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作品の力に、役者の“負けない強さ”を乗せて届けたい ~『パレード』内藤大希×熊谷彩春インタビュー~

  • インタビュー

2021年1月19日(火)

(取材・文:町田麻子/撮影:田中亜紀)

高い評価を得た初演からの続投キャストが大半を占める、再演版『パレード』カンパニー。数少ない新キャストのうち、フランキー役の内藤大希とメアリー役の熊谷彩春に、稽古場の様子や作品の見どころを聞いた。

 

2021年舞台写真 左より)熊谷彩春、内藤大希

 

 

▼ミュージカル『パレード』

《東京公演日程》 ※公演は終了しました
2021年1月17日(日)~1月31日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
 
ほか大阪愛知富山公演あり。
 

▼STORY

物語の舞台は、1913年アメリカ南部の中心、ジョージア州アトランタ。
南北戦争終結から半世紀が過ぎても、南軍戦没者追悼記念日には、南軍の生き残りの老兵が誇り高い表情でパレードに参加し、南部の自由のために戦った男たちの誇りと南部の優位を歌いあげる。

そんな土地で13歳の白人少女の強姦殺人事件が起こる。容疑者として逮捕されたのはニューヨークから来たユダヤ人のレオ・フランク。実直なユダヤ人で少女が働いていた鉛筆工場の工場長だった。彼は無実にも関わらず様々な思惑や権力により、犯人に仕立て上げられていく。そんな彼の無実を信じ、疑いを晴らすために動いたのは妻のルシールだけだった。

白人、黒人、ユダヤ人、知事、検察、マスコミ、群衆…それぞれの立場と思惑が交差する中、人種間の妬みが事態を思わぬ方向へと導いていく…。

 

気分はまるで飲食店の新人バイト!?

 

――まずは、ご出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。 

内藤 僕はそうですね、初演でフランキーを演じたのがスペックが高すぎる小野田龍之介君ということで、ちょっとプレッシャーを感じました(笑)。でも作品の評判は聞いていましたし、とても嬉しかったです。

熊谷 私は…どうしよう!と(笑)。演出の森(新太郎)さんとお会いする前日に譜面を渡されて、半泣きになりながら練習して(笑)、見ていただいてすぐ「じゃあ今から稽古場行って」という、本当に急なお話だったんです。出来上がったカンパニーの中に一人で飛び込んでいくというのがもう、本当に怖くて。

内藤 怖いよね! 想像しただけで怖いもん。ランチタイムに新人バイトが入るくらい怖い。まずはお客さんの少ない時間帯からシフト入れてよ!みたいな(笑)。

熊谷 そうなんです!(笑) でもカンパニーの皆さんが「頑張ろう!」って、ウルってきちゃうほど温かく迎えてくださったので、頑張らないと!と思うことができました。それにやっぱり、『レ・ミゼラブル』でご一緒した大希さんがいらっしゃるのがとても心強くて。

 

 

――気心知れたお二人ということで、お互いの印象などもお聞きできればと。

内藤 彩春ちゃんは本当に、育ちのいい子!という感じ。でも(唯月)ふうかちゃんとかと一緒にいるとキャッキャしてたりもして、ごく普通の女の子なんだなとも思いました。

熊谷 大希さんは、ほんっとにお芝居が素晴らしくて。マリウスが自分を責めるシーンで毎回本気で泣いていらして、見ていると「私がこの人をなんとかしてあげないと!」って、自然とコゼットの気持ちになれたんです。今回も、メアリーのお葬式でフランキーが悲しむシーンのお稽古を見た時、やっぱりすごい…!って改めて尊敬しました。

内藤 ヤメテ! 演技力とかじゃなくて、ただすぐ悲しくなっちゃうだけだから(笑)。あと多分、日常の俺がダメ過ぎて、演じてる時とのギャップで良く見えるだけだと思う(笑)。舞台の仕事は僕にとって、唯一ちゃんとできることなんです。

熊谷 唯一なんてことはないと思いますけど、日常がダメなのは私も一緒です(笑)。

内藤 あ、そうなの!? 全然そうは見えない。今だって、すごく大変な状況のはずなのに落ち着いて稽古してるから、大丈夫な人なんだろうなって。

熊谷 全然大丈夫じゃないです!毎日必死です!

