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ハリー・ポッターシリーズ8作目の物語である舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』がついに2026年、ラストイヤーに突入した。今年、10人のハリー・ポッターが登場するが、その中でぜひ注目してほしい一人が上野聖太。2022年の開幕からマゾーニ/BOB、そしてハリー・ポッター役のカバーを務めてきた上野が2026年1月18日より、満を持してハリー・ポッターの本役として登場。長くこの作品に携わる喜びと苦労、そしてハリー・ポッターとして舞台に立つ今の心境を聞いた。
伝説的舞台のラストイヤーに10人の英雄が集結!
ハリー役声優・小野賢章がついに舞台に参戦!
▼記事・コメント掲載中▼
【2026年5月~7月公演】
〈先着先行〉1月31日(土)23:59まで受付中
〈一般発売〉2月1日(日)10時~
2026年4月公演分まで、チケット好評販売中!
みんなの努力の積み重ねが今の形に繋がる
――2024年4月20日、初めてハリー・ポッターとして本番の舞台に上がった時のことを覚えていますか?
本編は無我夢中で、記憶があまりないんです。でもカーテンコールは今まで味わったことのないような、温かくて幸せに満ちた空間でした。多くの方々に見守っていただいた中でやっていたんだと実感し、感動しましたね。今でも忘れられない瞬間で、僕の糧になっています。

――ミュージカル界の皆さんも応援していましたね。今はハリーとして舞台に立つことに慣れてきましたか?
少しずつですが余裕が出てきました。2025年11月は8回ハリーをやって、それ以降はコンスタントに舞台に立っているので。それまでは大体月1回のペースだったので、出演のたびに自分の中で台詞や役をおさらいして起こしていく作業が必須でした。前の月にできた記憶はあっても1カ月後にちゃんと台詞が出てくるのかどうかが不安で、その戦いだった気がします。
今は段々と楽しめるようになって、芝居上で共演のキャストに「こんなのどう?」ってチャレンジして突っついてみたり。今日のドラコと対峙するシーンはそういう感じで、ドラコ役の渡辺邦斗さんが僕の芝居に乗っかってくれた。とても楽しかったです。

――生の芝居ならではの楽しみですね。やはり月1回と、期間が空いての出演は大変でしたか?
ええ。その前段階の1、2年目はカバーキャストとして、本役の方に何かがあった際の緊急出演が主でした。カバーキャストはみんなそうで、急遽呼ばれて舞台に立つ。もちろん稽古はしてきていますが、そのプレッシャーは半端なものではありません。出演が決まると、本番前に共演キャストがみんな参加して関わるシーンをおさらいします。時間のない中でかなりハードですし、リスクもあります。その点、定期的に出演していれば緊急で呼ばれた時にも対応できて、周りのキャストも困りません。ロングランを重ねるうちにそういったことがわかってきて、今の形になってきたわけです。
僕も3年目に緊急登板がありました。その日、アンサンブルとして出演する日だったので、朝、駅に向かいつつ、気づいたらマネージャーから携帯に着信が2回来ていました。メッセージを見たら、「今日、ハリー・ポッター役になると思いますので覚悟を決めておいてください」と。その時はラッキーなことに直前にハリー役をやっていたので、劇場に着いてテクニカルをいくつか確認して即、舞台に立てたんです。そういった経験から、間隔をあまり長く開けずに定期的に出演するのが理想だとわかってきた。また、それまで緊急登板してきたカバーキャストができると証明したことで、公演を任せられると信頼を得たことも事実。みんなの努力の積み重ねが、今のスタイルに繋がったと思っています。
自分の全てを曝け出して思いを伝える大切さ
――好きなシーンはどのあたりですか?
好きなシーンはいくつもあります。お客さん目線で言えば……劇中で絶対にもう会えないと思っていた人に思いを伝えるシーンがいくつかあります。ハリーは絵画となったダンブルドアに思いを伝える。スコーピウスはスネイプに、アルバスはセドリックに。アルバスはセドリックに、「君のお父さんは君をとっても愛してる」と言うけれども、アルバス、君もだよ、と言いたくなる。本人は言わないけれども別の人たちが伝える、その構造が泣けるんですよね。
演者としては、ラストの「美しい丘」と呼ばれる、ハリーとアルバスが二人きりで会話するシーンが全てかなと。あのシーンがなかったらハリーはどうしようもない親で終わってしまうでしょう。そこに至る道のりで鎧を捨てて、ひと皮むけて、美しい丘でいかに人間としてアルバスに向き合えるかが勝負だと思っています。

