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『ファインディング・ネバーランド』連載コラム|【第3回】ケンジントン公園 ピーターパンに会いたい?─それなら、あそこにいかないとね─(文=福田剛士)
2023年2月9日(木)
ピーターパンに会いたい?
─それなら、あそこにいかないとね─
ケンジントン公園をつらぬく大通り。
ロンドンの真ん中に、広大な庭園がある。その名も「ケンジントン公園」だ。英国王室のケンジントン宮殿もあり、柵に囲まれ、夕方から翌朝六時まで立ち入り禁止となる。
ただ。百年ほど前、管理者のケンブリッジ公から鍵を渡され、いつでも出入り自由な人物がいた。ジェームズ・マシュー・バリだ。この自然に囲まれ、バリはデイヴィス家の少年たちと『ピーターパン』を生み出した。この公園を一躍有名にしたバリの功績を称えて鍵を渡したという。それから、あまりにもバリの存在が知られてしまい、我が子を売り込みたい(?)親からつきまとわれるのを、防ぐ意味もあったようだ。
ワンちゃんと一緒に、公園を訪れる人も多い。
ともあれ、ケンジントン公園。市民の憩いの場として、今なお健在である。その日は、冬枯れの朝に訪れた。ジョギングの人々が、すれ違っていく。飼い犬が、ご主人の後先になって走ってゆく。あるいは、ベビーカーの夫婦も多い。ある夫婦に訊ねると、この緑豊かな公園は絶好の散歩コースとのこと。さもありなん。
リスたちが、木から木へ移動して、それに気づいた飼い犬が追う、なんてシーンにも出くわした。
バリが創作にふけったというベンチが、いたる所に設置されており、真直ぐな大通りを抜けてゆくと、大きな丸い池に突き当たった。白鳥やら黒鳥が群れをなしているのは壮観である。ちなみに、彼らは国王陛下の所有物との由。
ケンジントン公園のベンチ。
バリの台詞通りの「理想的な木の下にある理想的なベンチ」。
ラウンド・ポンド(丸い池)には水鳥がいっぱい!
遠目にケンジントン宮殿を眺めつつ、さらに進んでゆくと、お目当ての場所に到着した。そう、ピーターパンの像だ。バリが制作依頼をしてから百年が過ぎた。今も、笛を吹くピーターが、人々を見おろしている。そこで行き会った老夫婦が、ニッコリとピーターパンを見あげて教えてくれた。「もちろんピーターは、大好きだよ」と。
ケンジントン公園のピーターパンの像。 バリ自身が制作を依頼した。
ピーターパン像の台座にいる妖精。
公園をさらに歩んでゆくこと三〇分。いつの間にか、「ハイド・パーク」という公園に変わっていた。この公園に接するのが、「サーペンタイン・レイク」という人工池だ。何を隠そう、ピーターパンの棲む小島が浮かんでいるのだ。この日は、ネバーランドにいるのか、ピーターは留守のようだった。
サーペンタイン・レイクに浮かぶ小島。ピーターパンが棲む島。
ところで、このハイド・パークには、冬の名物が現れる。「ウィンター・ワンダーランド」という遊園地である。サーカスに大観覧車、ジェット・コースターとアトラクションが満載である。今年の冬に訪れたら、また寄りたいものだ。サンタさんにも会えるよ。
ウォルター・アンプルビーさんとジル・アンプルビーさんご夫妻(取材日:2023年1月2日)
Q:よくケンジントン公園へ来られるのですか。
ジルさん:私達の自宅はここから3マイル半(5.6km)も離れているけど、よく散歩に来るのよ。今日は2人だけど、孫と一緒の時もあるわ。小さい子供達を遊ばせるにも、ちょうど良くて。
(『ファインディング・ネバーランド』のポスターを見て、)俳優の皆さんのコスチューム、クラシックでとても美しいわ。
ウォルターさん:この公園はとても広いから散歩コースは無数にあるけど、僕達はよくこのルートを通るんだ。それはもちろん僕達もピーターパンが好きだからだよ。いくつになってもそれは変わらない。年齢は関係ないんだ。このポスターもらえるの?OH、サンキュー! 気に入ったので、とても嬉しいよ!
4人家族のお母さん(取材日:2023年1月2日)
Q:ケンジントン公園は、あなたにとってどのような場所ですか。
まさにリフレッシュできる空間ね。ここは空気も良いし、美しくて楽しい公園でしょ。子供を連れてくるのにとても良い場所なの。私達は近くに住んでいるから、週に1度は訪れるわ。
第4回:デューク・オブ・ヨーク劇場 演劇に、どっぷり浸ろうよ ─ようこそ、ロンドンの劇場街へ─ は2/14公開予定。
【公演概要】
ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』