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平方元基インタビュー「万里生君ととことん向き合い、一緒に作っていく贅沢な舞台」
2019年5月29日(水)
2019年10月日本初上演、BW・韓国で人気を博したミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』に出演する平方元基のインタビューをお届けします。
トーマスとアルヴィンの友情について、これまで背中を見ていた田代万里生との共演についてお聞きしました。
構成・文/演劇ライター 上野紀子
■怖いくらいの挑戦のほうが、俄然やる気になるんだなって思いました(笑)
これまで経験してきた作品、そのどれもが大きな挑戦ではあったけれど、今回のような「本当に越えられるのか!?」と思う挑戦は初めてですね。普通に一役を演じるのだって挑戦なのに、二役を、それも二人芝居で交互に演じるなんて…!でも、そんな怖いくらいの挑戦のほうが、俄然やる気になるんだなって思いました(笑)。
僕、この作品の韓国版をソウルで観て来たんです。トーマスとアルヴィン、二人の登場人物が最初から最後まで、とにかくしゃべりまくり、歌いまくっていました(笑)。あらすじは知っていたけれど、言葉がわからないから、何が起こっているのか細かくは理解できないじゃないですか。でも観客の皆さんがものすごく感動して泣いているのを見て、人の心を動かす力を持った台本なんだろうなと思いました。この作品を僕たちがやれるんだ…と思ったら、日本版ならではの魅力を突き詰めた、新しい作品を作り出したい!と強く思いましたね。
この物語にある男同士の友情は、僕自身にもすごく響いて来るものがあります。でも実際は、大人になって友情を語り合うって、男同士では照れくさくてなかなかできないなと思いますね。相当酔っ払った時くらいじゃないかな、「お前は大事な友達だよ」なんて面と向かって言えるのは(笑)。今回、万里生君と二人でビジュアル撮影をした時も、すごく照れましたね。トーマスとアルヴィンは幼なじみで、子供の頃からのいい思い出も嫌な思い出も、全部知っている関係。僕と万里生君も普段からご飯を食べたり、お酒を飲んだりする仲だけれど、今よりももっともっと、二人の距離を縮めていきたいなと思っています。単純にその役を演じることだけを考えていては、成立しない作品だと思うから。とことん向き合える相手じゃないと無理だろうなと。少なくとも僕と万里生君は、ゼロからのスタートじゃない。そこは心強いところです。
■万里生君は真っ白な綿菓子みたいな人
先日、万里生君と一緒にご飯を食べながら、「僕たち、そういえば同じ役をやったことはあるけど、舞台に一緒に立ったことはないんだよね」って話をしたんですよ。僕はずっと、万里生君の背中を見て取り組んでいたようなところがあるんですね。万里生君が演じた役を、そのすぐ後に僕が引き継いだりしていたので。けど万里生君と同じようにしてやろうと思っても出来なくて、悩んで、もがいて…。その結果、お客様の前に現れたのは、万里生君が演じていたものとはまた違う、僕だけのキャラクターでした。同じ役だけど、僕ならではの役を生み出す。その経験はとても勉強になり楽しくて、ありがたいものでしたね。今回は、背中を見るのではなく、二人で並んで一緒に作っていく。それはすごく贅沢なことだなと感じます。
万里生君のことをよく知る前は、何事もきっちりと、自分の決めた型の通りに進めていく人なんじゃないかな…なんて思っていたんです。ほら、見た感じがすごくきちんとしていて、シュッとしているから(笑)。でも仲良くなればなるほど、考え方がすごくフレキシブルだし、ウィットに富んだジョークも言うし、すごく優しい人だとわかった。例えるなら、真っ白な綿菓子みたいな人です。清潔で、ふわふわしていて、こんな可愛い人がいるんだな〜と思いましたね。そういう柔軟で心の広い人じゃないと、僕みたいな後輩は扱えないだろうなと(笑)。
■100個くらいある“萌え”のポイントを見つけながら、楽しんでもらいたい
この舞台、絶対に楽しくて、素敵なものになると思います。両バージョンを観ていただくのはもちろん、二度、三度とご覧になることをオススメしたいです。なぜなら要所要所に、女性が見たら「可愛い〜」と思い、男性が見たら「恥ずかしい〜!」と照れる、そんな“萌え”のポイントが散らばっている作品だから。100個くらいあると思うので、ぜひそれを見つけながら、楽しんでいただきたいですね。
日本初演の作品に携われるのは本当に嬉しいことです。僕たちから始めるこの優しい作品が、その後もずっと続いて、残っていってほしい。今からすでにそう願っています。
【公演概要】
作詞・作曲:ニール・バートラム
脚本:ブライアン・ヒル
演出:高橋正徳(文学座)
出演:田代万里生、平方元基
<大阪公演>
期間:2019/10/4(金)、10/5(土)<3公演>
会場:新歌舞伎座
<東京公演>
期間:2019/10/9(水)~10/16(水)<12公演>
会場:よみうり大手町ホール
※水戸公演・名古屋公演あり
1985年12月1日福岡県生まれ。2011年に小池修一郎演出の『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルにデビュー。その後も『エリザベート』『レディ・ベス』(以上小池演出)、『シラノ』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』(以上山田和也演出)、『マイ・フェア・レディ』(G2演出)、『ザ・ビューティフル・ゲーム』(藤田俊太郎演出)、『アリス・イン・ワンダーランド』『サンセット大通り』(以上鈴木裕美演出)、『王家の紋章』(萩田浩一演出)、『スウィート・チャリティー』『キス・ミー・ケイト』(上島雪夫演出)、『スカーレット・ピンパーネル』(ガブリエル・バリ演出)、『舞妓はレディ 』 (寺﨑秀臣演出)、『銀河鉄道999 GALAXY OPERA 』 (児玉明子演出)、『銀河鉄道999 さよならメーテル~僕の永遠』(落石明憲演出)などミュージカルやコンサートを中心に活躍中。 2019年6月にはミュージカル『エリザベート』、2020年3月には『サンセット大通り』に出演を予定。
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