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ウエストエンドで注目を集める気鋭クリエイターとホリプロが、共に立ち上げる新作オリジナルミュージカル『ニコラ・テスラ ~エジソンが恐れた孤高の天才~』。ロンドンワークショップの様子と共に、プロデューサーに作品を創ることになったきっかけ、魅力などを企画者ならではの視点でお答えいただきました。
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02 誰もがテスラの中に、自分自身の一部を見つけていた8日間
03 テスラの人生を共に旅していくような作品
04 この作品を「人生讃歌」だと思っています
05 劇場でしか生まれない体験を届けたい
プロデューサープロフィール
■井川荃芬/Ikawa Kaoru

株式会社ホリプロ公演事業本部ファクトリー部兼国際コンテンツ開発室所属。
俳優のマネジメント業務を経て、現部署へ異動。
以降、海外作品の日本版公演、招聘作品、日本発オリジナル作品など、幅広く舞台制作を手がけている。
主な担当作品に、ミュージカル『メリー・ポピンズ』『ビリー・エリオット』『ジェイミー』『スリル・ミー』『キングアーサー』『カム・フロム・アウェイ』などのライセンスミュージカルのほか、『COLOR』『ミセン』『ある男』『白爪草』などオリジナルミュージカルの企画・プロデュースがある。『デスノート THE MUSICAL』では立ち上げから携わり、海外プロダクションによる公演においては、海外との窓口として交渉業務などを担当している。
12月開幕の新作、詩と音楽の光景『エレクトラ』の上演も控える。
この作品の出発点

ー「二コラ・テスラの半生」を題材にオリジナルミュージカルを創ることになったきっかけ・理由を教えてください。
この作品のアイディアは、ある日の食事中の何気ない会話から生まれました。
テレビで放送されていたニコラ・テスラとトーマス・エジソンのドキュメンタリーの話を聞いたのがきっかけです。
科学によって未来を変えようとした二人の男。しかし、その中で私の心に強く残ったのは、人間の欲望や恐れが介在したときに起こる出来事でした。特に、エジソン陣営が交流電流の危険性を印象づけるために電気椅子を利用した歴史には大きな衝撃を受けました。人類を豊かにするはずの技術が、人間の選択によって全く違う方向へ向かってしまう。その怖さと、人間の複雑さに惹かれたのです。まさに今、私たちの目の前にあるAIとの向き合いにも繋がると感じました。
しかし、テスラについて調べれば調べるほど、私の興味は科学史から彼自身の人生へ移っていきました。幼い頃に亡くした兄への思い。孤独を選び夢を追いかける天才として生きる苦しみ。そして人生の中で他者と繋がりたいと願い続けた一人の人間の姿。そこには、単なる発明家の伝記ではない、現代を生きる私たちにも通じる普遍的なドラマがありました。
この作品は電気の歴史を学ぶ作品ではありません。テスラの人生を通して、「今の自分の選択が未来を作っていくこと」、そして「どんな人生にも必ず輝きがあること」を描きたいと思いました。そのテーマを、ロック、ポップス、エレクトリックサウンドを融合した音楽とともに届けたいと思ったことが、この作品の出発点です。
ニコラ・テスラ(1856-1943)
オーストリア帝国(現在のクロアチア)出身の電気技師・発明家。1884年に渡米し、エジソンの会社「エジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニー」で働く。後に独立し、効率的に長距離送電が可能な「交流(AC)送電方式」を確立。回転磁界の発見やテスラコイルの発明など、現代の電力システムや無線通信の基礎を築いた。先見性に満ちた数々の理論を提唱したが、その独創的な思考は当時の社会において理解が及ばないことも多く、私生活では孤独を好んだことで知られる。
誰もがテスラの中に、自分自身の一部を見つけていた8日間

ーロンドンで行われた8日間のワークショップが終わり、最初に感じた感想は?
「この作品はテスラの伝記ではない」
もちろん、テスラが発明家として成し遂げたことや歴史的な出来事は作品の中に描かれています。しかし、実際に俳優たちが役を生き、音楽が重なったときに見えてくるのは、一人の人間の人生です。
幼い頃に兄を亡くした喪失感。理解されない孤独。そして、自分が選んできた人生をどう受け入れていくのかという問い。
テスラは未来を変える発明をした人物ですが、私がワークショップを通して強く感じたのは、その偉業よりもむしろ人間としての弱さや不完全さでした。そして、その不完全さこそが魅力なのだと思います。
また、この作品には「人は誰かと繋がることで救われるのか」というテーマも流れています。テスラが人生の中で出会う人々との関係は、単なる成功物語ではなく、一人の人間が他者との関わりの中で少しずつ変化していく過程として描かれています。
そして何より嬉しかったのは、ロンドンの俳優やスタッフたちが、この物語を決して“偉人の話”として捉えなかったことです。誰もがテスラの中に自分自身の一部を見つけていました。
ニック・ブッチャーとロジャー・ディッパーが創り上げる世界は、決して歴史上の人物を神格化するものではなく、一人の人間の人生に寄り添うものです。そのことを実際に目の前で確認できた贅沢な8日間だったと思います。
テスラの人生を共に旅していくような作品

