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松井玲奈インタビュー「舞台はキュンとするものを見つける宝探しのよう」

  • インタビュー

2019年5月17日(金)

2019年7・8月上演の舞台『神の子どもたちはみな踊る after the quake』に出演する松井玲奈のインタビューをお届けします。

地震のあとも怯え続ける娘を持つシングルマザー、小夜子という役について、また小説の書き手としての視点で脚本を読んでの思いなどをお聞きしました。

取材・文・撮影/小村早希

 


 

▼公演詳細ページはこちら

 

■この話は、淳平と小夜子の長い時間をかけた物語

 

――本作の脚本(翻訳台本)を読んだときにどんな印象を受けましたか?

入り組んでいる原作が一つの物語になっていくのが面白かったです。「会話劇」というよりはモノローグ的で、誰かが何かを語っている……それが舞台になったときにどういう演出になるのか、どういう見え方になるのか想像がつきませんでした。この話は、淳平と小夜子の長い時間をかけた物語だと思っています。私は最初、小夜子をメインにして読み進めていたんですが、この長い時間をかけて落ち着くその最終地点がおもしろいなと思いました。

 

――松井さんが今回演じられる小夜子はお母さんでもあります。これまでこういう役はやったことがないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか?

ある程度の年齢の娘がいる母親役、というのは初めてです。台本を読んでいると「地震の後で子どもが眠れない」と言うのが軸の1本になると思っています。けれど小夜子は娘のことを怒ったり「そんなこと言ってないで寝なさい」などと言うシーンがあまりなくて、俯瞰で子育てをしているタイプなのかな、とか、子どもが感じていることをちゃんと受け止めてあげていて、大人の意見を押し付けない人物だなと感じていますね。

 

 

――こんな作品を舞台化することとなりますが、どのような楽しさ、あるいは大変さがあると想像できますか?

原作や台本に書かれてない部分を形にするのが大変かもしれませんね。私が読んだ翻訳台本はほぼ原作そのままの感じだったので、小夜子と言う人物を自分の中で作っていくためにはまだ足りない情報もあって、もっと考えていかなきゃいけないと思います。小夜子自身の考えや余白を作っていく事はきっと大変だろうなと思います。

 

■倉持さんがこの作品をどう作られるのか楽しみ

 

――倉持さんからはどのような話をされたのでしょうか。何かリクエストなどあったのでしょうか?

倉持さんとは台本を読んでどうだったか?って感想や倉持さん自身がどういう考えを持っているのか、また海外の話や音楽の話をしましたね。まだ倉持さんもどういう演出をするか明確にはなってない状況だったので、これから稽古に入っていくのが楽しみです。

 

――松井さんから見た倉持さんの印象は?

私はそれほど多くの舞台をやっているわけでは無いんですが、これまでお会いした演出家さんよりはクセがなくて(笑)倉持さんの作品は、妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』、『鎌塚氏、放り投げる』、そして『LIFE!~人生に捧げるコント~』を拝見しましたが、いずれもコミカルに寄っている作品でした。また一方で映画『十二人の死にたい子どもたち』のようなシリアスな作品も手掛けていらっしゃるので、振り幅のある方なんだなという印象です。今回の村上春樹さんの作品がどう作られていくんだろうってところが非常に楽しみに感じています。

 

――では、淳平役の古川雄輝さんの印象はいかがですか?

古川さんは慎重な方と言う印象を受けました。言葉を絞ってしゃべるというか、そういう印象があります。作品の事を深く考えているんだなぁと思いましたね。
この舞台は、稽古の中で共演者さんたちと「セッション」という意見の出し合いみたいなことをいっぱいやっていくような気がしています。今の段階でも私が考えていなかった事を古川さんがおっしゃったり、感想や着目する場所が違ったりしたのでそれが楽しいです。倉持さんや他のキャストさんたちがどう考えているのか、どう作っていくのか、気になりますし!

 

 

■「てにをは」一つでも意味が変わってくる

 

――松井さんは役者としてだけでなく、小説家としての顔もお持ちです。同じ書き手として見た村上春樹作品に感じることは?

村上春樹さんの作品をちゃんと読んだのは今回が初めてなんです。けれどその前に小説家としての村上春樹を書いたエッセイを読んだことがあって、そこには村上さんがどんなことを考えて小説を書いているか、何を大事にしているかが書かれていたんです。村上さんは一度書き上げたものを何度も読み返し、句読点の位置はここでいいのか、文末はこれでいいのか……など、何回も何回も吟味していると書かれてあったんです。それを知った上で改めてこの作品を読むと台本にそのままの台詞が反映されている箇所がたくさんありました。大事な台詞をいちばんきれいな形に持っていくために、台詞の出だしや語尾を音にすることがすごく緊張しそうだなと思っています。

私自身が文章を書く時は、勢いで書いて(笑)、編集の方がおかしなところを推敲してくださり、自分が伝えたかった事はどうしたら伝わるのかなと考えて書き直すスタイル。だから村上さんの書き方を知って、自分が文章書くときにもっといろいろ考えていかなきゃいけないなと改めて感じています。ちょっとした言い回しの違いで伝えたいことが変わってしまうと感じていますし、「てにをは」一つでも意味が変わってきますしね。

村上さんのファンの方も、この作品が日本で舞台化されることをきっと楽しみにされていると思うんです。でも原作が好きな方って自分の頭の中に自分だけの世界があるので、そのイメージを崩さないだろうか、という心配もあります。「私が想像していた小夜子はそんな人物じゃない!」っておっしゃる方もいるかもしれない。でも、生の舞台だからこそ、その日によってお客さんが新しい受け取り方を見つけてくださるかもしれません。それは演じる私たちも同じ。毎回、キュンとするものを見つける「宝探し」みたいで楽しいです。

 

――最後に、本作を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

原作を読んだり、古川さんとも話して思ったんですが、人によって印象が違ったり見ている部分が違う、面白い作品だと思いました。演じることで、観る人に受け取っていただける「余白」の部分をしっかり残して、舞台を観終わった後に、あそこはこういうことだったのか、などと考えてもらえるような作品にしたいです。私が演じる小夜子というキャラクターは、どこかミステリアスな部分が残るようにしていきたいです。村上春樹さんの作品に登場する女性はそういう点が魅力でもあると思うんです。

 

 

スタイリスト:佐藤英恵[DRAGON FRUIT]
ヘアメイク:白石久美子

 


 

【公演概要】

神の子どもたちはみな踊る after the quake

作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
演出:倉持裕
出演:古川雄輝、松井玲奈、川口覚、横溝菜帆・竹内咲帆(子役・Wキャスト)、木場勝己
公演日:2019年7月31日(水)~8月16日(金)
会場:よみうり大手町ホール(東京・大手町)
※愛知・神戸公演あり

 

松井玲奈(まつい・れな)
公式HPTwitterTwitterInstagram

1991年生まれ。愛知県豊橋市出身。2008年SKE48一期生としてデビュー。2015年に同グループを卒業後は役者業をメインとして活動。舞台では、つかこうへい七回忌特別公演『新・幕末純情伝』で主役の沖田総司役を演じた他、鴻上尚史演出『ベター・ハーフ』、串田和美演出『24番地の桜の園』、藤田俊太郎演出『ラヴ・レターズ』に出演。本年は映画「21世紀の女の子」と「今日も嫌がらせ弁当」に出演。

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