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田代万里生インタビュー「元基の新しい魅力を引き出したいし、僕も引き出してもらいたい!」
2019年5月22日(水)
2019年10月日本初上演、BW・韓国で人気を博したミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』に出演する田代万里生のインタビューをお届けします。
キャスト相互上演に挑戦する意気込み、初めて同じ舞台に立つ平方元基への思いをお聞きしました。
構成・文/演劇ライター 上野紀子
■ミュージカルデビュー11年目、チャレンジし甲斐のある作品
この作品に出させていただくことが決まった時は、トーマスとアルヴィン、そのどちらの役になるのか、「まだわからない」と言われていたんです。それでまずは粗訳の段階の台本を読ませていただいたり、英語版のCDを聴いたりしながら、自分はどっちの役が合うかなあ?どっちにチャレンジしたいかなと、考えて考えて考えて……全然選べなくて(笑)。どちらの役もすごく魅力的だったんですよね。そうしたら「どっちの役もやってみませんか?」という話になって。二つの役を交互に演じるなんて初めての経験だし、しかも役のトレードをする相手は元基!すごく嬉しかったですね。
日本初演で、二人ともほぼ出ずっぱりのミュージカル。二人の日常的な会話のキャッチボールの中に、音楽がファンタジックに溶け込んでいく…、そんな舞台になるんじゃないかな。ミュージカルデビューして11年目に入った今年、チャレンジし甲斐のある作品に出会えたことをありがたく思っています。
物語は、おそらく誰もが心当たりのある、大切な友達との記憶。大人になって、一人は都会に出て作家として成功し、一人は地元に残って親の跡を継ぎ、本屋を営みながら素朴な生活をしている。ここに出てくるトーマスとアルヴィンの友情関係はとても普遍的で、男性なら絶対に共感できると思うんですが、女性が観たらどう思うんだろう!?と気になります。個人的に、僕はデビュー前に本屋さんでアルバイトをしていたので、アルヴィンが本屋さんなのはちょっと嬉しかったですね(笑)。
二役を演じるわけですから、セリフの量は膨大だし、楽曲も多くてかなりの挑戦です。全体で20曲以上あるんですが、ソロ曲をすべて覚えることはもちろん、デュエットの場合、同じ曲でもその役によって違うパートを歌わないといけない。一体、何通りを覚えることになるんだろう!?どういうふうに稽古するのかな?どっちの役からスタートするのかな?と気になることばかりです(笑)。きっと、この作品を一人芝居でできるくらいに、自分の中にセリフも歌も落とし込んでいかないといけないのだろうなと思いますね。でも、楽曲は本当にいいですよ!早くあの楽曲を聴いていただきたいですね。
■出会ってから十年以上、初めて一緒に舞台に立つ
元基とは、いろんな作品で同じ役をやっているけれど、実は一緒に舞台に立って芝居をするのは初めてです。出会ったのは十年以上前、デビューする前に彼に会っていて、よく二人で話をしていたんですよね。デビューしてからは『エリザベート』のルドルフ、『アリス・イン・ワンダーランド』のウサギ、『サンセット大通り』のジョーなど、僕がやった役を次々に引き継いでくれたことで、お互いにすごく親近感を持った。いつしか幼なじみみたいなノリで、プライベートでも遅くまで一緒に飲んだりする仲になりました。元基は…、僕が言うのも何ですけど(笑)、ここ最近の舞台での活躍を見ていると、急に大人っぽくなって、役者としての幹が太くなったな!と感じます。いつも賑やかで明るい彼だけど、オフィシャルの場とオフの時では、全然違う雰囲気を持っているんですよ。まだまだ別の引き出しがあると思っているので、今回の作品で、僕が元基の新しい魅力を引き出せたらなと思っています。逆も然り、僕も元基に引き出してもらいたい(笑)!
演出の高橋正徳さんとは初めてのお仕事になります。最初は、元基と二人で「文学座の演出家さんだって!?」と緊張しましたが、気さくな方だと伺っているので安心しています(笑)。どんな稽古場になるのか楽しみですね。
何と言っても日本初演です!まだ誰も日本では演じていない作品を、何にも染まっていないところから始めていけることを、本当に嬉しく思っています。
【公演概要】
作詞・作曲:ニール・バートラム
脚本:ブライアン・ヒル
演出:高橋正徳(文学座)
出演:田代万里生、平方元基
<大阪公演>
期間:2019/10/4(金)、10/5(土)<3公演>
会場:新歌舞伎座
<東京公演>
期間:2019/10/9(水)~10/16(水)<12公演>
会場:よみうり大手町ホール
※水戸公演・名古屋公演あり
1984年1月11日長崎県生まれ。東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。3歳からピアノを学び、7歳でヴァイオリン、13歳でトランペット、テノール歌手の父より15歳から本格的に声楽を学ぶ。2003年『欲望という名の電車』で本格的にオペラデビュー。その後09年『マルグリット』のアルマン役でミュージカルデビューを果たし、以降数々の作品に出演している。近年の主な出演作は『ラブ・ネバー・ダイ』『マリー・アントワネット』『ジキル&ハイド』『きらめく星座』『グレート・ギャツビー』『エリザベート』『スウィーニー・トッド』等。第39回菊田一夫演劇賞受賞。6月~8月『エリザベート』12月『スクルージ』出演予定。
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