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堀義貴がホリプロの演劇を語る「人も作品もスターを生みたい。それが究極の目的なんです」

  • インタビュー

2019年4月8日(月)

新生”ホリプロステージ”始動に伴い、作品や俳優にまつわるインタビューコーナーがスタート!

記念すべき第1回目は2019年春から2020年夏までの上演ラインナップの話を交えつつ、代表取締役社長・堀義貴がホリプロとして演劇をどのようにとらえているかを語ります。

取材・文・撮影/小村早希

 


 

 

■俳優や現場がやりたい作品をやるのがホリプロの演劇スタイル

 

年間のラインナップの内容ですが、そこに特別な意図はないんです。僕自身は作品には何もタッチしていないから。これらは俳優や現場から出てきたものが形になっているんです。

例えば市村正親と草笛光子さんの『ドライビング・ミス・デイジー』はまさにこの二人でやりたいから、ということで決まった作品ですし、『アジアの女』は吉田鋼太郎がシェイクスピア以外の作品を演出したい、と自ら長塚圭史さんを薦めてきたんです。今回の『海辺のカフカ』はパリの劇場から「どうしてもやってほしい」という要望があり、実現しました。『奇跡の人』も、昔ヘレン・ケラー役をやった高畑充希が今度はサリバン先生をやりたいと希望して動き出したんです。

僕自身がものすごくやりたいと言って持ってきたのは『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』くらいです(笑)。

2020年に再演を控える『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』(2017年舞台写真より)

 

昨今大型ミュージカルが増えてきているので、上演・再演するならそれはいつやるのか、キャストやスタッフのスケジュールだけではなく、海外作品の日本版をやる場合は外国人スタッフのスケジュールも考えないとならないので、僕らだけでは決められない。そういった前提がすべて揃わないとどんなにやりたくても実現しない話なんです。

また『ビリー・エリオット』や『スクール・オブ・ロック』などは子どもをゼロから育てないといけないので、どうやっても準備期間として1年以上かかってしまう。ラインナップを決めていく作業は例えるならパズル。大きな作品と小ぶりな作品をパズルのようにはめ込んでいく作業の連続です。時には許諾の都合などで、大型作品を続けたくない時でも続いてしまう場合だってあるんです。その時はもうヒーヒー言ってますよ(笑)。

 

 

■演劇界では「ホリプロっぽい」と言われない存在でありたい

 

演劇に関してはうちは新参者だと言う意識があります。演劇界の中では全くの異人種ですし、ホリプロが演劇をやり始めた頃から今に至るまで、おそらく「芸能プロダクションごときが」と思われていたと思います。僕らは何でも屋なんです。「ホリプロブランド」というものはそもそも存在しないんです。業界の人やミュージカル好きな方々がそういう風に言っているのかもしれませんが、われわれは演劇をやっている一方でさまぁ~ずやバナナマン等のお笑いライブをやっていたりしています。「ホリプロって何なんだ?」って思いますよね。

 

 

ジャニーズ事務所さんや宝塚歌劇団さん、劇団四季さん、吉本興業さんを羨ましく思う時もあるんですよ。その名前を出したら出演者をはじめ大体どんな雰囲気か分かってもらえるでしょ?でも「ホリプロ」と言われたら、多分何も思い浮かばないと思うんです。東宝さんがやっている『レ・ミゼラブル』などのミュージカル、また劇団四季さんがやっている『オペラ座の怪人』などのロイド・ウェバー作品やディズニー作品など……彼らが持っていて僕らがやれない作品がたくさんある一方で、逆に彼らのカラーに合わない作品が僕らのほうに来たりします。ものすごく重たい作品やみんなが「これ、日本での上演は無理だろう」と思う作品をうちが結局やることになったりね(笑)。

