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ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』鼎談/大貫勇輔×柚希礼音×KELO「葛飾北斎の恐るべき探究心!創造することで新たな表現を見つけたい」
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ダンスと演劇、音楽が交わる、新たなエンターテイメントの形。題材は日本を代表する絵師・葛飾北斎の生き様だ。尽きることのない創造への衝動をバネに、死ぬまで描き続けた執念の人。その葛飾北斎を演じるのは、大貫勇輔。また柚希礼音が北斎を突き動かす「情熱」と「理想」を、KELOが「世間」や「常識」「現実の価値観」を担う。これまでもひたむきにダンスに取り組んできた、スタイルの異なる3人がこの作品で出会う。北斎のごとく、新たな表現を切り拓こうと挑む、今の想いは?

(取材・文:三浦真紀/撮影:渡部孝弘)

01  この作品の企画を聞いた時の気持ち
02  台本(第一稿)を読んだ感想
03  葛飾北斎の魅力
04  演出・振付のKAORIaliveさんとの接点
05  KELO|ダンスを始めたきっかけ
06  大貫・柚希|ダンスだからこそ描けることとは?
07  読者の皆様へのメッセージ

――この作品の企画を聞いた時のお気持ちは?

大貫:葛飾北斎の人生は知れば知るほど奇想天外です。漫画の原点であり、名前をたくさん変えた人。有名な「富嶽三十六景」は70歳を過ぎてからの作品で、晩年にはほぼ目が見えなくなって娘に支えられながら絵を描いた。そんな生涯を絵に捧げた人物を演じることに、喜びと興奮、感謝を感じました。

柚希:私は踊りで表現する場をいただけて、とても嬉しく思いました。また大貫さんとKELOさんと共演できることも。葛飾北斎は死ぬまで高みを目指した方で、「あと5年、天が生命をくれたら、本当の絵師になれた」と言いながら亡くなったそう。自分に満足することなく描き続けたからこそ「富嶽三十六景」が生まれ、その後も描き続けた。芸事に向き合う私たちに通ずるものを感じます。北斎を研究し、身体で表現することが楽しみです。

KELO:僕は普段、ダンスのみのステージの世界にいます。こうして演技と歌が加わった舞台に立つのは人生で初めて。勉強させていただきながら、自分もこの作品に何か与えられたら。誠心誠意取り組んでいきたいと思っています。

――台本(第一稿)を読んだ感想は?

大貫:3回泣きました。北斎の気持ちがわかりすぎました。自身の内なるものとの対話が主なので。もちろん敵は外にもいますが、自分の中の敵と向き合い、葛藤し続ける北斎の気持ちは表現者なら誰でも経験するものでしょう。同じ苦しみを知っているからこそ、これを踊りと芝居で表現することを想像して、涙が出たんじゃないかな。天才は孤独じゃないですか。誰にも共感してもらえない苦しみがあり、同時にやめることはできない。僕も北斎みたいにありたいと思います。

僕はかつて映画「八犬伝」で渡辺崋山を演じたことがあります。その時の葛飾北斎役は内野聖陽さんで、一緒にお芝居もしました。つまり目の前に北斎がいるのを僕は見ているんです。内野さんの北斎は絵と自分が大好きで、自分のことしか関心がなく、本当にだらしない、天才、奇才みたいな人でした。そのイメージが残ってはいるものの、今の段階では人物像を決めすぎないよう、いろんな角度からアイディアを出せるようにしておきたいです。

柚希:面白かったです。北斎に共感できるところがたくさんありました。
私はもともとバレリーナを目指していましたが、身長が伸びたこともあって宝塚へ。バレエだけをやりたかった時代から、宝塚でお芝居と歌を学んだことで、ダンスも心の表現だと知り、ダンスがより好きになりました。男役と女優を経て、今、北斎の「情熱」を演じることができる。理屈ではない存在として、情熱を表現する。それはお芝居あっての表現で、これまでの経験が生きると思います。ダンサーだけでも、役者だけでもできない、自分にしかできないものを目指したいです。

