ホリプロステージ

Follow Us On

  • LINE
  • Youtube
  • Twitter
  • Instagram
  • Facebook

ホリプロチケットセンター

03-3490-4949

10:00〜18:00(平日)/ 10:00〜13:00(土)/
定休日(日・祝)English

ホリプロステージ

チケット購入

PICK UP

特集・ピックアップ

「身体ひとつで感情を表現していることのスゴさに、誰もが感動する」~『マシュー・ボーンの白鳥の湖』鎌田真梨インタビュー~

  • インタビュー

2019年6月26日(水)

数々のマシュー・ボーン作品に出演してきたダンサー、鎌田真梨のインタビューをお届けします。カンパニーの内側から見た『白鳥の湖』の見どころ、ニュー・アドベンチャーズの作品づくりの裏側をお聞きしました。

取材・文/町田麻子

 


 

▼公演詳細ページはこちら

 

古典的な物語を独自の視点で解釈し直して新たなドラマを紡ぐ、イギリスの鬼才マシュー・ボーンの出世作にして代表作中の代表作、『白鳥の湖』。聴けば誰もが幻想的な女性群舞とおとぎ話を思い浮かべる、あの有名すぎるチャイコフスキー作曲のバレエ音楽を使って、大迫力の男性群舞と現代王室の物語を展開する傑作舞台だ。

1995年の初演以来、世界中でセンセーションを巻き起こし、日本にも4度来日してファンを魅了し続けているこの作品。だがこのたび来日するのは、昨年マシュー・ボーン自身によって手が加えられたばかりの「新演出版」となる。オリジナル版と変わった点、変わらぬ魅力とは? そして、天才演出・振付家の創作現場の実態と、プライベートでの姿とは? マシュー・ボーンが厚い信頼を置く日本人ダンサー、鎌田真梨が語り尽くす!

鎌田真梨

 

■十人十色のキャラクター・シート

――鎌田さんは、ロンドンのランバート・スクール・オブ・バレエ&コンテンポラリー・ダンスを卒業後の2010年に、マシュー・ボーンさん率いるニュー・アドベンチャーズに入団されました。まずは改めて、入団のきっかけを教えていただけますか?

“記念受験”のような気持ちで受けたオーディションです(笑)。私が学校を卒業した2007年は就職難の年だったので、2年間ほどずっと、アルバイトをしながら色々なカンパニーを受けていて。マシューのところもその一つだったのですが、4万人くらい受けると聞いていたので、まさか受かるとは思っていませんでした。だから書類審査に通った時点でもう、私の中では万々歳(笑)。そしてオーディションも、自分の内面が解き放たれるようなすごく楽しいものだったので、「落ちても悔いはない!」という満足感で終えていたんです。そうしたら1ヶ月後に、ダブルデッカーバスの2階に乗っている時に電話がかかってきて、ぜひ入団してほしいと。「わーーー!」って叫んじゃったのを、今でも覚えています(笑)。

『エドワード・シザーハンズ』

 

――記念でもいいから受験したいと思われたほど、ニュー・アドベンチャーズに惹かれていた理由とは?

あの『白鳥の湖』のカンパニーということで、留学前から存在は知っていたのですが、初めて観た舞台は学校行事で行った『エドワード・シザーハンズ』。木々が動き出した瞬間に、「わあ、魔法みたい!」って、感動して鳥肌が立ったんです。そのあとも想像ができないようなことがバンバンバンバン、次々と起こる舞台で、「このカンパニーすごいな~!」って憧れるようになりました。斬新なアイデアが多く、言葉がないのにまるでミュージカルのように伝わってくるというのは、マシューの作品すべてに共通するものだと思います。

『くるみ割り人形』(中央・鎌田真梨)

 

――憧れのカンパニーに入団後、初めての舞台が『白鳥の湖』だったそうですね。

そうなんです、受けたオーディションは『シンデレラ』だったのですが、“人事異動”があったみたいで(笑)。『白鳥の湖』には、男性ダンサーがメインという印象があったので意外でしたが、「とにかくやってみよう!」という気持ちでリハーサルに臨みました。当時のリハーサルは、月曜から土曜まで毎日10時から夕方まで、曜日によっては夜8時まで行われることもあるハードなスケジュール。途中でミールブレイク(食事休憩)はありますが、それ以外はみっちり踊るので……結っ構疲れます(笑)。でも、新作じゃない時はマシュー本人はいないことも多いなか、その時はいてくれたので、嬉しかったし楽しかったですね。

マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』

Photo by Johan Persson

 

――マシューさんのリハーサルでの様子、ぜひ詳しくお聞かせいただきたいです。

既存の作品の場合、リハーサルはまず、振りを覚えることから始まります。その間はリハーサル・ディレクターやダンスキャプテンが見てくれるので、マシューはその場にいても、ふんふんふんって見てるだけ(笑)。でも覚えたあと、役を理解して踊る段階になると、すごく真剣に見て色々なことを言ってきます。例えば、「僕はこういう気持ちを表現したくてこの振付を作ったんだけど、君の踊りからはそれが見えてこない」とか。面白いのは、マシューの意図を表現できていれば逆に、振付通りじゃなくてもいいこと。マシューは「十人十色でいい」という人で、演者の個性や自分なりの表現をすごく大事にしてくれるんです。

マシュー・ボーン


――だからダンサーによって、同じ役でも、時に全く異なるキャラクター像が生まれることがあるわけですね。

そうなんです。役を演じる時には「キャラクター・シート」というのを作る決まりがあって、年齢や家族構成、性格などを演者それぞれが書き入れます。それも自分なりでいいので、例えば私が『シザーハンズ』のヒロインのキム役をやらせていただいた時にも、3人のキム役のキャラクター・シートにはそれぞれの個性が表れていました。でもやっぱり、共通するものはなくてはいけないので、そのために必要になってくるのがリサーチ。リハーサル室にはいつも、その作品に関連する本やDVDがバーッと置かれた、リソース・テーブルと呼ばれる机があるんですよ。それを見て勉強することを、マシューはすごく大事にしてますね。

