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【特集コラム】英国人にとっての『マチルダ』

  • コラム

2023年3月7日(火)

 
 
目次

 

ロアルド・ダール博物館。そこにいけば、いつでもマチルダに会えます。

 

ロアルド・ダール博物館のマチルダ像。
2018年、本の30周年を記念して制作された。
© The Roald Dahl Museum and Story Centre


──さあ、博物館のウォンカ・ゲートを抜けて、中庭に出てください。すると、はしゃぎ声が耳をたたく。むろん子供たちです。ところで、ウォンカ・ゲートって?これは、ご存じダールの名作『チャーリーとチョコレート工場』の主人公、ウィリー・ウォンカからとったもの。こちらも英国人にとってはお馴染み。『マチルダ』と共通して流れる、ブラックながらもユーモアやファンタジーが魅力です。

ちなみに、マチルダ像ですが。なんか、エラそうですね。いえいえ、これはそういうことではないのです!その理由を、今から話そうと思います。

ちょっぴり、英国の歴史をひもときますが。マチルダを語るには大事なことばかり。おつきあいのほどを──。

ロアルド・ダール博物館。ロンドンのメリルボーン駅から列車にゆられること、1時間弱。
バッキンガムシャーの町に降りたつと、子供たちの楽園に到着する。
© The Roald Dahl Museum and Story Centre

 

二つの国民が住む、それが古き英国です


昔から英国には、上流階級と庶民の間に、明らかな階級の壁がありました。「ひとつの国に、二つの国民が共存している」、と言われるほどの格差社会だったのです。まず話す言葉からして違いました。いわゆる正統な英語である「クイーンズ・イングリッシュ」を話すセレブ。片や聞き取りにくい、くずれた英語を話す庶民です。さらに、生活習慣もちがうし、考え方も異なっていた。たとえば、こんな風に──。

まず貴族や領主、富豪といったセレブですが。彼ら「貴人」は、働くことを恥としました。なぜなら働くというのは、財産や土地をもたぬ庶民がすることと思っていたからです。ゆえに、毎日をゆったり過ごし、芸術や狩猟などに費やす。あるいは、社交界にて高貴なる交流につとめ、品位の向上にはげみます。教育もしかり。人格修養に欠かすべからず、ということで、学問はたしなみとされました。むろん、「庶民に学問は理解できない」と決めつけており、セレブの多くが、本気でそう思っていたのです。

一方。庶民は、働かなければ食べてゆけません。ゆえに「お貴族サマ」のように、日々をブラブラ過ごすのは、もってのほか。芸術だの学問だのは、腹の足しにもならない、と小馬鹿にし、反発するのが、お決まりでした。つまるところ、こういう考えが宿ります。「教育など受けても、社会で役に立たない。読み書きと簡単な計算ができれば十分だ。芸術や文学などは、金持ちの暇つぶしに過ぎない」

実際、一九世紀の後半まで、貧しい庶民の多くが、そう思っていたようです。義務教育が始まっていたものの、親たちは、学校に行くより働きにでる我が子を褒めた。そうでないと、何よりも家計が苦しかったからです。

 

マチルダの親って、実は、ふつうの親だったの!?


さて、空前のヒットを飛ばした『マチルダ』。物語は、ユーモアたっぷりに庶民の気持ちを描いています。わかりやすいのが、マチルダの両親。叩き上げで成功した父親は、マチルダが読書することを、いつも馬鹿にします。あまつさえ本を取りあげて、破り捨ててしまうありさま。己は、教養など無くとも、立派に家族を養っている、というのが自慢なのです。母親も、気持ちは夫と一緒。女の子はひたすら容姿を磨くべし、と言い張る。そうすれば、金持ちに見初められると信じているからです。二人とも、マチルダの学びたいという気持ちを真っ向から否定し、聞く耳をもたない。当時、斬新な発明であった「テレビジョン」に夢中で、「学問だの読書だのは、害になるだけ。読み書きができたら十分!」と強弁してやまない。まさに、一九世紀の庶民の意見、そのものではありませんか?これを聞いた英国の人々は、昔を懐かしく想い描き、笑うのかもしれません。

 

校長の方針も、昔の英国では、さほど変ではない?