KELO:僕にとって台本を読むこと自体が新鮮で、読みながらイメージしています。また、葛飾北斎さんのお墓にお参りに行こうと思っています。
僕の役は抽象的で、北斎の内面の一部である、おどろおどろしいイメージをいただいています。台本通りというか、台本を超えるような表現を見つけられたらと考えています。北斎の人生や生い立ちの情報、自分のダンスや世界観も入れつつ、KAORIさんと演者のお二人と、稽古で試行錯誤しながら積み上げていきたい。全く新しいものを生み出したいです。

――葛飾北斎の魅力を教えてください。

大貫:以前、葛飾北斎展に行った時に気づいたのは、さまざまな画風があり、時期によって全然違うことです。特に最初のうちは墨で描いていて、僕は「富嶽三十六景」みたいに色のあるイメージが強かったので驚きました。色を使い始めた後半、画風がどんどん変化していくのを見て、目に映るものすべてを描いたのだろうと感じました。とにかく作品の点数があまりにも膨大で、展覧会の運営の方曰く、もっとたくさんあるんですよ、と。生きること=描くことで、描くこと=生きることだった人。僕自身も10代の頃ダンスに夢中で、歩きながらダンスのステップを踏んだりしていたので、気持ちはよくわかります。
また当時のカルチャーの最先端で、漫画の原型を作った人でもあります。例えば今の漫画で、ピッピッと線が放射線状に真ん中に向かって描かれ、効果音のように強調や移動を表す技法がありますよね。北斎の絵にそれを発見した時は感動しました。僕らが読んでいる漫画は彼から生まれたんだ!とつながった気がしました。

柚希:世界中で有名な素晴らしい画家だと思います。それだけでなく、調べれば調べるほど、ご本人はひたすら絵を描いていたい人で、他のことは何もできないみたいなところがあるんです。私が彼を好きなのは、70歳になって、ようやく少し絵が描けるようになったと思い、80歳には人より少し描けると思えるようになった。さらに10年ほどたち、もう少しいい絵が描けたのにと泣きながら亡くなったところです。常に高みを目指し、もっといい絵が描けると信じ続けた人生。好きなことだけを集中して続ける、その姿勢が素晴らしいと思います。人生の前半はずっと大苦戦していたのに、70歳を過ぎてから「富嶽三十六景」を描いた、その情熱。そのあたりを表現できることが楽しみです。

KELO:葛飾北斎は、日本の象徴ともいえる偉大な芸術家だと思っています。死ぬまで自分の表現を飽くことなく追求した人。その実は子供のような人だと思います。一つ何かを始めるとずっと続ける、みたいな。大抵の人は周りから言われてストップしてしまうのに、それでもやめられなかった人。人間の根底にある、ネガティブに言うと病的な執着であり、ポジティブに捉えると、それを突き通せる才能。きっと、ものすごく正直な人だったように感じます。自分も世間が許してくれるなら、それで生きていけるのなら、今もただひたすら踊っていたい気持ちがあります。

――演出・振付のKAORIaliveさんと接点はありますか?

大貫:ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でご一緒しました。彼女のダンススタジオのワークショップに参加したり、今も公私共に仲良くさせてもらっています。KAORIさんは踊り手に身体をフルに使わせる振付家ですね。そして新しいアイディア、新しいムーブメントを作り出す天才です。プラス決して妥協をしない。ザ・プロフェッショナルという印象です。僕はKAORIさんの振付で作品を作るのは今回が初めて。自分がどう踊るのかは全く未知なので、とても楽しみにしています。

柚希:私は振付を受けたことはないのですが、真風涼帆さんのコンサートに出た際にご一緒したことがありました。照明の色まですべてを振付に関わる要素として捉え、作品を総合芸術として考えられている方なんだと感じました。その時の振付もとてもかっこよかったです。ポスター撮影の時にちょっとしたアドバイスをいただいただけで、頭の中にいろいろなイメージが浮かび、刺激的でした。今回、ようやく振りを付けていただけるので、お稽古が待ち遠しいです。

KELO:僕は今回が初めてです。D LEAGUEの審査員をやられていて、僕が出ている時も逐一チェックしてくださっているようです。ご一緒できて嬉しいです。

――KELOさんはD LEAGUEをはじめ、ストリートダンスでご活躍です。演劇作品に初めて参加されますが、ダンスを始めたきっかけを教えてください。

KELO:僕は中学2年生の頃、不登校だった時期がありました。家ではゲームをしたり、お菓子を食べていたり。ある時、ダンス部の兄が貸し借りしていたVHSのビデオテープがあって、それを見てダンスをやりたいと思いました。とりあえず物真似からダンスを始めて、今ここにいるという感じ。毎日無我夢中で踊っていましたね。周りが見えなくなるぐらい熱中しました。