海外の演出スタッフが3年目から変わり、「美しい丘」のシーンは様々なニュアンスでできる分、稽古の段階で方向性が定まっていない感じがしました。見学してそう感じたし、アルバスや1年目からのキャストもそう感じていました。そこで演出のエリックに、このシーンについてどう考えているのかを直接確認してみたんです。すると僕らと考えが違うわけではないことが判明して。このシーンは決して大団円ではなく、カビ臭い毛布のことでハリーとアルバスが喧嘩した時と同様、父子の関係は危ういままでどちらに転ぶかわからない。その中で、父と子が互いを理解しようと一歩踏み出した、その瞬間なのだと。それを聞いて、僕は役を越えて人間同士としてアルバスと会話をする、自分の全てを曝け出して思いを伝えることが大事だと悟りました。
ハリーは実は最初からアルバスに、お前のことを思っているよ、愛しているよと伝えようとしているんですね。だけどそのやり方が思春期のアルバスとは合わないし、ハリーも向き合い方がわからない。そこで紆余曲折し、様々な経験を経てこのシーンに辿り着く。好きなシーンであり、勝負どころ。このシーンには全力を尽くして向かっています。
――セットや小道具、衣裳などでハリーを表すものは何だと思いますか?
多分、お客さんは上まで見えないと思うのですが、ハリーはハイカットのブーツを履いています。カバー稽古の時からいつも履いていたので、僕には一番馴染みがありますね。あとハリーの象徴としては傷、そして眼鏡。傷は公演のたびにメイクさんに描いていただいています。
仲間と共有できる喜び
――ハリー役キャストとの思い出深いエピソードがあったら教えてください。
たくさんあります。開幕前の稽古では、石丸幹二さんが「あそこはこう変わったよ」と変更点をたびたび教えてくださいました。向井理さんは僕の劇場でのカバー稽古を客席で観てくださりアドバイスもいただきました。ゲネプロも観に来てくれましたね。藤木直人さんも「本番観に行くよ」と仰って、しばらくしてシャンパンと肉まんという豪華な差し入れをしてくださいました。裏で藤木さんに会った時、「待たせたね!」って言われて、めちゃくちゃカッコいい〜!ってしびれました(笑)。ハリー役は皆さん、優しい方ばかりです。

自分がハリーとしてデビューした後に関わった、3、4年目のハリーたちとはまた関係性が変わってきましたね。照明はこういう感じで本番ではこう見えるよ、このタイミングで出たらちょうどいいよ、など僕なりに細かいアドバイスができるようになりました。実際に舞台に立つと、ハリー役にしかわからないことも多いんです。「あのシーンはどうしてる?」と稲垣吾郎さんや平岡祐太さんから聞かれて、「そうですよね。そこ悩みますよね」と。同じ悩みを共にする仲間にしか味わえない感覚。それを共有できるのが嬉しいです。

