特集・インタビュー

「この作品にはいろんな愛の形がある」『ラ・カージュ・オ・フォール』内海啓貴&山田健登 対談インタビュー
  • インタビュー

1985年の日本初演以来、40年以上にわたって愛され続けるDaiwa House presentsミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が12月9日より日生劇場にて幕を開ける。

ゲイのカップル・ジョルジュとザザことアルバンには、鹿賀丈史&市村正親のゴールデンコンビに加え、本作より佐藤隆紀&石丸幹二のWキャストで上演。さらに最愛の息子であるジャン・ミッシェルには、前作で同役を演じた内海啓貴に加え、『レ・ミゼラブル』のマリウス役で注目を集めた山田健登が出演。これまでたくさんの愛を観客に届けてきた傑作に新たな風を巻き起こす。

そんな内海と山田に、本作へ挑む心境を語ってもらった。

(取材・文:横川良明/撮影:SHUN ITABA)


チケット絶賛販売中!

01  鹿賀さんと市村さんから役者として大事なことを学んだ
02  10代の頃は母親に反抗していた時期もありました
03  リプライズが、この作品の魅力の一つ
04  楽屋の鏡には、母と一緒に買ったお守りを掛けています

鹿賀さんと市村さんから役者として大事なことを学んだ

――お二人は同じ作品に参加されるのは初めてですよね。

内海:はい。お会いするのも今日が初めてで。同じ役を演じる者同士、切磋琢磨する仲なので、ここから仲良くなっていきたいなと思います。

山田:僕は内海くんにだいぶ甘えていきたいと思います(笑)。

――内海さんは2022年に上演された前作に続き、2度目の登板です。

内海:僕にとって、鹿賀さんも市村さんもすごく大きな存在で、前回はお二人からいろんなことを学ばせてもらいました。お二人ともリアルにその場で起きていることをすごく大切にされるんですね。本番でもその日その日でアドリブがあったりして。おかげで僕も生(なま)に強くなりましたし、その場で起きていることを感じることが大事なんだという役者の基本を改めて見つめ直すきっかけになりました。

山田:お二人はこの業界でずっと生き抜いてこられたレジェンド。製作発表の時に、初めてご一緒したんですけど、重みが違うというか、会った瞬間、ドンッと押されるような感覚がありました。

内海:わかるよ。俺も4年前、同じだったもん(笑)。役者って、舞台の上に立つとその人の生きてきた年輪のようなものが表れるんですよね。だからこそ、役者は私生活から役者であることを大事にしなければならないんだということも、お二人とご一緒して学んだことの一つです。

――山田さんは『ラ・カージュ・オ・フォール』初出演です。本作は山田さんにとってどんな作品になりそうですか。

山田:作品に出させていただくたびに毎回得るものがあって。自分が真っ白のキャンバスだとしたら、作品のたびに1色ずつ色をつけてもらっているような感覚があるんです。きっとこの作品でも、また新しい色が足されるんだろうなと思うと、すごく楽しみですし、同時に怖さもあって。きっとこの怖さは稽古の間はずっと続いていくんだと思う。本番の幕が上がって、やっと報われるような気がします。

内海:この仕事って本当そうだよね。

山田:やっぱりこの仕事って一番は自分との勝負。できないことと向き合って、それを一つひとつクリアしていかないといけない。きっと稽古の間はまた家に帰るまでの足取りが重い日々が始まるんだろうなと(笑)。

内海:わかる。役に対するプレッシャーって階段を上れば上るほどどんどん大きくなっていくから。でも話していて、もうこの感じがジャン・ミッシェルにピッタリだなって思うよ。

山田:本当ですか。うれしい!

内海:この爽やかな感じがまさにだし。何より自分で自分のことをハンサムだと言っちゃう憎めないナルシズムがジャン・ミッシェルの魅力。そういう愛される要素を山田くんも持っている気がして。そこを存分に出していけたら、きっと素敵なジャン・ミッシェルになるだろうなと思います。

10代の頃は母親に反抗していた時期もありました

――改めてですが、お二人が感じる『ラ・カージュ・オ・フォール』の魅力を語り合ってください。

山田:とにかく明るい気持ちになれる作品だなというのが一番の感想で。この世界に飛び込めることにワクワクしたのを覚えています。

内海:僕はこの作品にはいろんな愛の形があると思っています。僕たちが演じるジャン・ミッシェルとアンヌの愛もそうだし、家族愛に同性愛といろんな愛にあふれている。お客さん一人ひとり違う角度で観れる作品だし、きっと観終わった後は大切な人に連絡したくなるんじゃないかと思います。

――お二人の演じるジャン・ミッシェルはアンヌを愛し、アンヌとの結婚を急ぐがゆえに、大切な家族であるアルバンを傷つけてしまいます。そういう若さゆえの至らなさも実に人間らしく描かれている作品ですよね。

内海:僕とジャン・ミッシェルの共通点は、まっすぐで素直なところ。恋は盲目じゃないですけど、猪突猛進に突き進んだ結果、大切な人を傷つけてしまったことをジャン・ミッシェルは物語の中で気づいていくんですよね。彼がそうやって大人の階段を上るところも、この作品のドラマティックなポイントです。

山田:僕もそういう時期があったので、すごくよくわかりますね。

内海:そうなんだ。

山田:よく周りからは「反抗期とかなさそうだよね」と言われるんですけど、10代の頃にわりとしっかり反抗期があって。今でこそ母とは友達に近い感覚というか、めっちゃ仲良いんですけど、なるべく顔を合わせないようにしていたくらい険悪だった時期もありました。今でもそのときのことをふと思い出すので、そういう記憶をもとにジャン・ミッシェルという役をつくっていけたらと思っています。

