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2022年にスタートした舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』東京公演は今年で4年目。「ハリー・ポッターと死の秘宝」の19年後、結婚して父親になったハリー・ポッターを描くこの作品、スペクタクルなイリュージョンが満載な上、芸術性の高さと深いドラマで人気を博している。7月には新キャストを迎え、ますますの盛り上がりを見せそうだ。新たにハリー・ポッター役として登場する平岡祐太は、『ハリー・ポッターと呪いの子』を観て感動し、自ら事務所を説得してオーディションを受けた経緯を持つ。衣裳合わせの最中に行われたインタビュー、マジカルな世界の入り口に立った興奮と感動が伝わってきた。
(取材・文:三浦真紀/ポートレート撮影:番正しおり)
【2025年7月~10月公演 チケット先着販売中!】
〈先行先行〉4月11日(金)23:59まで
〈一般発売〉4月12日(土)10:00~

鏡に映る自分が既にハリーだった

――ハリーのスーツ姿、お似合いでした。初めて衣裳を身につけたご感想は?
もう僕ではなくなっていましたね。鏡の前でメガネをかけた瞬間に、ああハリーだ!って。最近ずっとハリー・ポッターシリーズの小説を読んだりしてこの世界にどっぷり浸かっていたので、ハリーになるって夢があって楽しそうだなって思いました。
実際に着てみると、あれ、こんな色だったっけ?と、ステージで見る色と印象が違ったのも興味深かったです。何より、1ミリ単位で衣裳を身体に合わせていくことに、衝撃を受けました。インターナショナル衣裳アソシエイトのサビーン(・ルメットル)さんの感覚が1ミリにまで及び、ワイシャツの袖の長さへのこだわりやジャケットとのバランスなど、英国らしいというか、トラディショナルなスーツの国なんだと実感しました。きっと僕たちには見えないものが見えていて、ああいった細部までのこだわりがハリー・ポッターの世界観に繋がっているのかもしれないと感じました。もしかしたら、ハリーが働く魔法省の机や、あちこちのシーンに出てくるトランクにしても、ものすごいこだわりがあるのかもしれませんね。

――「ハリー・ポッター」シリーズはお好きでしたか?
特に詳しいというわけではありませんでしたが、僕は映画が全世界で大ヒットしていた頃に育った世代で、気がついたら自然と身近にありました。
――どんなところに惹かれますか?
最近感じるのが、伏線の巧妙さ。特に『呪いの子』を勉強し始めてから感じています。この伏線、よく回収されているなぁと感心するばかり。そしてシンプルですけど、蛙チョコレートや百味ビーンズの存在。ああいった独特のものが「ハリー・ポッター」の世界観を作り出している気がします。ちょっとお茶目でかわいらしくて、ファンタジーの世界観にちゃんと収まっている。鼻くそ味みたいに、毒づいたブラックユーモアがあるところも大好きです。英国らしい。
そして「ハリー・ポッター」の死生観。元は児童書として書かれたのだと思いますが、大人が読んでも満足しかない。イギリスの子供たちは、どんな気持ちでこの大人みたいなファンタジー世界を受け止めたのだろう?と不思議になります。日本人にはあまりない感覚じゃないかな。

『呪いの子』は奥行きが半端なく、伏線の嵐!
――20代の頃、「ハリー・ポッター」に憧れて一人でオックスフォードを旅したことがあるそうですね。
はい。当時はまだあまり情報を得ることもできず、ロケ地とかは行けなかったんですけど。でも一番記憶に残っているのは、キングスクロス駅から特急電車に乗ってオックスフォードに向かう、その道中の田舎の景色がすごく綺麗だったこと。古いものがそのまま残っている文化、古いものにこそ価値があるというような田舎の風景にそういうものを感じて素敵だと思いました。映画のホグワーツの外観も、実際にある昔のお城をモデルにしていたりしますからね。イギリスは伝統的なものを守りながら経済発展していく、面白い国だと思います。
――舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の印象は?
2回観たのですが、特に2回目の時は1回目よりもしっかり予習し、情報を持って観に行ったので、奥行きのすごさを感じました。伏線の嵐、そしてパラレルワールドと時系列の整合性。また有名キャラクターたちの登場にも感動しましたね。映画を観ていたからこそ、彼らの孤独や愛する人への変わらない想いがわかるし、グッときてしまいます。タイムターナーが作動すると、劇場が歪むシーンもリアルで驚きました。ディメンターもしっかり怖くて、この世界に没入してしまいました。