内藤 そうだよね、錚々たる先輩の中で、自分のせいで稽古止められないって思うし。

 

 

かわいく、楽しく演じることで際立つ悲惨さ

 

――お二人が演じるのは、主人公レオが殺したとされる少女メアリーと、その友人のフランキー。現時点で、どんなキャラクターとして捉えていますか?

 

熊谷 メアリーは13歳ということで、私の実年齢より下なのですが、自分が13歳の時を思い出したりお母さんに聞いたりしたら、今とあまり変わっていないことが分かって(笑)。無理に子どもっぽくするのではなく、自分の中にある要素を使って演じられたらと思っています。キラキラしていて明るくて元気いっぱいの、でもいたって普通の、どこにでもいるような女の子。そんな子が殺されてしまうからこそ、悲惨さが増すと思うんです。

内藤 そんなメアリーを、相手にされてないところがありながらも好きなのがフランキー。ちょっとツンデレな感じも含めて好きなのかなって、今は思ってます。

熊谷 相手にしてないというか(笑)、メアリーもフランキーのことは好きなんですけど、ちょっと大人っぽく見せたくてツンツンしちゃうんです。

内藤 そう考えると、かわいいカップルだよね(笑)。メアリーが殺される前のフランキーとのやりとりは、この作品で唯一の楽しいシーン。そこを本当に楽しく演じられれば、葬儀のシーンでは自ずと悲しくなってくるんじゃないかなと思ってます。

 

――演出の森さんからは、どんなことを言われているのでしょう。

内藤 それが、あまり言われてなくて。何か言われたことある?

熊谷 ないです、「とりあえず元気で!」というくらい(笑)。

内藤 厳しい方だと聞いていたので、何も言われないのが逆に怖いです(笑)。葬儀のシーンについて、「俺だったらそうはやらない」と言われたことはあるんですけど、じゃあどうしろというのはなくて。僕としては、ミスできないっていうプレッシャーで過剰な表現になってるのは自覚してたので、もっとその場で生まれる感情で動けってことなのかなと解釈したんですけど…この解釈で合ってるのかどうかは、未だに分からない(笑)。

熊谷 私も、自分の役作り、これで合ってるのかな?と思いながらお稽古しています(笑)。

内藤 でも森さんのノートは、聞いてるだけでもすごく面白いですね。確かに厳しいんですけど、イヤミなくサラっと言うから忖度がない感じがして、ついて行こうって気になるんです。

熊谷 上下関係なく、みんなで一緒に作ってる、という気持ちにさせてくださるんですよね。しかもすごく、ユーモアがあって。

内藤 そうそう。これはフランキーじゃなく、もう一つ僕が演じる兵士の役についてなんですけど、「声が小さくて何言ってるか分からん」って言われたことがあって。でも、「繊細に歌って」って最初に言ったのは森さんなんですよ(笑)。あと、町の人たちの一人として参加するダンスシーンでは、「お前が一番アホの役なのに何ちゃんと踊ってんだ」って言われたんですけど、アホだって設定いま初めて聞きました!みたいな(笑)。

熊谷 あははは! 本当に、面白くて気さくな演出家さんです(笑)。

 

 

考えさせられる物語と美しい演出に注目!

 

――共演の先輩方の印象などはいかがですか?

