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1976年に創設された、伝統あるオーディション「ホリプロタレントスカウトキャラバン」。48回目を迎える今年は映像と舞台どちらでも活躍する「次世代俳優」の発掘・育成を目指す。
育成型のこのオーディション、第三次審査では、映画やドラマ、舞台で俳優として、また最近では演出家としても活動中の須賀健太が特別レッスンを担当。この日、ホリプロ内の俳優を集めてワークショップを行なっていた須賀さんに、俳優になるとはどういうことか、ご自身のキャリアややり甲斐について聞いた。
(取材・文:三浦真紀/撮影:SHUN ITABA)
――須賀さんが芸能界に入ったきっかけは?
4歳の頃にテレビで特撮のヒーローものドラマを見て大好きになり、その世界に行きたいと思いました。テレビに出たい、お芝居をしたいというよりは、純粋にヒーローに会いたいという気持ちからのスタートでした。目立ちたがり屋だったこと、また子どもながらにオーディションを受けることで競争心も芽生え、どんどん面白くなっていきました。

――7歳の時にドラマ「人にやさしく」が大人気に。そこから順風満帆でしたか?
いいえ。高校生の頃には仕事が少なくなった時期があり、世間のイメージと自分の年齢とのギャップに直面したりもしました。高校生の頃って子役仲間がやめていく時期なんですね。他に好きなものを見つけたり、部活や大学への進学準備が始まって。そこで自分は何をしたいんだろう?と改めて考えた時に、純粋に芝居がやりたいと思えた。もう一回スイッチが入ったんです。
――なぜお芝居をやりたいと思えたのですか?
僕は子どもの頃から現場が好きなんです。大人が大人数で、ああでもない、こうでもないと言いながら、1つの方向に向かう姿がかっこよくて、それに憧れて現場に行っていました。もの作りの楽しさを、早い時から知ることができた。それは今も根幹にあります。
――俳優とはどんな仕事だと思いますか?
ごっこ遊びの延長だと思います。子どもの頃って、何の抵抗もなく何かになれる。それが年齢重ねるとすごく難しいことに思えてきて、実際に難しくなってきます。そこに向き合えるのは、俳優の特権ですね。誰にでもなれるし誰にもなれない、矛盾したものを抱える仕事だとも思います。感情面では自分の内面を発散しつつ、同時に客観的な目線を持つ必要もあり、その複雑さが面白い。俳優ってどんなことをするんですか?と聞かれて答えられないことが魅力だと思います。僕は俳優の仕事を始めて27年になりますが、いまだに何もわからない(笑)。
ただ、自分が思っている以上に自分の可能性に気づけたりもします。特にオーディションでは、自分が思ってもいない角度からの自分を知ることができる。それがめちゃくちゃ魅力だし刺激的でもあります。今日のワークショップでも、若手俳優たちにやりたい役と実際にオファーが来る役を言ってもらったら、かけ離れているんですね。そのくらい自分と他人の目は違う。オーディションは自分の知らない自分に出会える、大きなチャンスなんです。


――映像と舞台の違いを教えてください。
全然違いますね。例えると、バレーボールとビーチバレーの違い。ビーチバレーは野外で2人制、室内のバレーは6人制。でもルールは同じで、3回で相手コートに打ち返して、落とした方が負け。つまり芝居のルールや枠組みは同じだけど、使う筋肉や環境などいろいろなものが違う。どちらも深めるべきだと思います。よく映像に出ている人がすごくて、舞台は売れない俳優がやるというイメージを持つ人がいます。でも実際に優劣はなくて、どちらも深めることで俳優として成長できる。それを感じて僕は舞台を始めました。
舞台は物語の最初から最後までの起承転結を2時間くらいで演じられる。演じることにピュアに向き合えるところが僕は大好きです。一方、映像は撮影の順番がストーリー通りではなく、感情の流れもバラバラ。それを自分の中で1つにつなぐ作業が必要でパズルみたいな楽しさもあります。舞台とは全然違う脳を使う感じです。

