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東京で2022年からロングランを続ける舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。『ハリー・ポッターと死の秘宝』から19年後を描いたシリーズ8番目の物語として、今年7月に4年目をスタート。ますますの盛り上がりを見せている。この7月に本作のデビューを果たしたアルバス・セブルス・ポッター役の原嶋元久、スコーピウス・マルフォイ役の大久保 樹が語り合った。
2026年1月公演まで、チケット好評販売中!
印象的な場面とお互いの魅力


――このアルスココンビが好きという声を多数聞いています。舞台上でやりとりしていて印象的な場面はどのあたりですか。
原嶋:たっちゃん(大久保)らしいな、スコーピウスらしいなと思うのは、興奮の体現の仕方。バチルダ・バグショットと遭遇する場面や他のシーンで、興奮してワーッとなる。稽古の時から数多くのトライを見てきたので、素晴らしいと思います。
大久保:嬉しいです。スコーピウスはテンションを瞬間に上げるのが大切な役なので。演出のエリックさんから言われたことも加味しながら、自分なりにやっています。原嶋さんのアルバスは素敵!の一言です。
原嶋:でしょうね(ドヤッ!)。
大久保:(笑)。何を返してもきちんと対応してくださって。目の訴え方や表現の仕方、立ち振る舞い、全てにおいて本当に素敵。一緒に作っていく中で原嶋さんの力を感じますし、僕にとっても力になった実感があります。(原嶋に)ありがとうございます!
原嶋:こちらこそです!

大久保:原嶋さんは目がチャーミングなんですよ。ホグワーツ特急で僕が「そのヘンな目つきやめてくんない?」と言う場面では、本当に変な目つきになっていて面白いんです。多分僕しか見えていないと思うけど。図書室のシーンでもものすごく厳しく怖い目をしている。その目と対峙していると気づきが多いです。
原嶋:たっちゃんは素直なところが魅力、武器の一つだと思います。それでいてプライドもちゃんとある。いっぱいいっぱいになったり、わからないことに遭遇したりすると諦める人もいるし、自分の持つ正解だけでやろうとする人もいるものだけれど、たっちゃんはそこで、自分の中にない正解をきちんと探しに行く。その姿勢が素敵だし、僕自身も見習いたいと思っています。

大久保:原嶋さんは全てにおいて、とてもストイック。そこは僕が尊敬しているところです。小さなことにも大きなことにも、全て全力で向かっていく。役に対しても多分誰よりも深掘りして考えているんだろうなと、僕も真似していけたらいいなって思います。
原嶋:うん、悪くないね!(笑)
大久保:アハハ!本当に素敵でかっこ良くて、僕、原嶋さんのこと大好きなんですよ。
原嶋:恐縮です(笑)。
――公演パンフレットで、大久保さんは「(原嶋が)僕のことが大好きだと思います」っておっしゃっていましたが(笑)。
大久保:わぁー(照)。
原嶋:他のスコーピウスが、心情のことなどを真面目に語っているのに、一人だけ小学生みたいなことを言う人が混ざっているな、と(笑)。そうやってクスっとさせてくれるところもたっちゃんの魅力です。オーディションの最終審査にダンスがあって、そこで僕はたっちゃんがいることに気づいたんです。みんなで一緒に踊ったけれど、たっちゃんは僕に気づかない。終わって更衣室で着替える時になって、ようやく「あ!原嶋さん!」って(笑)。
大久保:必死で余裕なかったんだと思います。声をかけていただいて、その時「一緒に受かるといいね」と。ですから合格した時は運命を感じました。

