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『神の子どもたちはみな踊る after the quake』本番直前!稽古場レポート

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2019年7月31日(水)

7月31日から東京・よみうり大手町ホールにて村上春樹原作、倉持裕演出の舞台『神の子どもたちはみな踊る』が初日を迎えます。本番に向けて皆が懸命に汗を流す稽古場の模様をお届けします。

取材・文・撮影/小村早希

 


 

▼公演詳細ページはこちら

 

稽古場には無数の段ボールが積み重なった壁が上手と下手にあり、その間にテーブルや時にはベッドになるような長方形の台、さらに下手には椅子がちょこんとおいてあった。
この日見学出来たのは、淳平(古川雄輝)と小夜子(松井玲奈)の関係に変化が訪れる場面から、かえるくん(木場勝己)が片桐(川口覚)の力を借り、東京に大地震を引き起こそうとしているみみずくんと闘う場面までだった。

 

左より)古川雄輝、川口覚

 

この作品では出演者たちは登場人物の他に「語り手」という役割を担っている。古川や川口たちが自分の役どころを演じる最中には木場が状況や登場人物の心象風景を「語る」役目を果たす。それと同時に古川たちも自分の役を演じながらどこか役を客観的に眺めるように「語る」という不思議な構造となっている。この結果、かえるくんと片桐のファンタジーのような世界と淳平や小夜子たちの現実の世界が奇妙に同居して、両者が違和感なく同時進行し、それぞれの世界が理解しやすい物となっていた。

 

木場勝己

 

淳平役を演じる古川は、どこか内気で自己表現が苦手な青年を演じつつ、小夜子に刺激されて生の鼓動を感じさせる、まるで卵から雛が外に出ようとしているような繊細な演技で魅了していた。また小夜子役の松井も透明感あふれる存在としてそこに生き、淳平に変化をもたらす“静かなる力”を感じさせていた。

 

松井玲奈


一方、かえるくんを演じる木場は、緑色の両手を自在に動かしながら、どこか浮世離れした口調で片桐役の川口に語り続ける。みみずくんとの戦いの模様を説明する時、木場は息も絶え絶え、難儀そうにゆらゆらと語る。時に大きく呼吸をし、目をかっと見開いては、またゆらゆらと語る。実際に生きたかえるが目の前にいて、人間の言葉を喋るとしたら、本当にこんな状態かもしれない、と思うくらいだった。
片桐役の川口は、小夜子の夫・高槻の二役を演じているが、服装や髪型、眼鏡を替えて器用に二人の人物を演じ分ける。時にステージ上でもう一つの役に早替えするのだが、この日はちょっとしたハプニングがあり、上手く早替えが出来ず、松井がしびれをきらしたように笑いながら追いかけ、スタッフも皆大笑いとなる一幕もあった。

 

川口覚

 

通し稽古が終わった所で、古川、松井、そして演出の倉持裕に話を聴いた。

 

――今、お芝居の仕上がりはどの程度までたどり着きましたか?

古川:この稽古場に来るまでは50%くらいだったんですが、ここで立ち稽古を始めた数日で動きが変わったり自分がイメージしていたものが急ピッチで進んだので、一気に70%くらいまであがりました。

 

松井:確かに(笑)。実際に劇場に入って見ないと分からないですが、芝居が流れてくるようになったと思います。何合目というよりは「ちゃんと最後まで通して出来る」という、そこからどこまで精度を上げられるか、そこを今は考える時間なんじゃないかなって思っています。

 

倉持:もう8割くらいは出来ているんじゃないかな。稽古場でやれることはすべてやって、後の2割は劇場で。厳密に言うと、どんな芝居も「仕上がる」というのはなかなかないことなんですが……。

 

――倉持さんにお伺いします。今回活字が立体化したことで改めて感じた村上春樹ワールドの魅力とは?

倉持:小説家が作った架空の話と現在と過去という時間や世界や場所が混ざっている原作で、それらがごちゃ混ぜになって融合していく様がとても面白いですね。こちらが意図して混ぜようとしているのではなく、やっていくうちに出会ってない人たちが影響し合っていくことを感じますね。
皆の共通項に「地震」というものがありますが、登場人物は誰も被災していないのにその地震の影響を受け心にダメージを追っている。出会っていない人たちが同じタイミングで損なわれ、そこから再生していく……村上春樹さんの作る文学の中でも、この芝居の原作『神の子どもたちはみな踊る』は特に希望に満ちていると思いますね。

 

――古川さんと松井さんは、倉持さんの演出を受けてみていかがですか?