Photo by Clark Thomas

 

――なるほど。ちなみに、普段のマシューさんはどんな方なのですか? “天才”と呼ばれる人々には、気難しいイメージもありますが……。

あれだけのものを自分の頭の中で創り上げる芸術家ですから、もちろん気難しい面はありますし、一人の時間がすごく必要な人ではあると思います。でも気分がいい時には、みんなでわいわいパブに行って飲んだりもしてますよ! 長年プリンシパルを務めているアシュリー・ショーとは、一緒にディズニーランドに行ったこともあるみたいです(笑)。

 

 

■マシュー・ボーンの特異な音楽性

――天才のカワイイ一面が分かったところで(笑)、いよいよ『白鳥の湖』について伺います。デビューの時以来、9年ぶりのご出演となりますが、前回と今回の役どころは?

前回はルーマニア王女とモナコ王女だったのですが、今回は全く違う2役を演じます。じつは私、『眠れる森の美女』に主演させていただいた前回の日本公演以来、カンパニーからはいったん離れていたんですね。休んでいた2年間にもオファーはいただいていたのですが、色々な事情があってお断りしていて、久々にやりたいな~と思ってマシューに連絡を取ったら「いいタイミングで来たね、ちょうど一人辞めるところからおいで」って(笑)。マシューからは、「どの役やりたい?真梨だったら何でもできるから選んでいいよ」というありがたい言葉をいただいていたのですが、ほかの役の皆さんに影響が出ないように、辞める子のポジションに入ろうということで、今回はフランス王女とスペイン王女になりました。

『眠れる森の美女』(鎌田真梨)

 

――マシューさんとの信頼関係が窺えるお話ですね。リハーサルには、もう参加されているのですか?

まだみんなと一緒にはしていなくて、今は新演出版の映像を見ながら、自分で振りを覚えているところ。ただちょっと、動きが速すぎてとても映像では追えない振りもあるので、そこは効率よく、渡英してから覚えようと思ってます(笑)。

Photo by Clark Thomas

 

――新演出版は、オリジナル演出とどんなところが変わっているのでしょうか。

マシューは、既存の作品であっても常に新鮮なものにしたいという人なので、今までも振りは毎回少しずつ変わっていたんです。でも今回は美術や衣裳も変わっていて、特に二幕のソーホーのシーンは大きく違いますね。変わらず華やかではあるのですが、ちょっと暗めのテイストになっていて、そのぶん王子とガールフレンドが目立つ演出になっている。長年マシューと組んでいるデザイナー、レズ・ブラザーストンのこだわりを感じます。

Photo by Johan Persson

 

――一方で、変わらない魅力というのは?

それはやっぱり、男性スワンの肉体美と力強さでしょうね! 先ほどリサーチのお話をしましたが、スワン役の場合は本やDVDだけじゃなく、野生の白鳥をすごく観察するんですよ。手ではなく頭を使って相手をアタックしたり撫でたりする動きを見たら、身体ひとつで感情を表現していることのスゴさに、誰もが感動すると思います。迫力とか息遣いとか、もうほんっとにスゴいんですよ! 最前列で観ていると汗が飛んでくるんですが、その汗も浴びたいくらいの気持ちになります(笑)。それと、音楽の使い方もとても魅力的。マシューは振りを説明する時、「1&2、&3、&4……」というように全部カウントで教えてくれるんですが、「そんなところに“&”を入れるの!?」っていうことがよくあるんです。マシューの振付によって、聴き慣れている音楽が斬新に聴こえてくると思います。

Photo by Clark Thomas

 

――そう考えると、元々の作品ファンはもちろん、バレエファンも、ダンスファン、ミュージカルファン、そして音楽ファンにとっても必見の公演ですね!

いやぁもう、絶対に観るべき作品ですよ、本当に。本当に(笑)!  私自身、デビュー作であり、再演を繰り返してバージョンアップし続けてきた作品とまた対面できることを、本当に楽しみにしています。そして毎回思うことですが、メンバーが違うと全く違う色になる作品ですから、今回のキャストと一緒に舞台に立てることが何よりも楽しみですね。

 

 

【プロフィール】
鎌田真梨(かまた・まり)

宮城県出身。6歳より仙台バレエ研究所にてバレエを始める。その後、今村昌子バレエスタジオで学び16歳でイギリスのランベール・スクールに3年間留学。ケント大学よりBA大学卒業課程授与。2010年マシュー・ボーン主宰ニュー・アドベンチャーズに入団。これまで「アーリー・アドベンチャーズ」「眠れる森の美女」「シザーハンズ」「ドリアングレイ」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」など多くの作品に出演。2016年9月には東京にて「眠れる森の美女」より主演・オーロラ姫を演じる。圧倒的な存在感を示し、多彩で細やかな表現力とアジア人独特のキレのある踊りが定評なダンサー。2016年10月フィリップ・ドゥクフレ氏演出のミュージカル「わたしは真悟」で振付助手を務める。全米ヨガアライアンスRYT200を保持し、ヨガインストラクターとしても活躍中。

 


 

【公演概要】

マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』

演出・振付:マシュー・ボーン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
出演:ニュー・アドベンチャーズ
公演日:2019年7月11日(木)~21日(日)
会場:Bunkamura オーチャードホール(渋谷)

 

特集・PICKUP一覧に戻る

RECOMMEND

こんな記事もおすすめ