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「歳を取ってからのホームズも書いてもらうことが目標」 ~『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』柿澤勇人インタビュー~

  • インタビュー

2019年6月13日(木)

2019年9月上演、『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』で主演の若きホームズ役を演じる柿澤勇人のインタビューをお届けします。

取材・文/町田麻子

 


 

▼公演詳細ページはこちら

 

世界で最も有名な名探偵、シャーロック・ホームズが親友のワトソンと出会ってから最初の事件に遭遇するまでに起こった“語られざる物語”を、シャーロキアンを公言する三谷幸喜が描く『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』。そのタイトルロールとして三谷作品初出演を果たすのが、三谷をして「僕のシャーロック・ホームズがここにいる、と思いました」と言わしめた柿澤勇人だ。

劇団四季在団中の2009年に『春のめざめ』の主人公メルヒオール役に抜擢され、退団後も『スリル・ミー』『ロミオ&ジュリエット』『メリー・ポピンズ』など、その高い歌唱力ゆえにミュージカルでの活躍が目立つ柿澤。だが一方ではストレートプレイにも意欲的に取り組んでおり、『海辺のカフカ』(蜷川幸雄演出)、『アテネのタイモン』(吉田鋼太郎演出)などで確かな爪痕を残している。そんな中で本作への出演が決まり、最初に発表したコメントが「嬉しさと高揚感が爆発しました」。ビジュアル撮影に臨んだ柿澤に、その真意を尋ねた。

 

■イメージの違う役から見抜かれた喜び

 

――改めて、ご出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。

役者人生最大の山場が来た、と思いました。僕の役者人生の入口はミュージカルという、歌やダンスの技術が必要とされるもの。僕はそうは思ってないですけど、技術というのが武器だとしたら、それを使えない中での挑戦です。ストレートプレイに主演するのは、今回が初めてですからね。しかも三谷さんにとって思い入れのあるホームズ役に選んでいただいたわけですから、その期待に応えたい思いもあります。これまでの経験を総動員して、恐れずに楽しく、三谷さんを信頼して臨みたいっていう気持ちですね。

 

――三谷さんの作品には、どんな印象をお持ちですか?

おしゃれな笑い、って言うのかな。物語として成立させた上でコメディ要素を散りばめているから、誰が観ても面白いし心が軽やかになるような印象があります。物語の本筋を離れてでも笑いを仕掛けに行くコメディも、それはそれで面白いと思うんですけど、三谷さんの場合はそうじゃない。その役が本当にそう思っているから面白く見える、というところが魅力じゃないかと思います。特に印象に残っているのは、映画で観た『12人の優しい日本人』。有罪か無罪か迷って「むーざい」って言っちゃうシーンは忘れられないです(笑)。

 

――その三谷さんが、柿澤さんの舞台をご覧になって「僕のホームズがここにいる」と思われたそうですが、そのお話はご本人とも?

しました。僕は正直、「シャーロック・ホームズ」シリーズは小学校の頃に何冊か読んだことがあるくらいで、あんまり詳しくないんです。初めてお会いした時にもそういう話をしたところ、全然大丈夫だけど、映画は一本くらい観ておけば?っておっしゃってました。とはいえもちろん、どの作品でも勉強できることがあるならやっぱりしたいので、今原作を読み直しているところなんですけど。

 

 

――三谷さんが今回描くホームズは「風変りで、天真爛漫で、天才肌で、自己中心的で、尊大で、ナイーブで、心に闇を秘めている」人物で、それが柿澤さんを選んだ理由だそうですが、これらの要素は柿澤さんの中にもあるものだと思われますか?

自分では分からないものが多いですけど、「自己中心的」「ナイーブ」「心に闇を秘めている」に関しては、自分でもあると思いますね。ただマネージャー曰く、全部あるそうです(笑)。

 

――見抜かれていた、ということですね(笑)。

ですね(笑)。すごく嬉しかったのは、三谷さんが『メリー・ポピンズ』のバート役を演じる僕を観て、そう感じてくださったことなんです。例えば『スリル・ミー』の殺人鬼役を観た方が、「あれくらい狂ってほしい」ってキャスティングしてくださることは今までにもあったんですけど、バートとシャーロックは全然イメージが違うキャラクター。みんなに愛されるバート役の僕を観て、「君だけすごく寂しそうに見えて、そこに惹かれた」と言ってくださったことが、本当に嬉しかったです。

 

――コメディという部分については、得意・不得意どちらの意識がありますか?

分かんない、だって僕、ほぼ福田(雄一)さんのしかやったことないですもん(笑)。福田さんの作品では、今回ご一緒する佐藤二朗さんともよく共演させていただいてるんですけど、「すげー!」って毎回思わされますね。僕は福田さんが、「カッキー今日、笑い来なかったの分かる?あれは(テンポが)食ってるからだから、明日はもう1個遅らせてみ?そしたら絶対来るから」みたいな細かいアドバイスをしてくれるから笑ってもらえてるだけで、二朗さんみたいに100発100中で笑わせることはできません。それをご本人に言ったら、「何十年とやってきてる積み重ねだよ」って言ってたから、僕も積み重ねていくしかないんだと思います。でも今回二朗さんが演じるワトソンは、かなり真面目な役みたいですね。新しい二朗さんに出会えるんじゃないかって、そこも楽しみにしてるところです。

 


■念願だった“ストレートプレイだけ”の1年

 

――ここからは、ストレートプレイに懸ける思いについて伺えればと思います。劇団四季に入った時には、ミュージカルを志していらっしゃったんですよね?

