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ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』ホリプロ堀 義貴会長×梶山裕三制作部長対談

  • インタビュー

2022年10月24日(月)

2018年のトニー賞で、他候補の『アナと雪の女王』『ミーン・ガールズ』『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』を抑え10部門を独占する快挙を成し遂げたミュージカル『バンズ・ヴィジット』。
来年2023年2月に満を持しての日本上演となるが、上演権獲得の裏話などをホリプロ堀義貴会長と梶山裕三制作部長が語る。

(撮影:石阪大輔/取材:町田麻子)

 



 

――『バンズ・ヴィジット』は、ホリプロが出資してトニー賞にも輝いた作品です。お二人の頭のなかには、受賞した時点でもう日本公演のことがあったのでしょうか?


堀:
出資を決めた時点ではもちろん、いずれ日本でやりたいと思ってこの作品を選んだんですよ。でも実際にブロードウェイの舞台を観たら、いろんな言語が飛び交っていて、俳優が楽器も弾く演出ということもあって、日本ではやれないだろうと。

梶山:会長はそうでしたよね。でも僕は、ホリプロとしてこんな名誉をいただいた以上はやりたいと、受賞した瞬間から思っていました。とはいえ僕も、ブロードウェイ版のままの演出では日本人に伝わりにくいだろうと思っていたなかで、何度か向こうのプロデューサーと話すうちに、演出を日本オリジナルにしてもいいという許可が下りて。

それならば森新太郎さんの演出でと、これも許可が下りた瞬間に思いました。森さんはこれまで、非常に難解な戯曲もかみ砕いてお客さんに届けてこられた、翻訳劇の名手ですから。ミュージカルで言えば『パレード』が衝撃的でしたね。

堀:森さんの名前が挙がった時は、「なるほど」と思いました。どんな舞台になるか、まだ予想はついてないですが、うまく行ったらいいなあと思います。

 

森新太郎氏演出 2017年上演『パレード』舞台写真

 



――トニー賞の授賞式にはお二人揃って参加されたそうですが、どんな思い出がありますか?

 

梶山:参加したといっても、僕はただのアテンドです(笑)。もし作品賞を受賞したら会長が舞台に上がるわけですから、その瞬間を写真に収めて会社に報告するのが僕の役目。

それでも会場に入る以上はタキシード着用が必須ということで、お付き合いのある舞台衣裳屋さんから借りて行きました(笑)。会長は、ご自身のタキシードを持ってらしたと思うんですけど。

堀:いや、昔のタキシードは入らなかったから慌てて買いましたよ(笑)。

梶山:そうだったんですね。僕はニューヨークに着いてから、持ってきたカメラでは望遠が足りないかもしれないと不安になって、慌ててレンズを買いました(笑)。

堀:何かとお金はかかったよね。まあでも、それだけ名誉なことですから。


梶山:
僕は正直、本当に受賞するとは思ってなかったんですが、会長はどうでした?

堀:式が始まって、何部門かたて続けに獲ったあたりから、これは舞台に上がることになるかもしれないぞと。

梶山:これは余談ですが、この年のトニー賞は、ミュージカル部門で『バンズ・ヴィジット』が、プレイ部門では『ハリー・ポッターと呪いの子』が作品賞を獲ってるんですよ。どちらもホリプロでやることになるとは、運命的なものを感じます。

 

(左から)2018年トニー賞授賞式にて 主演のカトリーナ・レンクと堀義貴

 

【受賞歴】
2018年 第72回トニー賞10部門受賞
<ミュージカル部門>
ミュージカル作品賞:「バンズ・ヴィジット(The Band’s Visit)」
ミュージカル主演男優賞:トニー・シャルーブ(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル主演女優賞:カトリーナ・レンク(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル助演男優賞:アリエル・スタッチェル(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル演出賞:デヴィッド・クローマー(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル脚本賞:イタマール・モーゼス(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル照明デザイン賞:タイラー・マイコロウ(バンズ・ヴィジット)
ミュージカル音響デザイン賞:カイ・ハラダ(バンズ・ヴィジット)
<ミュージカル・演劇 共通部門>
オリジナル楽曲賞:デヴィッド・ヤズベック(バンズ・ヴィジット/作詞作曲)
編曲賞:ジャムシールド・シャリフィ(バンズ・ヴィジット)
 