内海:子どもの頃とか、友達に家族を見られるのが恥ずかしいみたいな時期もあったりするしね。僕の場合はおじいちゃんなんですけど、よくおじいちゃんが車で学校まで迎えに来てくれて。普段は学校からちょっと離れたところに車を停めてるんですけど、たまに校門まで来るときがあって。うれしいんだけど、「女子に見られるわ。やめてよ、じいちゃん」みたいな感じでした(笑)。

山田:まったく同じことがありました(笑)。

内海:ありました?大人になると、すごくありがたかったなと思うんだけど、当時はなかなか素直になれないからね。僕は上京のときにお母さんとおばあちゃんがすごく泣いてくれて。その涙を見て、自分が愛されていたことに気づけた。そういうほっこりするような思い出からジャン・ミッシェルの家族を思う気持ちを引っ張っていけたらいいなと思います。

リプライズが、この作品の魅力の一つ

――本作の音楽の魅力を語るとしたら、どこを挙げたいですか。

内海:この作品はあまり曲数が多くないんですよね。その限られた楽曲をリプライズでまわしていくところが、『ラ・カージュ・オ・フォール』の魅力の一つ。ジャン・ミッシェルが歌う曲も、その前後でジョルジュやアルバンが歌っていて。曲でキャラクターや物語がつながっていくところがミュージカルっぽくて好きです。

山田:僕はこれから歌稽古に入るんですけど、オーディションで『アンヌと腕を』を歌わせてもらって。僕にとっては新境地でした。

内海:意外と難しいですよね。

山田:めっちゃ難しい!

内海:この曲の好きなところは、頭の導入部分。「今まではパパ」というフレーズが、歌いすぎなくても自然に入っていけるメロディになっていて、そこからミッシェルの頭の中をお客さんに投影していくように曲の世界が広がっていくんです。僕もオーディションのときに『アンヌと腕を』を歌わせてもらって。(初演から前作までハンナ役を務め、日本版の振付も担当した)真島茂樹さんが「あなたが歌ったら、爽やかな風が私に吹き荒れたわ」と言ってくださったんですよ。こんなうれしいお褒めの言葉はないなと。6年経った今でも覚えています。

山田:やっぱりオーディションの雰囲気も明るかったですか。

内海:明るかったです。立ち稽古が始まってからも、マジさん(真島)が演出の山田和也さんを立たせて、「今から和也さんをアンヌだと思って歌ってください」と言い出して。そしたら和也さんも本当にアンヌを演じてくださったんですよ。ベテランのみなさんに囲まれて、ちょっと硬くなっていた僕を、マジさんはじめ、いろんな方がほぐしてくれた。素敵な現場で役を演じさせてもらえたという思い出が今も心に残っています。

山田:いいですね。お話を聞いているうちに、楽しみだなという気持ちが芽生えてきました。今日まで本当に不安だったので。

内海:そりゃそうだよね。

山田:自分が思っているよりも笑顔の多い現場になる気がします。

内海:再演が繰り返されている作品に新参者として入っていくのって、ものすごいプレッシャーなんですよ。僕も本当に緊張したけど、作品自体が明るいから、自然と和気あいあいという空気になるし。何と言っても、『ラ・カージュ・オ・フォール』はコメディ。笑いもたっぷりあるから、楽しみながらお互いつくっていけたらいいなと思う。それに山田くんの場合は、新しいジョルジュとアルバンと一緒にやれるから、そこは安心材料なんじゃないかな。

山田:シュガー(佐藤隆紀)さんとは『レ・ミゼラブル』で義理の親子という関係を生きさせてもらって。すごく優しい方なので、安心してついていけばいいのかなと思っています。石丸(幹二)さんとは初めましてですが、目だけで包み込んでくれるような懐の広さを感じました。なので、胸を借りるつもりで飛び込んでいきたいと思います。

楽屋の鏡には、母と一緒に買ったお守りを掛けています

――では最後にせっかくですので、お二人の素顔を聞かせてください。楽屋で過ごすときに必ず持っていくものとか、ちょっとしたこだわりみたいなものはありますか。

内海:僕、本当に汚いからな、楽屋(笑)。

山田:同じです(笑)。

内海:メイクしたらメイクしたまんま。帰るときもそのまんまなので、日に日に物が増えていっちゃう(笑)。こだわりがあんまりないんですよね。

――疲労回復のために何か持ち込んだりしませんか。

内海:お茶とか紅茶がのどにいいと聞いて、いろいろ試したりしたんですけど、結局1周回ってぬるい水が一番いいというふうに落ち着きました(笑)。なので、常温の水を置いてるくらいです。

山田:僕はお守りを鏡に掛けています。

内海:それは地元の神社とかの?

山田:三峯神社の氣守という、それこそ母と一緒に行ったときに買ったものなんですけど、それを掛けてるくらいで。

――本番前にお守りに向けて祈ったりすることもなく。

山田:まったくしてないです(笑)。

内海:これくらいラフなのがいいんですよ。何事も考えすぎないのが一番ですね(笑)。


作品名Daiwa House presents ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』
日程2026年12月9日(水)~29日(火)
会場日生劇場
座席表>>
チケット料金◉
【平日】
S席:15,500円/A席:10,500円/B席:6,000円
【土日/Wキャスト初日・千穐楽※】
S席:16,000円/A席:11,000円/B席:6,500円

◉Yシート(20歳以下当日引換券):2,000円*

※12月9日(水)18:00、12月10日(木)13:00、12月28日(月)18:00、12月29日(火)12:00
*=ホリプロステージのみ取扱い
ツアー公演愛知、大阪、岡山、埼玉あり
作品HPhttps://horipro-stage.jp/stage/lacage2026/

PICK UP CONTENTS