さて、舞台のメインとなる学校です。隠れた天才であるマチルダが、ようやく通えるようになるのですが。そこの校長が、これまた型破り。軍隊か、はたまた監獄か?と、目を見張るような厳しさ。しかも、子供が大嫌いというから、常軌を逸しています。

実は、これにも、原作者ロアルド・ダールの軽妙な仕込みがあります。英国といえば、パブリック・スクール (裕福な子弟の通う私立学校) の本場。日本でいうところの、中高一貫の難関校という位置づけですが。古くは、貴族や金持ちの子弟教育に端を発して設立されました。一九世紀に至り、さらに規律は厳しくなり、たくましい紳士を養成するのが目的となってゆく。なぜなら、この時代、「太陽の沈まぬ帝国」として、繁栄を極めたのが、大英帝国です。世界中の植民地に、支配者の英国人を送り込む必要に迫られていた。そこで、優秀かつ、頑強な青年を養成する役目を担ったのが、パブリック・スクールでした。ゆえに、質実かつ剛健をモットーにビシビシ、エリート候補の生徒を鍛えたのです。

 

名門ハロウ校の生徒たち。クリケットの試合に臨む場面 (1869年の写真)。
そろいのユニフォームで、士気の高揚をはかる。
当時、どこのスクールも、スポーツをガンガン奨励して、生徒を鍛えた。

 

──時代が下り、二〇世紀を迎える頃には、庶民の義務教育も浸透し始めます。だが、それはあくまでも、「労働者を養成するための教育」で、支配者たるセレブのような「高等学問」と、捉えられてはいなかった。相変わらず、「読み書き計算」のための義務教育に過ぎない。つまり、無能な庶民に高度な教養は身につかない、と英国政府は考えていたことになります。この点が、校長の教育方針と一致するところです。

生徒をムチ打つ教師。義務教育とはいっても、初期は劣悪な学校ばかり。
教師からして、素性の怪しい人物が多かった。
明確な教育理念もなく、庶民は「体罰しても構わない人種」とされていた。

 

さて、『マチルダ』です。彼女の通う学校は、男女ともに制服が必須条件。これは、パブリック・スクールの校風を真似ています。そして、ごつい校長先生ですが。マチルダの親のように、「高等な教育など庶民には無駄、むだ、ムダ!」という熱い (?) 信念の持ち主。なぜ、この人が校長なの?と摩訶不思議ですが。さておき、校長の発言は、昔の政府の方針を彷彿とさせます。おまけに、このセンセイ。毎日のように、生徒をクズだなんだと罵倒します。これも、服従させるためのしつけと思っているらしい。ちなみに、ここは国家のリーダーを養成する場ではなく、庶民の学校です。しかも、小学校なのです。なのに、パブリック・スクールの厳格さだけは、ちゃっかり真似るから、始末に負えない。

この矛盾を抱えた学校は、まさに、古き政府の義務教育の稚拙さを、パロディー化しているのです。だからこそ、今の英国の観客は、爆笑するのかもしれません。

 

 

さあ、マチルダの反撃開始!


けれど、ちょっと待ってください。厳しいばっかりで、子供たちを馬鹿にするだけの教師に、誰が従うでしょうか?それは、今もマチルダの時代も同じです。

校長の圧政 (?) に、敢然と立ち向かう、マチルダ。幼き頃から文学に親しみ、高等数学もスラスラ解けるのに、親も校長も「嘘をつくな」とか「出来るはずがない」、と全否定の繰り返し。これこそ、英国で連綿と受けつがれたセレブの妄執そのもの。貴人より劣る庶民が、賢いはずがないという先入観が、これです。それでもマチルダは、あきらめず何度も「本を読めるし、数学も解けます!」と主張するが、取り合ってもらえない。なぜ、庶民から天才が生まれつつあるのを、認めないのでしょう?飛び級すべき才能を埋もれさせてしまう、昔の学校の方針さながら……。けれど、マチルダは大人しく沈黙する少女ではない。クラスメートのように、理不尽に支配されても仕方がない、とは思わない。怒りをバネに、孤独な抵抗をつづけます。

