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【連載】「子どもが大活躍するミュージカル」特集 第4回:中村海琉×佐野航太郎インタビュー 「『ビリー・エリオット』にも『オリバー!』にも、楽しい思い出しかない!」

  • インタビュー

2023年2月28日(火)

『ピーター・パン』から『ビリー・エリオット』や『オリバー!』、開幕間近の『マチルダ』まで、子どもが大活躍するミュージカルを数多く制作しているホリプロ。その魅力をひも解く短期集中連載の第4回は、『ビリー』再演(2020)でビリーとマイケルとして、『オリバー!』(2022)ではギャング団の一員とドジャーとして共演した、中村海琉(14)と佐野航太郎(13)による対談をお届け! 第3回に続き、名作舞台を彩った子どもキャストの側から、「子どもが大活躍するミュージカル」の持つ力を探っていく。

(取材・文:町田麻子)

▼これまでの連載
第1回:篠田麻鼓(ホリプロ執行役員/公演事業本部長)インタビュー
第2回:“シャペロン”に注目!~『マチルダ』の稽古場より~
第3回:『ビリー・エリオット』『オリバー!』 出演キャストへアンケートインタビュー!

 

 

あこがれのシーンを、
自分が演じられる喜び

 

――まずは少しさかのぼって、『ビリー・エリオット』のオーディションを受けた理由と、受かった時の気持ちを振り返っていただけますか?

 

 

中村 先に話していいよ!

佐野 えっ、先輩からお手本見せてよ。

中村 先輩って(笑)、まあ僕のほうが1個上なのは事実だけど、遠慮しないでいいから!

佐野 ……いや、やっぱり海琉から。僕、緊張してるから。

中村 確かに、いつも元気なのに今日はおとなしいよね(笑)。じゃあ僕から。受けた理由は、お姉ちゃんが僕より先に舞台に出てて、僕も観てもらう側になってみたいって思ったから。受かった時は、言葉に表せない気持ちっていうか、頭が真っ白になりました。受かる自信は全然なかったから、本当に信じられなかったです!

佐野 僕は、ミュージカルに憧れて歌やダンス、演技のレッスンをしているなかで、母親からそういう募集があると聞いて、DVDを観てみたら、ビリーもマイケルもすごくかっこ良くて、演じてみたいなって。受かった時は、まずほっぺをつねって痛いかどうかを確認して、痛かったから、これは夢じゃないんだなって思いました(笑)。

 

●中村海琉 Nakamura Kyle
《受賞歴》

2021年 JBC( Japan Ballet Competition)沖縄2021アンサンブル部門 1位
2022年 KAWASAKI TAP FESTIVAL 2022 National Tap Dance Day賞(審査員特別賞)

《出演歴》
2020年 Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』ビリー・エリオット役
2021年
短編アニメショートムービー「ギョロ劇場へ」タクト役
ミュージカル『オリバー!』チャーリー・ベイツ役

 

●佐野航太郎 Sano Kotaro
《出演歴》

2019年 舞台『夫婦漫才』伸郎・正春・正秋 幼少期役
2019年 ミュージカル『未来への贈り物』リク役
2020年 Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』マイケル役
2021年
テレビ東京「シナぷしゅ」内ソング「ゆめのマサイマラ」ソロ歌唱
https://columbia.jp/synapusyu/
https://youtu.be/7kwvEkv-YTY
ミュージカル『オリバー!』アートフル・ドジャー役
2022年
『うたFes!Company Concert vol.2』歌唱出演
『TAP DANCE FESTIVAL 2022』『FINAL LEGEND DISSIDIA』タップダンス出演

 

――『ビリー』の稽古・本番を通して、特に楽しかったことやつらかったことなど、印象深い思い出を教えてください。

中村 今度こそ先いいよ!

佐野 分かった、順番ね(笑)。印象的なのは、稽古をしてくなかで演出家さんとか舞台監督さんとかと、どうやったらもっと舞台を良くできるかって話しながら、意見を伝え合いながら良くしていけたこと。一つひとつのシーンを作り上げていく過程がとにかく楽しくて。台詞や歌、ダンスにどんどん命が吹き込まれて、それぞれが役として生きる。その瞬間を目の当たりにしたことも強く印象に残っています素敵な舞台を作るには、まず自分が楽しまないといけないっていうのは最初から分かってたんですけど、僕は人見知りだからそれがなかなかできなくて。でもみんなで一緒に試行錯誤するうちに、自然と楽しめるようになりました。

中村 いや、人見知りなんかしてなかったって!

佐野 してたよ!

中村 うそ~ん。まあ、じゃあそういうことにしておこう(笑)。僕が印象的なのは、毎日の稽古で、初演の舞台とかDVDを観てあこがれてたシーンがひとつずつ、“自分ができるシーン”になっていったこと。「明日あのシーンの稽古ができる、わあ楽しみ~!」って毎日思ってたし、できるシーンが徐々に増えていくのがすごく楽しかったです。

 

▼2020年『ビリー』プレスコール映像 

中央)中村海琉/2020年『ビリー・エリオット』舞台写真 撮影:田中亜紀

左より)佐野航太郎、利田太一/2020年『ビリー・エリオット』舞台写真 撮影:田中亜紀

 

――では、『オリバー!』のオーディションや稽古中・本番中の思い出は?