――アルバス役のキャストたちとはどんな感じですか?普段から親子っぽい?
どうだろう?僕の場合、アンサンブルとして出演する日もあるので、ハリーとして登板する日はアルバスに「パパ!」と呼んでもらって、パパにしてもらっている感じです。アンサンブルの時は「お父様はあちらです」となって(笑)。そこは自分の中ではっきり区別をしています。
カバーキャストのみんなも言っていたことですが。例えば僕の場合ならアンサンブルのマゾーニ/BOBとして出演する時と、ハリー役として出る時では、稽古も本番も全く違う作品に参加している感覚です。振る舞いも違いますし、アンサンブルの時はまず転換や装置の位置取り、タイミング、安全面などを気にかけなければなりません。ハリーの時は自分の芝居として、感情、波動やオーラを使っていく。それがとても楽しかったりします。
誠意を持って向き合いたい
――上野さんは稽古でハリー役を務めることも多いそうですね。
はい。エイモス・ディゴリーの間宮啓行さんやハーマイオニー役の酒井美紀さんが途中から参加することになり、稽古では僕がハリーで何回かやって、通し稽古では別のハリーになったりもしました。カムバックするキャストの稽古にハリーとして参加することも多いです。アルバス役の佐藤知恩くんが戻ってきた時は、僕がゲネプロでハリーをやらせてもらいました。エールを送る気持ちを込めて、僕は全力で知恩にぶつかっていったんです。たとえ稽古だとしても、その人を心から送り出すために全力でやりたいな、と。
――素敵ですね。稽古やゲネプロなら、多少力を抜いても良さそうなのに。
僕もみんなに稽古を付き合ってもらった経験があるからこそ、誠意を持って向き合いたいんです。そして稽古で全力で向かってきてくれた方には感謝しかないし、絶対に忘れない。この先もカムバックするキャスト、そしてこれからデビューするキャストもいます。僕もハリーとして演じるチャンスを、一瞬たりとも無駄にしたくない気持ちがあります。知恩くんのゲネプロ前には、僕はいろんなことを取っ払って、新しいことを見つけたいと話しました。実際にやってみると、まだまだ深掘りができるし、発見も多い。飽きることはありません。
実は2年目に突入した頃、ハリーのオーディションをちゃんと受けさせてくださいとお願いしました。確か3年目のハリーの選考が進んでいる時。僕はまだカバーキャストとしてもデビュー前でした。当時の演出家がオーディション会場で2つの場面を見てくれました。そこで「脚本や設定を本当に理解している。Excellent!」と言ってもらえて、その後にハリーデビュー。自分としてはお墨付きをもらえたような気がして、それからデビューできたのはよかったです。
海外チームがカバーキャストを見る機会はあまりなかったのですが、僕は歴代の演出家に見てもらえた。そこは運が良かったと思っています。
――運だけでなく、上野さんの頑張りが認められたということでしょうね。
僕は最初のオーディションではハリーの本役にはなれなかったんです。でもアンサンブルをやりながらカバーを務め、自ら働きかけてチャレンジしたことは無駄ではなかったと実感しています。こうしてハリーの本役になることで、努力次第で拓かれる道もあるんだと証明できた。これからも演劇を目指している皆さんに希望を与えられるように頑張りたいです。

――新ハリーとして今年、小野賢章さんがデビューされますが、ご縁があると伺いました。どんな繋がりか教えていただけますか?
かつて同じ事務所に所属していました。共演したのは2008年に上演したミュージカル『銀河鉄道の夜』。その頃から賢章は歌って踊れて何でもできる俳優という印象でした。会うのはその後、僕が賢章が出演していたミュージカルを観劇しに行き、楽屋で挨拶して以来になります。同じ役を演じられるとは、稽古や本番がますます楽しみです。
――2026年末のクローズが発表されました。読者の皆さんにメッセージをお願いします。
あと1年、きっとあっという間に過ぎていくのでしょうね。無事にフィナーレを迎えられるように、今まで同様、健康に気をつけて駆け抜けたいです。僕もハリーとしてまだまだ進化する余地があると思うので、1回1回全力で取り組みます。一度観たという方も作品はまだまだ進化していますので、ぜひまた劇場にお越しいただきたいです。日本ではなかなか観られないスケールの大きな舞台です。お見逃しなく!


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| 作品名 | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』 |
| 日程 | 上演中~2026年12月27日(日) |
| 会場 | TBS赤坂ACTシアター 座席表 |
| 上演時間 | 約3時間40分(休憩あり) 本公演は、演出の都合上、 開演した後はお客様のお座席にご案内ができるお時間が限定されております。 詳しくはこちら>> |
| チケット情報 | 2026年4月公演まで、チケット好評販売中! 【2026年5月~7月公演】 〈先着先行〉1月31日(土)23:59まで受付中 〈一般発売〉2月1日(日)10時~ チケット詳細はこちら>> |
| チケットに関するお問合せ | ホリプロチケットセンター 03-3490-4949 (平日11:00~18:00/定休日 土・日・祝) |
| 作品HP | 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト https://www.harrypotter-stage.jp |