オーディションで初めての9カウントに苦労
――一緒に合格したことも運命ですが、アルバスとスコーピウスという親友同士の役にも運命を感じますね。オーディションで苦労したことはありましたか?
原嶋:普段、僕が踊っているダンスが8カウントなのに対して、課題が9カウントだったんです。でも癖で「エイト、ワン」って数えてしまう。違う、ナインがあった!って、混乱しましたね。どうしよう?と考えた結果、誰よりも声を出すことに決めたんです。「(杖を使う)ワンドダンス」で皆さんが静かに踊っている中、杖に向かって「ちょっと待って!」とか一人芝居を。そして最後のポーズだけしっかりと決めて、「できる空気」を出そうと努めました(笑)。
大久保:それ、見たかったです。僕は2次審査でどれくらい動けるかを確かめたいと言われて、1時間ほど激しいエクササイズをやったんです。その後、呼ばれた人だけ残ってくださいと言われて、まるでオーディション番組みたい。その場で落ちるのがわかるという、今までにない恐怖を感じました。
原嶋:かなり動いた後に、「ワンドダンス」やったよね?
大久保:そうです。「ワンドダンス」をやって、その後で番号が呼ばれたら残れるという。
原嶋:そもそも僕は9カウントができていなかったから、絶望感が半端なかった。
大久保:僕も自信なかったです。

――最終結果はどのように知りましたか。
原嶋:マネージャーさんから電話がかかってきて、ですね。
大久保:僕も同じです。それまで結果を聞くに聞けなくて。
原嶋:オーディションからかなり時間が経ってからの連絡だったから。合格を聞いて、それまでずっと応援してくださっている方たちに最高のサプライズができる、お返しができることがとにかく嬉しかったです。それでちょっと涙が出ました。
大久保:僕は現実味がなかったです。あ、はい……という感じ。稽古が始まる頃になって、ようやく受かった実感が生まれてきました。
――稽古はいかがでしたか。やるべきことの物量が多いから、大変だったのでは?
原嶋:イリュージョンの基礎は家でかなり練習しました。これは回数を重ねるしかないと思ったので。その後のイリュージョン稽古は30分の枠があったけど、家で練習しすぎたからか(笑)、5分でできた。スタッフさんが「どうしよう?25分余ったよ」と(笑)。
大久保:原嶋さんが「ちょっと見て」とそのイリュージョンを披露してくださった時、とても驚きました。あ、消えた!って。
原嶋:タスクが多かったので、できることは1個ずつ早めに潰しておきかったんです。だから課題をいただいた日にできるだけ練習しましたね。でないと、後でいっぱいいっぱいになってしまうから。とはいえ「大変だ」とマイナスに感じたことはありません。
大久保:僕は演技に苦労しました。今までやってきたことでは足りていないと気づき、改めていろいろと考え直してみたり。演技面ではまだ至らないところもあると思うので、原嶋さんに教えていただいてもっと深掘りしていきたいと思っています。
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キャストの組み合わせで、空気がガラリと変わる
――別のアルバス、スコピーウスと組む回もあり、周りのキャストも変わります。演じていて、複数キャストの面白さはどんなところですか。
大久保:初めて稽古で(福山)康平くんとご一緒した時、それまで原嶋さんの台詞のテンポが身体に沁み込んでいたので、最初のうちは返す台詞でつっかえてしまったりもしました。相手の台詞をもっと聞かないといけないなと、今はそれを心がけています。
原嶋:僕は本番でいきなり初めての方と組んでいますが、不安や困り事はひとつもないです。スタッフさんが「元久、明日初めてのパパとスコーピウスだけど、何か確認したいことある?」と気遣ってくださいますが、毎回「一個もないです」と。組み合わせが変わることは、演じている側にとっても楽しみのひとつです。
大久保:かっこいい!僕も同じように言いたいです(笑)。
――原嶋さん、ハリーパパ3人と組んでみて、どんな印象がありますか。
原嶋:(稲垣)吾郎さんにはハリーというスター性の中にある孤独みたいなもの、(平岡)祐太さんはスターになってしまった孤独みたいなものを感じます。大貫(勇輔)さんのハリーにはガラスのような繊細さと力強さを感じますね。


――大久保さん、ドラコパパの3人は?
大久保:邦さん(渡辺邦斗)はずっと稽古も一緒でしたが、優しく穏やか。不器用で怒り馴れていないパパなのかな?と思っています。(内田)朝陽さんは男らしい力強さがあり、包容力がたっぷり。姜(暢雄)さんのパパは明るくて、仲良くできそうなイメージが強いです。

