舞台『組曲虐殺』演出:栗山民也コメント
■栗山民也(演出)
心に深く刻まれた作品です。今でも、思い返すたびに心と体のどこかがギシギシと音を立てて軋みます。井上さんの最後になってしまった作品であるとともに、今を生きるわたしたちへ手渡された、明日への確かな眼差しとその覚悟の物語だと思っています。
3時間の上演時間は、多喜二が築地署で特高による地獄の拷問を受けたその同じ3時間で、自ら不当な弾圧に対し心折ることなく最後まで耐えながら、その間、多喜二はいったい何を思い続けていたのか。作者の執筆の根っこは、きっとそこにあったのではないか。
だから、この全身でぶつかって書かれた井上さんのどのセリフも、とても痛いのです。
今の日本が、そして今の世界がまたあの醜愚な時代へと向かっているという明らかな事実を前に、人間の行動の、そして言葉の真の在り方を、ともに考えたいのです。