――その舞台に今回、ハリー・ポッター役としてお立ちになる。ご自身が望んでオーディションを受けられたそうですね。
はい。初めて観劇した時に、自分の中でこれだ!と思ったんです。純粋に感動したというのもあるんですけど、内なる声に呼ばれたような気がして。ハリー・ポッター役をやりたい!と心底思いました。このシリーズは魅力的なキャラクターが大勢登場しますが、その中でもハリー・ポッターしかない!と、ファーストインプレッションで思いました。
――『呪いの子』のハリーは次男のアルバスとの関係が上手くいかない、なかなか複雑な状況です。
そうですね。「ハリー・ポッターと死の秘宝」の19年後、結婚して父親になったハリー。初めてこの舞台を観た時は毒親感が強く、それに戸惑ったりもしました。ハリーは両親を幼い頃に亡くしたこともあり、自分の子供とどう接していいのかがわからない。もちろんヒーローなのですがスーパーヒーローではない人間臭いところが一味違う印象です。
そんな人物を描く面白さもありますが、僕はやはり世界観を好きになったことが大きいです。あの「ハリー・ポッター」の世界の住人になりたいと思いました。観客の皆さんそれぞれの中に既に自分のハリーが存在していると思います。愛すべきキャラクターとして。だからまず自分が舞台に立った時に、「ああ、ハリー・ポッターだ!」と思われたい。そうでないと、この世界観を壊してしまうでしょうから。

背景や歴史など周りを知ることでハリーを深めたい
――舞台に向けて、今目標としていることがありましたら教えてください。
目標としては、しっかりハリー・ポッターとして舞台に立つ。かつ準備期間5カ月があることが初めてなので、どうやって作っていこうかなとワクワクした気持ち。時間をかけてきちんと深掘りしていきたいです。映画でハリーを演じたダニエル・ラドクリフさんのインタビューを読んだら、ハリー・ポッターの役そのものに没頭するのではなく、彼自身のことを知っていくことが大事だったと仰っていました。ですから僕は「ハリー・ポッターだぜ!」という感覚よりも、彼を取り巻く「ハリー・ポッター」の世界自体をもっと知って取り込んでいく方向性でこの5カ月頑張ろうかなと考えています。

――平岡さん、舞台出演は2年ぶりですね。他にこの舞台のために準備していることは何かありますか。
ランニングやボイストレーニングをして身体作りに努めています。自宅のクローゼットの中で発声練習をしているんですけれど、先日ちょうど大きな声を出せるようにと改造したところです。
――クローゼットの中で!?
はい。まさにダーズリー家にいて階段下に閉じ込められているような状態ですよね(笑)。というのはジョークで、ウォークインクローゼットの中で発声練習しているという話。テンションを上げるために、「ハリー・ポッター」グッズを飾ったりもしています。杖も欲しいですね。早くエクスペリアームスを練習したいです。


作品名 | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』 |
日程 | 上演中~2025年10月 |
会場 | TBS赤坂ACTシアター 座席表 |
上演時間 | 約3時間40分(休憩あり) 本公演は、演出の都合上、 開演した後はお客様のお座席にご案内ができるお時間が限定されております。 詳しくはこちら>> |
チケット情報 | 2025年6月公演まで、チケット好評販売中! 7月~10月公演チケット、4月11日(金)23:59まで先着先行販売中! https://harrypotter.horipro-stage.jp/ ※購入には会員登録(無料)が必要 |
チケットに関するお問合せ | ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11:00~18:00/定休日 土・日・祝) |
作品HP | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト https://www.harrypotter-stage.jp |