛は変わらずずっとそこにあったんだという、ファントムのある意味では怖さすらある愛、執着、純粋、強さ、弱さ全てが、「君の歌をもう一度」という1曲に集約されている。実際僕も客席で市村さんが演じるファントムの背中を観て、かっこいいなぁ、すごいなと忘れられませんでした。ですからあの背中を目指していきたいと思っています。 

そうなってくれたら最高ですね。言われてみたいです。頑張ります。

今まで皆さんが持っていらしたファントムというキャラクターのイメージ通りになるの か、少し違うと思ってくださるのかはわかりませんが、いずれにせよ絶対に期待外れにはし ない、期待値よりも上のものを皆様に必ずお届けするという覚悟と決意をいま持っています。橋本さとしというフィルターを通して生まれる新たなファントムにも期待していただきたいですし、この『ラブ・ネバー・ダイ』という作品をより深く、かつ娯楽として楽しんでいただける作品にしていきたいなと思っています。究極のエンターテイメントを、必ず楽しんでいただけるものをお届けできるとこの場でお約束いたしますので、是非劇場にいらして下さい! 


作品名ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』
期間2025年1月17日(金)~2月24日(月・休)
会場日生劇場
座席表
チケット料金チケット好評販売中!

S席:平日 16,000円/初日・土日祝 16,500円
A席:平日 11,000円/初日・土日祝 11,500円
U-25:平日土日祝共通 7,500円
※U-25は一般発売より、ホリプロステージ、TBSチケットのみ取扱い
(全席指定・税込)
ツアー公演なし
作品HPhttps://stg.horipro-stage.jp/stage/loveneverdies2025/

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