うちの作品はみんなそれぞれバラバラなので「ホリプロ作品」とは思われていないでしょう。むしろ「ホリプロっぽいよね」と言われたら危険ですね。中には『パレード』や『スリル・ミー』のような作品をホリプロっぽいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんし、また一方で「何故、劇団四季っぽい作品をホリプロがやるのか?」と思う方もいらっしゃると思います。僕は「〇〇っぽい」と思われてはいけない、常に真逆のことをやるんだという気持ちでいたいです。だって、もし『メリー・ポピンズ』みたいなハッピーなものばかりやっていたら、きっと社員も『メリー・ポピンズ』が好きな人しか入社してこなくなるでしょう?そうなるといろんなことが逆にできなくなってしまうんじゃないかと危惧するんです。

ホリプロは音楽からスタートし、成長した会社です。ラジオからスターを生む、テレビからスターを生む、そして演劇からもスターを生む…そのいちばん最初が藤原竜也だったんです。そうなると次は演出家のスターを、そしてスターな作品を生み出すことが究極の目的なんです。

 

 

■『ビリー・エリオット』と『ピーターパン』の共通点

 

今年上演39周年を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーターパン』

スターを生みだす、という話から『ビリー・エリオット』や『スクール・オブ・ロック』で未来のスターを育てるなんてそんな余裕は実は一切ありません(笑)。とにかくいちばんその作品にマッチした子で舞台をやってほしいだけ。その舞台を観た子どもが次のビリーをやりたいと思ってくれたり、『スクール・オブ・ロック』を観に来てくれた子が音楽に興味を持ったりバンドをやろうと思ってくれたり、そういうことが大事だと思うんです。そこでスターになる、ならないは本人の努力もありますし環境もあるでしょうから。

時代をすごく遡りますと『ピーターパン』は榊原郁恵をアイドルからファミリータレントにしたかったと言う明確な目的がある舞台でした。『ピーターパン』と『ビリー・エリオット』はもう明らかに目的が違うんです。『ビリー・エリオット』は怪人も出てこないし殺人事件も起こらない、革命も起きないし誰も死なない。それなのにものすごく感動します。ビリーが暮らすあんな町があったらいいなと感じたのは、日本からあんな町が消えていたことに気づいたからかもしれません。元の映画を観たとき「なんていい話なんだ」と思っていたのですが、エルトン・ジョンがこの作品をミュージカルにすると聞き、これに手を出さない理由がないと考え上演権を得ました。

子どもが強くなっていき、そして大人も強くなっていく。これって『ピーターパン』と構造は一緒なんです。関わる全員が成長する話。『メリー・ポピンズ』もファンタジー強めですが、『ピーターパン』とベースにあるものは皆同じだと思っています。

 

2018年上演『メリー・ポピンズ』舞台写真

 

 

■演劇はジャーナリズムでなければならない

 

以前上演したミュージカル『パレード』ですが、あんな重たい内容の作品が当たるとは思っていませんでした。はじめ空席が目立っていたのに、最終的にはお客さんがお客さんを呼んでチケットが取れなくなるくらい満席にしてくれました。ああいう題材を真剣に考える世の中になったという事だと思いましたね。

僕は「戯曲は文学で、演劇とはジャーナリズムだ」、そうでなければいけないと思うんです。『メリー・ポピンズ』のような楽しい作品も当然やりますが、一方で、心臓にナイフを突き立てて抉る作品を見せて、お客様に考えさせることもやらなければいけないと思うんです。いわゆるチャレンジングな作品や「さあ、どうだ!」というものもやらないとダメだと思うんです。エンターテイメントって普段の生活で相当泣いている人でないと笑えないし、毎日笑っていられる人は多分劇場には来ないと思います(笑)。何かに泣いたり耐えている人が芝居を観て笑ったり、権力や世の中に対して文句がある人がおどろおどろしい作品を観てスカッとしたりする。そういうお客さんの心情と社会の風潮と合致したときに馬鹿みたいに大当たりする作品が生まれるんだと思います。

 

2017年上演『パレード』舞台写真

 

■海外に人材と作品を連れていきたい

 