――舞台の上からはどんな景色が見えていますか。
原嶋:それが、初日は何も見えなくて。照明が特殊で、最初に盆が回るシーンではどこが正面かわからなくなってしまうんです。今は馴れてわかるようになったんですけど、初日は全然。ローズ役のまちゃさん(倉澤雅美)に、「僕の立ち位置お願いします。でないと後ろを向いてしまいます」と、上手く誘導してもらいました。頼れるところは頼ろうと、その最初の犠牲者がまちゃさんでした(笑)。
大久保:わかります!盆が回ると向かなければいけない方向があって、それをキープするのが難しいんですよね。うっかりすると後ろを向いてしまうので、注意しています。
原嶋:とはいえ、稽古場ではなく本番の舞台上でないと実現しないことがたくさんあって、それを目の当たりにした時はとても感動しました。
大久保:1個1個が新鮮でしたね。うわぁ炎だ!って。
原嶋:あ、消えたー!とか、もうびっくり。

この作品はいろいろな可能性を秘めている
――本番が始まって、改めて気づいたこの作品の魅力を教えてください。
原嶋:最高の形がいくつもあることです。最高のパパが3人もいて、最高の友達が3人もいて、最高の仲間が何人もいる。その一角が変わるとまた新たな最高が出来上がる、その意味ではいろんな可能性を秘めている作品だと思いますし、その時にしかない空気の中で最高なものが出来上がるのは、この作品の大きな魅力の一つだと思います。決め事がたくさんある中でこんなにも日々変わるのは、キャストの皆さんがいかに素晴らしいかだと感じています。
大久保:僕自身、複数キャストという形が初めてで、俳優の個性が混ざり合い、その瞬間が生まれるんだと感じています。しかも組み合わせが変わるので同じものは一つもない。この最高の環境で最高のキャストの皆様とご一緒できて幸せです。
原嶋:毎日姿を変えるから魔法みたいですよね。
大久保:上手い(拍手)!
――役作りの上で大切にしていることを教えてください。
大久保:その役に一番必要なもの、その役の物語における一番の目的を僕は大事にしています。自分の叶えたいことに対して矢印が向くように。スコーピウスについては、最初決めていた目的があったのですが、稽古する中でちょっと違うかなと思い出して。今、僕が何を目指しているかは劇場でお確かめください!

原嶋:この作品において僕が大切にしていること。それはアルバスがいじめられっ子であることです。実は彼がいじめられている描写は、冒頭の10分しかないんです。ともするといじめられっ子であることが抜けてしまうかもしれない、そうなるとこの物語は成立しないと僕は思っていて。なので、いじめとはどういうものなのか、様々な記事を読んでリサーチしました。いじめられている子たちがどうなるのか、その子たちが頑張って生き続けられる理由は何なのか。ただの思春期の男の子ではないことを大切にしています。

――ありがとうございます。最後にお互いにエールを送ってください!
原嶋:クルーシオで怪我しないように。
大久保:はい!って、本当にそのエールで終わりですか?
原嶋:え?逆に、欲しいエールを教えて!
大久保:頑張っていこうね、的な?
原嶋:うん。一緒に頑張っていこう!
大久保:はい、ゴールまで手を繋いで一緒に頑張っていきたいです!


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作品名 | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』 |
日程 | 上演中~2026年1月 |
会場 | TBS赤坂ACTシアター 座席表 |
上演時間 | 約3時間40分(休憩あり) 本公演は、演出の都合上、 開演した後はお客様のお座席にご案内ができるお時間が限定されております。 詳しくはこちら>> |
チケット情報 | 2026年1月公演まで、チケット好評販売中! チケット詳細はこちら>> |
チケットに関するお問合せ | ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11:00~18:00/定休日 土・日・祝) |
作品HP | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト https://www.harrypotter-stage.jp |