 

庶民の出だから愚かと、誰が決めたのでしょう?命令通りのことさえすれば良い、と押さえつける校長に、「NO!」と叫ぶマチルダのまなざしは熱い。なぜか?そこに、「庶民だからといって、出来が悪いと決めつけるな!」という、たくさんの想いが込められているからです。はたまた、罰と称して生徒を拷問監禁する器具を破壊したマチルダの、なんと荒々しいことか (※ちなみに、このシーンは、海外のメディアの創作で、原作にはありません)。ですが、これも古い悪習として、庶民を従わせるのにムチ打った歴史への、アンチテーゼ (否定的な主張) なのです。そう、人々の怒りを一身に背負っているから、猛々しいのです。

 

この物語は、学校を舞台に設定して、抑圧されてきた庶民が、支配者に打ち勝つ瞬間を描く、痛快コメディーです。次々に苦境をくつがえしたマチルダ。彼女こそ、庶民の反乱をなしとげたヒーロー!だからこそ、英国では、子供だけでなく、大人をも魅了しつづけてやまない──。

ちなみに、冒頭でマチルダ像が、なんかエラそう?と問いかけましたが。そうでないのを、ご理解いただけたでしょうか。たった一人で立ちあがり、敵に勝利した皆のヒーローだからこそ、あのポーズなのです。なんと自信にあふれて、頼もしいことか!そんなマチルダが、みんな大好きなのです。

読み聞かせのシーン。
© The Roald Dahl Museum and Story Centre

 

最後に、年間で4万人ほどが訪れるという、ロアルド・ダール博物館の職員にマチルダの魅力を聞きました。

「自分が小さく無力だと感じるときでも、困難に立ち向かう姿勢を示しています。それがマチルダの魅力ではないでしょうか」とのこと。

筋肉隆々で権力を振りかざす者は、英雄ではなく乱暴者です。そうではなく、力が無くとも奮い立ち、悪に挑める者こそが勇者ではないでしょうか。そう気づかされました。

 

公演概要

<東京公演>
期間:
【プレビュー公演】2023年3月22日(水)~3月24日(金)
【東京公演】2023年3月25日(土)~5月6日(土)
会場:東急シアターオーブ
主催:ホリプロ/日本テレビ/博報堂DYメディアパートナーズ/WOWOW
協力:GWB Entertainment
企画制作:ホリプロ
特別協賛:大和ハウス工業
後援:ブリティッシュ・カウンシル

<大阪公演>
期間:2023年5月28日(日)~6月4日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール
主催:梅田芸術劇場/読売テレビ
協力:GWB Entertainment
企画制作:ホリプロ
特別協賛:大和ハウス工業
後援:ブリティッシュ・カウンシル

<あらすじ>
5歳のマチルダは、図書館にある難解な本も全部読みつくしてしまうほど、高い知能と豊かな想像力を持った少女。しかし両親はそんなマチルダに関心を全く示さず、家庭は辛い場所だった。図書館に居場所を求めたマチルダは、そこで教師のハニー先生に出会う。
翌日、マチルダとハニー先生は学校で再会する。ハニー先生はすぐにマチルダが「天才」である事に気づき、その才能を伸ばしたいと願う。しかし学校は、トランチブル校長先生が恐怖で子どもたちを支配する「監獄」のような場所だった。
マチルダは自らが持つ不思議な力を駆使して、子どもたちを苦しめる大人たちに仕返しを試みる。自身も苦しい子ども時代を過ごしたハニー先生は、マチルダの良き理解者となり、いつしか二人の絆は固いものになっていく――。


<キャスト>

マチルダ:嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花(クワトロキャスト)
ミス・トランチブル校長:大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成(トリプルキャスト)
ミス・ハニー:咲妃みゆ/昆 夏美(Wキャスト)
ミセス・ワームウッド:霧矢大夢/大塚千弘(Wキャスト)
ミスター・ワームウッド:田代万里生/斎藤 司(トレンディエンジェル)(Wキャスト)

ミセス・フェルプス:岡 まゆみ/ 池田有希子(Wキャスト) 