ー本作の魅力・注目ポイントを教えてください。
本作の魅力は、歴史上の人物を描きながらも、非常に“体感的”なミュージカルになっていることだと思います。
ニコラ・テスラという人物は、天才発明家として語られることが多いですが、本作のテスラは決して近寄りがたい偉人ではありません。思ったことをすぐ口にしてしまったり、人付き合いが不器用だったり、夢中になると周りが見えなくなったりする。どこか危うく、愛すべき人物として描かれています。
また、ニック・ブッチャーの音楽が本当に素晴らしく、ロック、ポップス、エレクトリックサウンドが融合した楽曲によって、テスラの頭の中に渦巻くアイディアや感情がダイレクトに伝わってきます。時にエネルギッシュで、時に切なく、気が付けば彼の人生に引き込まれている。そんな音楽の力を感じています。
さらに今回は、大きな劇場でスペクタクルを見せる作品ではなく、小さな空間だからこそ生まれる濃密な演劇体験を目指しています。俳優たちの息遣いや感情の揺れを間近で感じながら、テスラの人生を共に旅していくような作品です。
もちろん、笑いもあります。胸が熱くなる瞬間もあります。そして気づけば、自分自身の人生についても少し考えている。そんな作品になっていると思います。
歴史上の偉人を描いた作品というより、一人の人間の情熱や弱さ、希望を描いた新しいオリジナルミュージカルとして楽しんでいただけたら嬉しいです。
この作品を「人生讃歌」だと思っています

ーこの作品が目指すジャンルの色分けを教えてください。
一言で表現するなら、「ヒューマンドラマを核にしたミュージカル」だと思います。
ただ、いわゆる重たい人物伝や歴史劇ではありません。テスラとエジソンの対立にはサスペンスがありますし、時代を変える発明が生まれる瞬間には高揚感があります。また、テスラという人物そのものが非常にユニークなので、思わず笑ってしまうような場面もたくさんあります。
ですので、シリアス一辺倒の作品ではなく、笑いもあり、興奮もあり、そして最後には深く心に残るドラマがある作品です。
私自身は、この作品を「人生讃歌」だと思っています。
私たちはつい成功した人の人生だけを見てしまいがちですが、テスラの人生は決して順風満帆ではありませんでした。理解されないこともあれば、失うものもあり、思い通りにならないこともたくさんあった。それでも彼は未来を信じ、自分の人生を生き続けました。
だからこそ、この作品は天才発明家の成功物語ではなく、不完全で矛盾を抱えながらも生きる一人の人間の物語です。
お客様には、歴史上の偉人を見るというよりも、自分自身にもどこか重なる一人の人間の人生を見つめるような感覚で観ていただけたら嬉しいです。
劇場でしか生まれない体験を届けたい

ー観終わったお客様に何を持ち帰っていただきたいですか?
もちろん、テスラという一人の人間の人生を通して、それぞれのお客様が何かを感じていただけたら嬉しいと思っています。
ただ、この作品を創る中で私が強く感じているのは、劇場でしか生まれない体験があるということです。
テスラの人生や発明の歴史は、本を読めば知ることができます。しかし、この作品で私たちが届けたいのは情報ではなく体験です。
ロックやポップス、エレクトリックサウンドが響く中で、俳優たちが目の前で生き、迷い、傷つき、未来を信じる。その熱量を同じ空間で共有することによって初めて生まれる感覚があります。
今回の『ニコラ・テスラ』は、劇場空間だからこそ生まれる濃密なエネルギーの中で、一人の人間の人生を追体験していただく作品です。気が付けば、テスラの人生を見ているはずなのに、自分自身の人生や選択について考えている。そんな時間になるかもしれません。
俳優の息遣い、音楽の振動、その日の客席の空気。そのすべてが重なって初めて完成するものがあります。同じ作品でも、二度として同じ瞬間は生まれません。
だからこそ、作品が終わったときに「面白かった」だけではなく、「この場所で、この時間を共有できて良かった」と感じていただける作品にしたいと思っています。
そして劇場を出る頃には、自分の人生にもまた、小さくても確かな光があるのだと感じていただけたら嬉しいです。
▼演出・下平慶祐が書き留めた「創作日誌」公開中!


| 作品名 | 新作ミュージカル『ニコラ・テスラ ~エジソンが恐れた孤高の天才~』 |
| 日程 | 9月6日(日)~9月29日(火) |
| 会場 | 紀伊國屋ホール 座席表 |
| チケット情報 | 【料金】 全席指定:13,000円 Yシート(20歳以下当日引換券):2,000円* *=ホリプロステージのみ取扱い 【販売スケジュール】 ■最速抽選先行 5月23日(土)12:00~5月31日(日)23:59 ■先着先行 ゴールド会員:6月27日(土)9:00~7月12日(日)23:59 レギュラー会員:6月27日(土)10:00~7月12日(日)23:59 ■一般発売 7月15日(水)11:00~ ■Yシート(20歳以下当日引換券)】 7月20日(月祝)17:00~7月26日(日)23:59 詳細は下記をご確認ください。 https://horipro-stage.jp/news/nikolatesla2026_ticket/ |
| ツアー公演 | <大阪公演> 期間:10月3日(土)~4日(日) 会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ |
| 作品HP | https://horipro-stage.jp/stage/nikolatesla2026/ |

