音楽劇『エノケン』作:又吉直樹、演出:シライケイタ コメント&プロフィール

■作:又吉直樹

 「昭和の喜劇王」と呼ばれた榎本健一。 
その名にふさわしく、彼は戦前から戦後にかけて、多くの人々を笑いで楽しませてきました。現在でも、映像を通じてエノケンの軽妙でリズミカルな芝居に触れることができ、書籍を通じて彼の言葉や哲学を感じ取ることができます。 しかし、ただその記録をなぞるだけではなく、彼の生き様や表現の本質に改めて光を当てることで、時代を超えた普遍的な魅力をより鮮明に描き出せるのではないかと考えています。 
今回の舞台では、大先輩である彼の笑いそのものだけでなく、彼の人生からも目を逸らさず、観る人々にエノケンの息吹をお届けしたいと思っています。 

<プロフィール>
1980年生まれ。大阪府寝屋川市出身。お笑いコンビ「ピース」で活動。2015年に文壇デビュー作の「火花」で、第153回芥川賞を受賞。著書に「東京百景」「劇場」「人間」など。自身のYouTubeチャンネル【渦】では「インスタントフィクション」で文章の解釈を解説。オフィシャルコミュニティ【月と散文】では、週3回書き下ろしの文章を更新中。戯曲の書下ろしは今回が久々となる。

■演出:シライケイタ

戦前から戦後を駆け抜けた不世出のエンターティナーであるエノケンを、現代日本演劇界が誇る稀代のエンターティナー市村正親さんが演じるというこの企画は、演劇界の大事件です。
更に、現代文学界とお笑い界を牽引する又吉さんが脚本を担当されると聞けば、演劇ファンならずとも垂涎ものの本企画でございます。
エノケンと市村さんの人生が重なる時、この作品の伝説が始まります。
この作品に関われる幸福と重圧を目いっぱい感じながら、これまでの演劇人生全てをかけて、閉塞感漂う現代日本に痛快な風穴を開けたいと思っております。
どうか、伝説を目撃しに来てください。

<プロフィール>
1974年生まれ。桐朋学園芸術短期大学在学中に、蜷川幸雄演出『ロミオとジュリエット』のパリス役で俳優デビュー。その後2011年より劇作・演出を開始し、13年には文化庁・一般社団法人日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2013」にて、優秀賞と観客賞を受賞。17年、第25回読売演劇大賞 杉村春子賞を受賞。劇団「温泉ドラゴン」代表。23年より座・高円寺の芸術監督を務めている。

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