――須賀さんはミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の開幕を控えていますね。稽古はどのような感じですか?
初ミュージカルで、四苦八苦しています(笑)。30代になっての挑戦です。やはり年齢を重ねるといろいろなことが上手くなる分、新しいことに挑戦しなくなりがち。経験を積むのは良いことですが、小さくまとまってしまうのはもったいないなと。演出という挑戦を始めてはいますが、僕は俳優なので、俳優としての挑戦もしなければと思いました。


――定期的に俳優のワークショップをやられていますが、その目的は後輩の育成?
もちろん新たな才能を育てたいのが第一。またホリプロ内の俳優同士の交流も目指しています。

須賀さんのワークショップには20代のホリプロ俳優計8名が参加。既存の脚本の読みあわせや、須賀さんのオリジナル脚本の立ち稽古などが行われた。俳優の組み合わせが変わることで、役の設定や関係性が全く違って見えることが面白い。
僕が得てきた経験が、参加者に当てはまるかというと、決してそうではありません。でも選択肢が増えることは良いことなので、選択肢の一つとして、僕が伝えたことが役立ってくれればいいなと思います。僕自身、若手俳優たちが頑張っている姿、十人十色の彼らを見ているだけで刺激をもらえるし、楽しくて仕方がない。将来的にはホリプロの俳優たちで1本、演出作を作れたらと考えています。
「ホリプロタレントスカウトキャラバン」でも特別レッスンを行います。まずは芝居を楽しんでもらいたい。照れや抵抗感をどれだけ減らせるかに尽力したいです。
――「ホリプロタレントスカウトキャラバン」ではどんな人材に来てほしいですか?
誰でもOK。よく俳優になるのは変わり者、世間とずれているから俳優をやる、なんて話を聞いたりしますが、僕にはピンとこない。この仕事は当然、人としてちゃんとしなければいけない部分もたくさんあります。特定の素質がなければいけないわけでもない。技術的な筋肉を鍛えれば、その人が何も持たずとも素晴らしい演技ができるようになったりします。僕も自分のことを普通だなぁと思う瞬間が多くて、だからと言って辞めるという選択はなかった。一見とても個性的に見えるけれども、根は普通で真面目という俳優も多いですし。もちろん、個性あふれる人、とがっている人もウェルカムです。

――「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に応募しようか迷っている人に一言お願いします。
演じるって本当に楽しいこと。だから、参加してみて、まず演じることに触れてもらえたら嬉しいです。自分ではない何者かになる、そのパワーは半端なく、それを感じられるのは俳優の特権。舞台に立って、カーテンコールで拍手を浴びたり、映画の舞台挨拶で盛り上がったり、映画のエンドロールで涙したり、観客の方々の反応を直接感じることも幸せです。
また、自分にこんな感情があったのか!こんな声が出るんだ!こんな動きができるんだ!と知ることも楽しい。長い人生を通して、自分を探る&知る旅をしたい方はぜひ挑戦してみてください。


須賀健太と俳優・プロデューサーの桧山征翔が演劇ユニットOctolibre(オクトリーブル)を立ち上げ。以前、本読みから立ち稽古、最後に照明と音響つきでお見せするイベントを2回行ない、好評を得た。ついにこの秋、旗揚げ公演を敢行。ドラマの脚本で活躍しているガクカワサキさんによるワンシュエーションの会話劇コメディー、お楽しみに!
<須賀健太(すが・けんた)>
1999年より子役として活躍し、近年は映像・舞台と幅広く出演。演出家としても活動する。近年の出演作に、ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』、舞台『最後のドン・キホーテ』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)、『1995117546」(ウォーリー木下演出)、『ママごと』(田村裕演出)、『劇団朱雀2026公演』(早乙女太一演出)、ドラマ「アクマゲーム」「メルカトル・ナイト」など。演出家としての参加作品に、劇団『ハイキュー!!』など。2026年10、11月には新宿シアターサンモールにて自身が演出を務める劇団Octlibre旗揚げ公演を予定している。