熊谷 私が残って稽古することになった時、石川禅さんが「僕もこのシーン出るから」って、一緒に残ってくださったのが本当に嬉しくて。次の日に改めてお礼を言ったら、「彩春ちゃんならできると思ったから応援したくなったんだよ」と言ってくださって、もう本当に、神様仏様禅様!という感じでした(笑)。

内藤 うわ、めっちゃ素敵! 禅さん、本当にいい人だよね。僕もかわいがってもらってて、普通に椅子に座ってたら突然やってきて頭ポンポンしたりしてくれたり、稽古の合間に「あれ、髪切った?」って気付いてくれたり(笑)。チャーミングな人柄と、素敵な歌声とのギャップにもやられます。しかもドーシー役になると、ちゃんとめっちゃイヤな奴っていう(笑)。

熊谷 ギャップがすごいですよね! ほかの皆さんも、役に入るとほんっとに凄くて、でも裏ではほんっとに温かくて。毎日助けられています。

 

主人公・レオを追い詰めるドーシー検事役・石川禅

 

――では最後に、いまお二人が感じている、本作の魅力や見どころを教えてください!

熊谷 私はやっぱり、ストーリーと音楽の素晴らしさ。冤罪とか人種差別がまだ絶えない今、この作品をまた上演することにすごく大きな意味があると思います。実際の事件の資料を読んでいたら苦しくなってしまって、生まれて初めて金縛りにあったんです。でも、ともすれば自分も加害者側に回ってしまうかもしれないって、考えるきっかけになりました。

内藤 SNSの炎上とか、今ある問題と通じてるもんね。そんな考えさせられるストーリーを、森さんがきれいな舞台にしてることも、僕は魅力なのかなと思ってて。セットには八百屋(傾斜舞台)とか盆(回転舞台)が使われてるんですけど、そこに紙吹雪が加わることで、表情が七変化するんです。ミュージカルらしいド派手さと、芝居のような繊細さがミックスされてるところがすごいな、斬新だなって思います。

熊谷 本当にそうですね。

 

 

内藤 あとは今回、コロナ禍の中での長期公演ということで、僕らの“負けない強さ”みたいなことも見どころになってくるのかなって。配信ができない作品では、とにかく公演を打ち続けることでしか、僕らはコロナに反撃できない。そんな中で、地方公演にも行けることは、僕ら役者にとって大きな力になります。それに僕たち自身、お客様が来てくださることのありがたさが身に染みているコロナ禍でもあるので、それもまた力になっているはず。作品が元々持つ力に、僕たちのそういうパワーが乗っかった舞台になると思います。

熊谷 素晴らしい…! やっぱり、さすが大希先輩です。

内藤 だからヤメテって(笑)。でも本当、そのパワーをお客様にも与えられたらなと思っているので、ぜひ劇場に足をお運びください!

 

 

 

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【公演概要】
ミュージカル『パレード』

<スタッフ>
作:アルフレッド・ウーリー
作詞・作曲:ジェイソン・ロバート・ブラウン
共同構想及びブロードウェイ版演出:ハロルド・プリンス
演出:森 新太郎
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
振付:森山開次
音楽監督:前嶋康明

<キャスト>
石丸幹二、堀内敬子、武田真治、坂元健児、福井貴一、今井清隆、石川 禅、岡本健一
安崎 求、未来優希、内藤大希、宮川 浩、秋園美緒、飯野めぐみ、熊谷彩春
石井雅登、白石拓也、渡辺崇人、森山大輔、水野貴以、横岡沙季、吉田萌美

<東京公演>
期間:2021年1月17日(日)~31日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス
主催:ホリプロ/ TOKYO FM
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

 

<大阪公演>
期間:2021年2月4日(木)~8日(月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場  ABCテレビ
お問い合わせ:梅田芸術劇場 
TEL:06-6377-3888(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/910/

 

<愛知公演>
期間:2021年2月13日(土)・14日(日)
会場:愛知県芸術劇場大ホール
主催:テレビ愛知/キョードー東海
お問い合わせ:キョードー東海
TEL:052-972-7466(10:00~19:00 日・祝休)
http://www.kyodotokai.co.jp/events/detail/2028/

 

<富山公演>
期間:2021年2月20(土)・21日(日)
会場:オーバードホール
主催:チューリップテレビ/イッセイプランニング/(公財)富山市民文化事業団/富山市
お問い合わせ:イッセイプランニング
TEL:076-444-6666(平日 10:00~18:00)
http://www.issei.ne.jp/2020/04/2021029901/

 

企画制作:ホリプロ

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