左)KELO
中央)KELO

23歳の頃にニューヨークのアポロシアター「アマチュアナイト」に出演。その前にテレビのダンス番組に出たけれども、結果が出せず。そこで出会った人と世界に行こう!と。海外で賞をもらえば認めてもらえると考えたんです。実際、年間チャンピオンになって、テレビに出たり、取材を受けたり、仕事も多少増えました。経験としては大きな財産になりましたが、自分の内面が成長したかと問われると、そうではなかった。自分のアーティスト性やなぜ踊るのかをもっと追求しないと、自分が満足する場所には辿り着けなかったんです。それから15年くらい経った今、ようやくやりたいことが見えてきて、その一つが演劇です。
ダンサーとしてMVや映像作品に出演すると、ダンスと演技の中間を求められることが多いんです。例えば、いざ踊りますという時、自然に始まってほしいと。そこでダンスを生活に落とし込むにはどうしたらいいのか、わざとらしく映らないために何をすべきかを考え、お芝居の面白さに気づきました。今回、大貫さんと柚希さんから学ばせていただく気持ちでいっぱいです。チャンスがあったらミュージカルやストレートプレイもやってみたいです。

――ダンスだからこそ描けることとは、どんなことだと思いますか?

大貫:僕は言葉にならない感情が存在していると考えています。演劇ではそれを言葉で説明しなければいけなかったりするわけで、相反するようですが、僕は言葉にならない感情を信じているからこそダンスをしている部分があります。ダンスにはオーラ、雰囲気、波動があり、それをキャッチしながら出していく。面白いのは、KAORIaliveさんの振付を僕、柚希さん、KELOさんが踊ると全く別のものになるんです。1つの動きが三者三様になるところ、こういった化学反応がものすごく楽しみです。

柚希:ダンスは言葉と違って、果てしなく、受け取り側がいろんなことを想像できるのが好きなところです。私自身、すごく恥ずかしがり屋の子供でした。教科書を読みなさいと言われても、読めないくらい。だから、言葉にする必要のないバレエが好きだったんです。内に秘めた言いたいことを言葉に出すのは恥ずかしい。でも踊りなら、そこにたくさん気持ちを込めることができたんです。踊りは言葉として発しないけど、それの何倍も込めたくなる。いろんなものを、PASSIONを込めてやることによって、どのぐらいお客様に届くのか。大貫さんとも久しぶりですし、KELOさんが加わることによって、自分自身がどのように変わっていくのかにワクワクしています。

――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

大貫:会場の赤レンガ倉庫はお客様との距離が近く、多様な舞台の使い方ができる劇場です。お客様も一緒に舞台の中にいるような体感を得られることでしょう。僕自身も楽しみですし、新しい体験を皆さんにお届けできたら最高です。

柚希:私は元々バレリーナを目指していてバレエだけがしたかった時代がありました。その後、宝塚でお芝居と歌を学んだことによって、ダンスも心の表現だと知り、ダンスがより好きになりました。男役を経て、女優を経て、今、北斎の「情熱」を演じます。お芝居があってこその表現として、ダンサーだけでも、役者だけでもできない、自分にしかできないものを目指したい。赤レンガ倉庫で、お客様と共にPASSIONを感じる日を送りたいです。

KELO:演劇とダンス、アートのミックスを体感していただきたいです。演者の呼吸や汗、緊迫感を感じられる作品になると思うので、ぜひ皆さん予定を空けて観にいらしてください。そして、ゆくゆくはこの作品の海外公演を実現させたいです。


作品名ダンスエンターテイメント演劇『PASSION ― 北斎の描く夢 ―』
日程2026年10月22日(木)~11月3日(火祝)
会場東横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
座席表
チケット料金ホリプロステージにてチケット絶賛販売中!

全席指定:11,500円
 
U-25:6,000円(25歳以下当日引換券)
Yシート:2,000円(20歳以下当日引換券)*
*ホリプロステージのみ取扱い
 
(全席指定・税込)
作品HPhttps://horipro-stage.jp/stage/passion2026/

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