佐野 海琉が先に話す番だよ。

中村 そっか(笑)。オーディションを受けたのは、『ビリー』に出たことで、舞台って楽しい、また新しい作品に出てみたい!って思ったから。

佐野 僕も同じ。『ビリー』がすごく楽しくて、またミュージカルに出たい一心でレッスンに励んでた時に、オーディションがあると聞いて受けました。それで受かって出演したら、『ビリー』とはまた違う面白さがあって。昔のお話だから、セットとか衣装が見たことない感じなのが新鮮で、ワクワクしたことが印象に残ってます。

中村 衣装、全然違ったよね! 『ビリー』は踊りがメインだから、動きやすいように生地とかも柔らかいんですけど、『オリバー!』は生地が固くて。暑かったよね?(笑)

佐野 マジで暑かった。特に一幕の最後はエネルギッシュなシーンだから、終わるとみんな汗だくだく。一目散に脱いで、炭酸の飲み物を飲んだこともいい思い出です(笑)。

 

佐野航太郎/アートフル・ドジャー扮装写真

 

――ともに中学生になられた今、『ビリー』や『オリバー!』に出演した経験が、日常生活でも生きていると感じることはありますか?

佐野 僕からでいいの?

中村 いいよ!

佐野 いっぱいあります。台詞を覚えた経験が暗記科目の勉強に役立ってるし、体力と集中力がついたから体育も取り組みやすいし、音楽の授業で歌うのも楽しい。全部「出る前の自分よりは」って意味で、優等生とかでは全然ないんですけど(笑)。

中村 うわ、全部言われた!

佐野 だから先いいよって言ったのに(笑)。

中村 言いたいことは同じなんですけど、僕は生まれつき集中力がないっていうか(笑)、人の話が本当に聞けない人で。

佐野 ……確かに。

中村 「確かに」って言うなよ~(笑)。でもミュージカルの稽古では、人の話を聞かないとできないことがいっぱいあったから、僕も航太郎と同じで「前よりは」だけど、集中力がある程度はついたのかなって。『ビリー』と『オリバー!』の経験がなかったら、中学のテスト勉強なんて絶対できなかったと思ってます。

 

いつか『ビリー』に、
大人キャストとして出演したい!

 

――お二人とも、『オリバー!』の本番中に変声期を迎えられたと聞いています。それで悩んだり、俳優の仕事を続けられないと思ったりしたことはありますか?

中村 稽古では出てた声が出なくなった時はどうしようって思ったけど、周りの先生たちがいろいろ教えてくれたから、すぐ前向きな気持ちに変わりました。変声期は男の子ならほとんどが迎えるものだから、声が高い時は高い時で楽しかったけど、低くなれば大人の俳優さんが歌ってるみたいな歌も歌えるから、切り替えて頑張ってこう!って。

佐野 僕はもともと、みんなからうるさいって言われるくらい甲高い声だったから(笑)、変わった時はちょっと苦戦しました。でも海琉と同じで、それですごく悩んだってことはなかったです。『ビリー』にも『オリバー!』にも、終わってみたら楽しい思い出しかないから、またミュージカルに出たい、あの楽しい雰囲気を味わいたいっていう気持ちで、今も俳優を目指してレッスンを頑張ってます。

 

 

中村 本当、楽しい思い出しかないよね。つらいことって何かあった?

佐野 つらいっていうか、できなくて困ったことはあった。僕は体力がなかったから、ダンスの稽古とかするとすぐ疲れちゃって。でもある時から、家の周りの畑を1日に3周することにしたら体力がつきました(笑)。肺活量をのばそうと思って、走りながら声出したりもしてたから、近所の人からは変な人だと思われてたと思うけど(笑)。

中村 あはは! そういうので言うと、僕も稽古休みの日にはよく家の近くの川に行ってました。朝の8時くらいに、ひとりで網持って魚とって(笑)。つらかった思い出がないのは、そうやってうまくリフレッシュしてたからでもあるかもしれないです。

 

――では将来は、どんな俳優になりたいですか?

中村 『ビリー』で習得したダンスとかアクロバットを生かして、歌って踊れる俳優さんになりたいです。あこがれてるのは、大貫勇輔さん。『メリー・ポピンズ』のバートと、『北斗の拳(フィスト・オブ・ノーススター)』のケンシロウが超かっこ良くて! ハードルがバカみたいに高いけど(笑)、僕もいつかやってみたいなって。

佐野 僕も同じような話になっちゃうんですけど、『ビリー』や『オリバー!』で培った経験や演出家さんに教えてもらったスキルを生かして、舞台で光って見えるような俳優さんになりたいです。あこがれっていうか、尊敬してるのは市村正親さん。

中村 ハードルたっか~! 『オリバー!』のフェイギンとか、『ミス・サイゴン』のエンジニアとかやりたいってこと?