原 慎一郎
寺井竜哉* 仲本詩菜* 春口凌芽* 山花玲美* 
石井亜早実  大久保徹哉  小島亜莉沙  斎藤准一郎  酒井 大  坂口杏奈  白山博基  
髙原華乃  出口稚子   緋乃 慧    深沢萌華 本田大河  森 莉那  森内翔大
片岡蒼哉 後藤レイサ 堀 蒼寿 松浦歩夢 / 髙橋維束 髙橋 輝 廣門来輝 渡邉隼人
*スイング

 

【販売中チケット】
<一般販売中>
■プレビュー料金(全席指定・消費税込)
S席:12,500円/A席:10,000円/B席:5,000円

■東京公演料金(全席指定・消費税込)
S席:14,000円/A席10,000円/B席5,000円

ご購入はこちら>>https://www.s2.e-get.jp/hori/pt/

 

<学生券>【第一弾・第二弾】
対象公演:3月22日(水)~3月24日(金)※プレビュー公演
対象公演:325(土)~4月16日(日)※本公演
価格:学生当日引換券6,500円
※予定枚数に達し次第受付終了

詳細はこちら>>https://horipro-stage.jp/event/matilda20221124/#Link03

 

【イベント】
<フォーカラーコンプリートキャンペーン>

マチルダフォーカラースケジュール発表!
全色集めてコンプリート特典をゲットしよう!

キャストスケジュールはこちら>>
※チーム編成は予告なく、変更になる可能性がございます。あくまで目安としてご参考ください。

【参加方法】
劇場でスタンプカードを入手し、色分けスケジュールごとで異なる色のスタンプを集めよう!

【特典】
コンプリートしたスタンプカードと4公演分のチケットを、”特典引換所”にご提示ください。特典内容は決定次第発表致します。

<アフタートーク>
ミスター・ワームウッドを演じる田代万里生、斎藤司がホストとなって、共演者をお迎えするアフタートークイベント ”ミスター・ワームウッドの部屋” が決定いたしました!

【対象日】
―3月28日(火)13:00 
ホスト:田代万里生
ゲスト:大貫勇輔、霧矢大夢

―3月29日(水)18:00
ホスト:斎藤 司(トレンディエンジェル)
ゲスト:木村達成、咲妃みゆ

―3月31日(金)18:00
ホスト:田代万里生
ゲスト小野田龍之介、昆 夏美

―4月5日(水)18:00
ホスト:斎藤 司(トレンディエンジェル)
ゲスト:大貫勇輔、昆 夏美、大塚千弘

―4月6日(木)13:00
ホスト:田代万里生
ゲスト:小野田龍之介、咲妃みゆ、霧矢大夢

―4月8日(土)17:30
ホスト:斎藤 司(トレンディエンジェル)
ゲスト:木村達成、大塚千弘

※対象公演回のチケットをお持ちの皆様ご参加いただけます。
※登壇者は急遽変更になる場合もございます。

 

<カーテンコール一部撮影OK!>
下記13公演にて、カーテンコールの一部をお手持ちのスマートフォン等で撮影して頂けます!

【対象日】

プレビュー公演
3月22日(水)16:00
3月23日(木)13:00 / 18:00
3月24日(金)13:00

本公演
3月25日(土)12:30
3月26日(日)12:30 / 17:30
3月28日(火)13:00
3月29日(水)13:00 / 18:00
3月30日(木)13:00
3月31日(金)13:00 / 18:00

※撮影はスマートフォンもしくはそれに準じるサイズの撮影機器に限ります。フラッシュ使用はNGとなります。
※撮影可能なタイミングは、当日会場にてご案内いたします。
※撮影は、お客様ご自身のお席にてお願い申し上げます。お席を移動されての撮影はご遠慮ください。

 

イベント詳細はこちら>>https://horipro-stage.jp/event/matilda20221124/

 

■ミュージカル『マチルダ』公式HP
https://matilda2023.jp/

■公式SNS
【Twitter】@Matilda2023JP
https://twitter.com/Matilda2023JP
【Instagram】matilda2023jp
https://www.instagram.com/matilda2023jp/

 
 

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