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新生デスミュへの道 Vol.4~台風一過の“取材日”ドキュメント
2019年11月6日(水)
9月中旬以降、各媒体に続々と掲載・放映され始めている村井良大、甲斐翔真、髙橋颯のインタビュー記事や映像。目にした方も多いことだろうが、実はこれらのインタビューのほとんどは、9月上旬に設定された“取材日”に行われたものだ。奇しくもその日は、首都圏を大型の台風が直撃した日。台風自体は朝には過ぎ去っていたものの、交通機関が大幅に乱れた中での“取材日”は、なかなかにドラマチックなものとなった。
取材・文/町田麻子
■1日で30媒体! 注目度の高さゆえに…
そもそも“取材日”とは、キャストが公演を宣伝するため、媒体からの取材にまとめて応じる日のこと。取材には、本人はもちろん、メイクスタッフやスタイリストなど様々な人々の稼働が必要となる。そのため、特に『デスノート』のような取材要請の多い大型作品の場合、できるだけ1日にまとめたほうが効率的。それにキャストにとっては、1日で何人ものインタビュアーから質問を受けることで、作品や役についての考察を稽古開始前に深められるという利点があり、また共演者と交流できる貴重な機会にもなるというわけだ。
ただ、いくら1日に“まとめる”と言っても、通常は数件~十数件が一般的。それが今回はなんと、全部で30媒体という驚異的な数! しかも媒体によって、村井単独、甲斐単独、髙橋単独、Wライト、3人一緒など求める取材の形は様々で、そのうえ村井はこの日、別の作品の稽古中だったため稼働できない時間帯があった。そんな条件のなか、30媒体分の取材を組み込むのはまるでパズルのような頭脳労働だが、それもひとえに作品の注目度の高さゆえと、担当者は嬉しい悲鳴をあげながらスケジュールを組んだのだった。
その結果として、当然ながら早朝から始まるスケジュールとなったこの日、無情にも台風はやってきた。村井は車で、甲斐は自己判断により前日から宿泊していた近くのホテルから来たため、奇跡的にオンタイム到着。だが髙橋はあの異常なラッシュに巻き込まれ、1本目の取材には間に合わない事態に――。ただ、媒体側からも来られない記者や遅れる記者、逆に不測の事態に備えて早く来ていた記者がいたため、適宜順序を入れ替えることでなんとか対応。「すいませんお待たせしました!」と言いながら髙橋が猛ダッシュで駆け込んできた瞬間、その場が大いに沸いたことは言うまでもない。
■3人の人間力が光った取材風景
すぐさま取材に加わろうとする髙橋に、「ゆっくりでいいよ、まだ二人で喋っておくから」と声をかける村井に、「俺、前ノリしといて正解だった(笑)!」とおどけて和ませる甲斐。二人の優しさに助けられ、髙橋が落ち着きを取り戻したところで、本邦初となる3人での鼎談取材が始まった。その内容は実際のインタビュー記事でご確認いただくこととして、印象的だったのは3人のチームワークだ。“鼎談”と言っても、実際には「インタビュアー対ひとり」×3組のような形になってしまうことも少なくないなか、彼らはひとつの質問に対し、3人で話を回しながら答えていくのだ。わけてもやはり、「甲斐君は?」「颯君は?」とさりげなく会話をリードする、年長者・村井の気遣いとスマートさが印象に残った。
その後も様々な形での取材が続々と行われたなかで、もうひとつ特記しておきたいのは、同じ質問に対してもその時々で答え方が違っていたこと。初めて聞かれた時と2度目に聞かれた時、3人に対して聞かれた時と自分だけに聞かれた時、インタビュアーに向かって答える時とカメラに向かって答える時。また、インタビュアーの持つ雰囲気によっても自然と変わっていくのは、彼らが宣伝のための取材と割り切っているのではなく、取材を会話として楽しんでいるからだろう。役者としてだけでなく、人間としても魅力的な3人だ。
そんな彼らの人間性が最も表れていたのが、取材の合間にプロデューサーと雑談を交わしていた時の一コマ。まだ数媒体分しか終わっていないなかで、全部で30媒体あることに話が及び、さすがに疲れた表情を見せるかと思いきや、3人とも「そんなに“呼んで”いただいてありがとうございます!」と笑顔。さらには、「台風まで来ちゃって…」と恐縮するプロデューサーに対し、村井が「もう1媒体“呼んじゃった”感じですね!」と最高のフォローを見せたのだ。今出ているインタビュー記事は、タイトなスケジュールも台風もものともせず、前向きな姿勢で会話を楽しみ続けた3人の記録。どれも要チェック!だ。
★<新生デスミュへの道>連載一覧★
~特別編~ブロードウェイのクリエイター、 音の魔術師ヒロ・イイダにインタビュー
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社
【公演概要】
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
作詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
出演:
村井良大 甲斐翔真 髙橋颯
吉柳咲良 西田ひらり
パク・ヘナ 横田栄司 今井清隆 ほか
<東京公演>
期間:2020年1月20日(月)~2月9日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
主催:日本テレビ、ホリプロ
企画制作:ホリプロ
※静岡、大阪、福岡公演あり
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