『デスノート THE MUSICAL』や『生きる』など、海外に持っていける作品のカタログをあと10作以上作りたいです。ロンドンのプロデューサーなどに聞くと「どうして日本人は見た目をミニマルにするんだ?」と言われます。ミニマルにしたい舞台だったらドイツ演劇の方がよっぽど面白いよ!とも。

 

 

蜷川幸雄さんがすごかったのは冒頭の3分でものすごいもの、ぶっとぶようなビジュアルを出してくる。それでいてシェイクスピアをやったりギリシャ悲劇をやったりするから想像を絶する日本的なスケールの大きさが海外で受け入れられたんだと思います。蜷川幸雄という人は30年以上たった一人で「クールジャパン」をやってきた人なんです。しかもその後続と呼べる人材がまだいない。蜷川幸雄という名前だけで世界中の劇場が「うちにも来てくれ!芝居をやってくれ」と言ってくれて、日本人ではなく現地の人たちだけで劇場を満杯にすることができたんです。僕らは蜷川さんにくっついて海外とのシンジケーションを作ってきました。

このシンジケーションがまだあるうちに次の海外に通用する人を連れて行かないと、と思っています。もちろん向こうに連れて行けば赤字になるのはわかっていますから、日本で目一杯稼いで手にしたお金を海外で全部捨てて帰ってくる位の気概でやらないと。そういった事はよその会社ではやり辛い。今それができるのはホリプロくらいかなと思いますし、ホリプロも僕がいなくなったらもっと堅実な経営の形にすると思うのでそういったことができなくなるかも知れない(笑)。

また、ホリプロの他の部署がうまくいってる時じゃないとできない話でもあります。だからこそ今しかチャンスがないと思っているんです。

 

故・蜷川幸雄が演出を手がけ今年5月パリ公演を行った『海辺のカフカ』。東京公演は5月より上演。

 

 

■演劇で食っていける構造にしたい

 

昔ながらの演劇界はみんながすごく貧乏しながら作品を作っていました。それを否定しているわけではないのですが、貧乏を覚悟している事が続いている状態が本当にいいのか、芝居で飯を食っていこうという人が儲からない構造でいいのかと思うんです。そういう点ではどちらかというと劇団四季さんに近い考え方だと思っています。演劇だけでみんなが食っていける、もっと欲を言えば金持ちになれる構造を作りたいです。

 

 

ロンドンやニューヨークにはそういった構造があるんです。一作品で3000億円とか4000億円とか興行収入を出せる作品だってあるんです。でもそれはロングランができたり、自前の劇場があったりすることで成り立っているんですが、残念ながらホリプロには専用の劇場もないし、劇団でもない。1ヶ月以上借りることができる劇場もほとんど無い。言うなればベンチャー企業を毎月作っている感じなんです。だから一作ごとの労力と終わった後の疲弊感が半端じゃないですよ(笑)。それなのにそこまでやっても何の利益も生まないとか、社員やスタッフがチケットを手売りでやっているのであれば、いっそやらない方がマシだと思っています。

 

■人が集まる「場」としての劇場を作りたい

 

独自の劇場を持ってみたいと言う気持ちはずっと昔からありますが、かといって土地から買うお金はありません。だから公共事業や再開発などで何か人を集めたいと思ってる方がいれば、駐車場の一角だけでも貸してくれるならプレハブで劇場を立てますよ。でもそれはうち一軒だけじゃダメなんです。いろいろな団体がそれぞれに劇場を作らないとね。4軒建ったらオフィス以外の人たちが8000人は集まりますから。そこまで考えるようなデベロッパーさんがいれば一緒にやりたいと思います。

 

 


 

堀義貴(ほり・よしたか)

株式会社ホリプロ代表取締役社長。1966年6月20日生まれ、東京都出身。1989年株式会社ニッポン放送入社を経て、1993年ホリプロ入社、2002年代表取締役社長就任。

Twitter @horishachou

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