そうですそうです、サッカーばっかりやっていた高校生の頃、芸術鑑賞の授業で『ライオンキング』を観てオーディションを受けて。在団中の3年間は、ミュージカルのことをずーっと考えていました。ストレートプレイというか、芝居というものに興味を持った最大のきっかけは、ブロードウェイから演出チームが来日した『春のめざめ』。それまでは先輩方から教わる方法論に則って芝居をしてたんですけど、彼らは「お前の持ってるものを出せ!」って言うんです。≪Totally Fucked≫という曲にある「ファック」という歌詞を、最初はみんな恥ずかしがって「ええ?…ファック」みたいに言ってたのが(笑)、「そんなもんか!」って煽られてるうちに最終的には「ファ~~ック!!」って叫べるようになって。ワークショップみたいなその稽古が楽しくて、もっと芝居の勉強がしたいと思うようになりました。

 

――では退団後、いったん大学に戻って卒業してから俳優活動を再開させた時にはもう、ストレートプレイを中心にやっていきたいと?

中心っていうことではないんです。ミュージカルも大好きだからやりたいけど、でもそれだけでは自分が成長できないとずっと思っていました。技術を全部取り除いたところにある、役者としての自分ってどんなものなんだろうって、常に考えていて。そういう意味では、年をまたいで公演してた『スリル・ミー』以外にミュージカルをやらない2019年は、僕にとって望んでいた結果です。劇団四季を辞めてから8年、芝居だけの年があってもいいんじゃない?って言い続けてきたことが、やっと実現した感じですね。もちろん来年にはまたミュージカルもやると思うんですけど、少なくとも年に1本は芝居がやりたいです。

 

――ミュージカルとストレートプレイでは、臨む心構えも違うものですか?

そこまで違わないですね。例えば『海辺のカフカ』は、体をすごく動かしたり声をめちゃくちゃ張ったりすることはない作品でしたけど、ミュージカルの時と同じウォーミングアップを常にしてましたし。そういう意味では、僕の中に“ストレートプレイだから”“芝居だから”っていう垣根があるわけではないんです。演出家でもキャストでもホンでも音楽でもいいから、何かひとつ自分が成長できそうなフックがある作品がやりたいという思いでいます。

 

 

――その貪欲なまでの成長欲は、どこからくるのでしょうか。すでに十分、役者として評価されているように見えます。

全然、全然、全く、全くです。すっげーイヤらしい話ですけど…『スリル・ミー』で僕がペアを組んだ松下洸平と尾上松也は、二人とも演劇の賞を獲ってるわけですよ。もちろん賞がすべてじゃないし、洸平が今年読売演劇大賞を獲った時は僕も本当に嬉しかったんですけど、やっぱり自分はまだまだなんだなって。もっと新しい人、新しい演出家、新しいスタッフの方々、映画でもドラマでもいいから新しい作品に出会って、少しずつでも実力をつけないと生き残っていけないっていう危機感は、常に持ってますね。

 

――なるほど、そう考えると本当に、“初”が多いこの作品は大きなチャンスなのですね。最後に改めて、今回の目標をお聞かせください。

とにかく、三谷さんに必死に食らいついていくことですね。三谷さんのおっしゃることはもちろん全部やるつもりですし、自分でひらめいたことがあればそれも臆せず相談していきたいですし、全然違う話もしてみたりして仲良くもなりたいですし(笑)。今回は若き日のシャーロック・ホームズということで、歳を取ってからのホームズもまた書いてもらえるような結果を残せたらと思います。三谷さんのシャーロック・ホームズはもう、全部俺だ!くらいの意気込みで。言うほど簡単なことではないと思いますけど(笑)、それが目標です。

 

 

【プロフィール】

柿澤勇人(かきざわ・はやと)
公式HPTwitter

2007年、劇団四季に入団し、同年『ジーザス・クライスト=スーパースター』でデビュー。在団中は『人間になりたかった猫』『ライオンキング』『春のめざめ』で主役を務める。2009年、同劇団を退団。以後もミュージカルを中心に数多くの作品に出演。近年の主な舞台に(以下ミュージカル)『サンセット大通り』『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯』『フランケンシュタイン』『紳士のための愛と殺人の手引き』『デスノート THE MUSICAL』『メリー・ポピンズ』『シティ・オブ・エンジェルズ』『スリス・ミー』、(以下ストレートプレイ)『海辺のカフカ』、『アテネのタイモン』など。映像作品に、映画「gift」「猫は抱くもの」、ドラマ「先に生まれただけの僕」、連続ドラマW東野圭吾「ダイイング・アイ」などに出演。三谷作品への参加は今回が初めてとなる。

 

 


 

【公演概要】

愛と哀しみのシャーロック・ホームズ

作・演出: 三谷幸喜
出演: 柿澤勇人 佐藤二朗 広瀬アリス
八木亜希子 横田栄司 はいだしょうこ 迫田孝也
音楽・演奏: 荻野清子
公演日:2019年9月1日(日)~9月29日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
※大阪ほか地方公演あり

 

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