古川:いろいろ気づかされた事が多いです。映像の現場だと、何日もかけた稽古は行いませんが、この舞台では役柄について細かく追及していけるような基礎的な事からアプローチしてくださったんです。芝居に慣れている方には申し訳なかったですが、僕にとってはいい時間を作っていただきました。

 

松井:今まで倉持さん演出の舞台作品はコメディばかり観ていたので、稽古場でもずっとテンション高くやってらっしゃるのかな、と思っていたんですが、それとは真逆で淡々と思っている事を真っ直ぐに伝えてくださる方なんだなあって。稽古が始まった頃は何も言葉がなくて不安だったのですが、今は「倉持さんはダメなときに『ダメ』と言ってくださる方、もっと良くなるようにポンとアイデアをくださる方」なんだなって思います。

 

倉持裕

 

――本番までにあとここはもう少しやっておきたい、と思うところは?

古川:まだまだ。全部やっておかなきゃ(笑)。誰と話しているときか、例えば子どもと話すとき、また小夜子と話すときでも淳平としては変わりますから、誰かと話すときは上手くいっても違う人と話すときはまだできてなくて。さらに独白についても試したいことがいっぱいありますね。

 

松井:阪神・淡路大震災直後を描いている作品なので、人が心に負っている傷の深さをきちんと考えたいと思っています。現状では自分がそこにたどり着くためのドアをまだ見つけられてなく、色んな道を踏んでいかないといけない。早くそのドアを見つけて向こうの世界に入れるようにしたいです。あと、高槻と小夜子と淳平の関係はもっと考えていけそうですね。

 

倉持:この物語は「箱」がキーワードになる話なんです。だから箱があるビジュアルと役者が演じるドラマがもっともっと影響し合ってうまく融合していけたら。その辺りは、劇場で実際のセットの上でやることで解決することかもしれません。

 

松井玲奈

 

――心に残る台詞や場面は?

松井:かえるくんの台詞で「世界は大きな外套のようなもので、その内側にいろいろなポケットがいっぱいついている」。村上春樹名言集みたいなものがあるなら是非そこに収めて欲しいと思うくらい、素敵だなって。ジャケットの内側が宇宙という話をかえるくんがしている時はワクワクしながら聞いていますね。

 

古川:台詞が全部印象的なので選べないですが、ここで僕が芝居をしている間に語り手が喋っていて、その語り手と僕が別空間にいるような瞬間というのは普段やっている映像作品ではやらないのでそれは記憶に残ります。

 

倉持:村上春樹さんの文章がそのまま脚本になっている事にちょっと躊躇しましたね。小説の地の文を役者がしゃべる―――状況を説明するという事は、ともするとリーディング公演のようになるんじゃないかなって。でもやってみたら結構面白くて、不思議な演劇になりました。
そして僕が印象に残る場面……村上春樹さんの物語ではやたらビールを飲む場面が出てきます(笑)。それはさておき、ラストの場面がいちばんですね。内省的で自分の事に気持ちが向き過ぎている主人公が、最後に僕はここにいてこの人たちを守るんだ、っていうところに行きついたってところを観てほしいですね。

 

古川雄輝

 

――古川さんと松井さんからもぜひお客様にメッセージをお願いします。

古川:僕は舞台に出るのが約3年半ぶりなので、少しでも成長した姿をお見せできたら。生で楽しんでいただけたら嬉しいです。原作を読だことがある方も観にいらっしゃると思うので、村上春樹ワールドを楽しんでいただきたいです。

 

松井:舞台で母親役をやるのが初めてなので、新鮮に感じていただきつつ、ちゃんと親子の関係に見えたらいいなと思います。

 

 


 

【公演概要】

神の子どもたちはみな踊る after the quake

作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
演出:倉持裕
出演:古川雄輝、松井玲奈、川口覚、横溝菜帆・竹内咲帆(子役・Wキャスト)、木場勝己
公演日:2019年7月31日(水)~8月16日(金)
会場:よみうり大手町ホール(東京・大手町)
※愛知・神戸公演あり

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