佐野 うん、いつかは。魅力的な役をたくさんやられてるので、全部真似したいです。……ハードル上げすぎかな? 目標は高く持ったほうが、努力しがいがあるので!(笑)

 

左より)中村海琉、大貫勇輔/2020年『ビリー・エリオット』舞台写真 撮影:田中亜紀

 

――その日を楽しみにしています。最後に、これからビリーとマイケルのオーディションを受けようと思っているみなさんに、先輩としてアドバイスをお願いします!

佐野 できないできない! 僕に言えることなんて何もありません。

中村 なんでよ。航太郎のマイケル、最高に面白かったよ! 僕、笑っちゃいけないのに航太郎が面白すぎて笑っちゃって、先生に注意されたことあるんだから(笑)。それって才能だから、自信持ってよ。

佐野 ええ~? じゃあ……オーディションではいろんなレッスンがあるから、最初は慣れなくて大変なこともあると思うんですけど、やっていくうちに楽しいって思える時が絶対に来るので、自分を信じて頑張ってください!

中村 いいこと言うじゃん! ヤバい、ハードル上げられた(笑)。

佐野 シメだよ、頑張って!(笑)

中村 そうだな~……オーディションで必要なのは、持ってる力をすべて出すことだけだと思います。緊張で出し切れないこともあるかもしれないけど、それって人前だって意識するからだって、僕は思ってて。自分ひとりだったら絶対にできることだから、オーディション会場でも、自分だけの世界を作るつもりで出し切ってください!

 

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――説得力満点のアドバイス、ありがとうございました! ちなみに、2024年の『ビリー・エリオット』は観に行きますか?

中村・佐野 絶対行きます!

佐野 観たら、「また出たい」って思いそう(笑)。

中村 えっ、大人の役で? どれどれ? 気になる。

佐野 全部やってみたいけど、最終的にはお父さん。海琉は、前からトニーやってみたいって言ってたよね?

中村 そう、ビリーやりながらトニーやりたいって思ってた(笑)。ビリーに近い存在だったから目が行って、かっこいいなって。でももちろん、オールダー・ビリーもいつかはやってみたい。

佐野 やりたい役、いっぱいあるよね。いつか別の形でまた『ビリー』に出られるように、まずは2024年の舞台を観てしっかり研究して、またレッスン頑張ります!

 

 
取材を終えてのコメント
 
 ■中村海琉 コメント 
今回、この取材を受けて久しぶりに航太郎やお世話になったスタッフの方々に会えて、すごく嬉しかったです。特に、ビリーのときいつも一緒にいてくださったスタッフさんと久しぶりに会えたこと、身長を抜いていたことが嬉しかったです(笑)。僕は色んな意味で一番手がかかるビリーだったと思うので、色々覚えていてくれて、それを話しているうちに一気に、当時のことが蘇りました。取材を終えて感じたことは、舞台を通して本当に沢山の人に出会えたなと思いました。そして数えきれないほど沢山の事を教わったとあらためて感じました。今思えば二度と経験できないすごく贅沢な時間でした。舞台が終わった今は、出会った俳優さんの舞台をみにいくことが増えました。そして、自分自身はビリーで教えていただいたことを全て継続しています。コンクールに挑戦したり、稽古場の公演に出演したりと少しずつですが頑張っています。オリバーの後は、両足を同時に手術しました。術後はリハビリをして今はふつうに動くようになったので、以前から興味があった殺陣やアクションにも挑戦しています。また、いつか大人の俳優として舞台に戻れるよう頑張りますので、これらからも応援よろしくお願いします。
 
 ■佐野航太郎 コメント 
取材はとても緊張しましたが、インタビューをしてくださったライターの町田麻子さんとスタッフの皆様が終始笑顔で接してくださり、海琉が明るく和ませてくれたのでとても楽しかったです。オーディションや稽古、本番のことを鮮明に思い出し、作品を観てくださったお客様、カンパニーの皆様はじめ多くの方のお陰で舞台に立つことができたことを改めて感じて、支えてくださった皆様への感謝の気持ちでいっぱいになりました。
『ビリー・エリオット』と『オリバー!』の出演を通してさせていただいた一つひとつのことがどれだけ自分にとって大切で貴重な経験だったか、今振り返って改めて強く実感しています。アンケート取材の記事は、共演させていただいたみんなの顔が浮かんで、思わずうなずいたり笑ったりしながらとても楽しく読みました。作品を通して尊敬するみんなと出会えて、一緒に作品の中の一人として生きることができて本当に幸せですし、みんながそれぞれの場所で今も努力を続けて活躍している姿に「自分も頑張らなきゃ!」といつも力をもらっています。今ぼくは、中学で学業と部活に励みながら、歌やダンス、お芝居のレッスンを続けています。昨年は歌やタップダンスのステージに出演させていただき、最近は弾き語りに憧れて独学でギターを始めました。今まで経験したことや教えていただいたことを大切にこれからも色々なことに挑戦して、いつかまた今よりもっと成長した姿で皆様にお会いできるよう精一杯頑張ります。

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