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新生デスミュへの道 Vol.2~MVのレコーディング&撮影現場に潜入!
2019年8月23日(金)
先ごろ、ついに1本目が公開された新生デスミュのミュージック・ビデオ(以下MV)。動く新ライトや新エルらの姿は、来たる舞台への期待をさらに高めたことだろう。そしてこのMV、冒頭に「1本目」と書いた通り、今後2本目、3本目の公開が予定されている。6月のデスミュカンパニーが大きな動きを見せていたのは、主にこの制作のためだったのだ。そこで“Road To デスミュ”連載第2弾では、MV制作現場の裏側レポートをお届けする。
取材・文/町田麻子
■大盛り上がりのレコーディング現場
MV制作は、まずはレコーディングから始まった。トップバッターはライト役Wキャストのひとり、村井良大。彼の《デスノート》がこれまでよりも高いキーになるかもしれないことは、連載第1弾のジェイソン・ハウランドによる歌稽古レポートで報じた通り。本番でどうするかは、稽古をして決定するため未だ保留となっているが、このレコーディングはキーを上げた状態で行われた。地声と裏声が絶妙にミックスされた自然な高音で、フランク・ワイルドホーンの難曲を危なげなく歌いこなしていく村井。
順調に録り終えた彼がスタッフと談笑するコントロールルームに、2番バッターである甲斐翔真と髙橋颯が入って来た。村井と髙橋は、この時が初対面。まずはガッチリと握手を交わし、スタッフの求めに応じて3人での記念撮影が行われた。ポジションを譲り合うという微笑ましいひと幕の末に、結局村井が中央に収まったのがこちらの1枚。軽く会話を交わしたあと、村井は「頑張ってください」と、先輩らしく爽やかにスタジオを後にした。
デュエット曲をレコーディングする甲斐と髙橋は、歌稽古を一緒に積んできていることもあり、既に息ぴったり。歌唱指導のちあきしんからOKが出ても、自ら録り直しを申し出てふたりで歌い直すなど、このコンビならではの生産的なレコーディング風景が繰り広げられた。終盤のハモリには苦戦している様子も見られたが、諦めずに何度も挑戦を続けるうちに、ふたりともが「来た!」と声を上げる瞬間が。若さとフレッシュさあふれる彼らの歌声とやりとりに、コントロールルームのスタッフも大盛り上がりだ。
少し間を空けて、夕方には新死神コンビ、リューク役の横田栄司とレム役のパク・ヘナがスタジオ入り。前日の歌稽古が初対面だったふたりだが、豪快なキャラクターの横田と、本作出演に備えて既に韓国で日本語レッスンを始めているヘナとの間に、壁は感じられない。レコーディング中も、カメラを向けられると茶目っ気たっぷりに目線を送る横田。その姿は、残念ながらMVにはほぼ採用されていないが、2日後の撮影で大いに役立つこととなる。
■死神コンビは倦怠期の夫婦!?
1階には倉庫風・夢の世界風・路地裏風の3つ、2階にはカジノ風、3階には街角風と、全部で5つのセットが組まれた都内のスタジオ。丸1日がかりで行われた撮影は、主要キャスト8名が常にそのどこかでMVまたはスチール撮影、あるいはヘアメイク・衣裳替えやウェブ用のコメント撮りなどを入れ替わり立ち代わり行っているという、なんとも大がかりなものとなった。活気あふれる現場で、まずは死神コンビの姿をキャッチ。
横田が「イエッポヨ(きれい)!」と声をかけ、ヘナが「あなたも!」と応じる爽やかな再会を果たしたふたりだが、ひとたびカメラが回れば豹変。「倦怠期を迎えた夫婦みたいな感じで」というMV監督からの指示を受け、あくびをしたり睨み合ったりと、自由に遊ぶような演技を見せる。音声は当然入らないと分かっていて、「なんかおもしれぇことねーかな~!」と大声でつぶやく横田に、ヘナが凝ら切れず吹き出してしまうシーンも。
ヘナの衣裳とヘアは少しの動きで乱れてしまう繊細なものだったため、何をするにも時間がかかり、またレムにはスモークを使った撮影もあったため、風に邪魔されないよう冷房も扇風機も使えない時間があった。そんな過酷な現場に流れていたのが、2日前のレコーディング風景が早くも仮編集された映像。横田の“カメラ目線”が、ヘナやスタッフの和ませ役のようになっていたというわけだ。ちなみに、ヘナの手足に巻かれた糸や銀のマニキュアは、より死神らしくしたいという本人の提案によるもの。ヘナのプロ魂が感じられる。
■“静”の村井と“動”の甲斐ライト
そしてもう一組、Wライトのふたりもキャッチすることができた。村井はその強い目ヂカラでカメラを見つめたり、時にはニヤリと笑ったり、リンゴが用意されると掲げてみたり、また不意に放ったり…と、特に指示がなくても自ら様々な表情・仕草を繰り出していく。デスノートに文字を書き込むシーンでは、モニターで自身の姿を確認しながら「ああ、殺してしまっていますね」といたずらっぽい笑顔を見せていた。
一方の甲斐は、やはりまずはその長身が特徴的で、ゆっくりと歩を進めるとそれだけで迫力があり、ラケットを持つ姿も決まっている。だがカメラが回っていない時の彼は、笑顔が絶えない好青年。聞けばテニスのシーンは、「フォームは大事だと思って、YouTubeでフェデラー選手を見て練習してきました!」とのこと。ミュージカル初挑戦とは思えない歌唱力に加えてこの努力家ぶりと動じなさ、やはり大型新人だ。
製作発表などで披露された歌の動画より、きちんと録音・撮影したものを残したい――新生デスミュ・スタッフ陣のそんな熱い思いから制作された今回のMV。このために、オーケストラも録音し直したほどの気合の入れようだ。『デスノート』の世界観が表現できる場所を求めてロケハンを行い、決定したスタジオでできる演出をいくつも考え、検討に検討を重ねた上で完成したのがこの3本。MV監督いわく、特にこだわったのは“砂”を使った演出とのこと。3本ともが公開された暁には、ぜひ隅々までじっくり鑑賞してほしい。
▼『デスノート THE MUSICAL』2020 「ヤツの中へ Playing his Game」MV
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社
★<新生デスミュへの道>連載一覧★
~特別編~ブロードウェイのクリエイター、 音の魔術師ヒロ・イイダにインタビュー
【公演概要】
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
作詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
出演:
村井良大 甲斐翔真 髙橋颯
吉柳咲良 西田ひらり パク・ヘナ
横田栄司 今井清隆 ほか
<東京公演>
期間:2020年1月20日(月)~2月9日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
主催:日本テレビ、ホリプロ
企画制作:ホリプロ
※静岡、大阪、福岡公演あり
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