<映画「迷子の警察音楽隊」(2007年公開)受賞歴>
*フランス・カンヌ国際映画祭
ある視点部門”一目惚れ”賞/ジュネス賞 /国際批評家連盟賞
*第20回東京国際映画祭 東京サクラグランプリ
*ウクライナ・キエフ国際映画祭 グランプリ/エキュメニック賞
*ドイツ・ミュンヘン映画祭 観客賞/シネヴィジョン賞
*イスラエル・エルサレム映画祭 作品賞/主演男優賞/主演女優賞/新人男優賞
*イスラエル・アカデミー賞
作品賞/監督賞/男優賞/女優賞/助演男優賞/脚本賞/音楽賞/衣装賞
*チェコ・カルロヴィヴァリ映画祭 最優秀アジア映画賞

 

 

――今の時点で、『バンズ・ヴィジット』という作品にどんな魅力を感じていますか?

 

堀:対立している国同士の間で、こんなことが実際にあったらいいなと思わせてくれる。

登場人物それぞれにストーリーがあって、一つひとつは実に些細なんだけども、お互いに親近感を持つようになるきっかけが全部に詰まってるんです。なんとも言えないヒューマニズムがあっ
て、静かだけどエモーショナルで、よくできた作品だなと思いますよ。




梶山:一切の無駄がないんですよね。そんな話に、一瞬で入り込ませてくれるのがあの音楽。ホリプロでは、同じデヴィッド・ヤズベック作曲の『ペテン師と詐欺師』も上演していますが、同じ人とは思えないくらい作風が違う。ねっとりとした、本当に力のある音楽です。

堀:だから僕は日本公演が決まった時から、役者よりもバンドのキャスティングばっかり気になっちゃってね(笑)。あのグルーヴ感をバンドが出せるかどうかがカギになると思った。

(左から)カマール(バイオリン)役:太田惠資、警察音楽隊(マルチリード)役:梅津和時、警察音楽隊(チェロ)役:星 衛、警察音楽隊(ウード)役:常味裕司、警察音楽隊(ダルブッカ)役:立岩潤三

 

梶山:国内にいるその道の第一人者の皆さんにお集まりいただいたので、そこは安心してください!

そんな物語と音楽に加えて、“笑い”も魅力の一つだと思います。元々シュールな面白さのある作品で、ブロードウェイ公演も笑いにあふれていましたが、日本版は森さんのオリジナル演出。
笑いもまた森さんの真骨頂ですから、きっとすごくいいコメディに仕上げてくださると思います。

 

――原作映画の邦題「迷子の警察音楽隊」の通り、聞き間違いでイスラエルに演奏旅行に訪れたエジプトの警察音楽隊が、目的地と違う砂漠近くの辺境の町に迷い込んでしまう物語。
ミュージカルの王道ではないとも言える独特な世界観の本作において、キャストに期待することはなんですか?


【イメージカット】左から)風間杜夫、濱田めぐみ


梶山:
濱田めぐみさんはもう、どハマリすると思いますね! 警察音楽隊を迎え入れる、現地の食堂の女主人。灼熱の太陽を浴びて、けだるく振舞ってる姿がもう見える(笑)。

僕は普段の濱田さんも存じ上げてますが、公演中はその役になり切る方なんですよ。『カルメン』の時なんて、ずっと殺気立っていて1か月間しゃべりかけられませんでした(笑)。今回も、魅力的なイスラエル人になり切ってくれると思います。

堀:彼女はどんな役でもできるからね。僕としては、『リトル・ナイト・ミュージック』でご一緒した風間杜夫さんが、またミュージカルに出てくださることが嬉しい。それと、新納慎也さんが優男のトランぺッター役と聞いた時は、また「なるほど」と思わされるものがありました。

(左から)2018年上演『リトル・ナイト・ミュージック』舞台写真 風間杜夫、大竹しのぶ



▼新納慎也インタビュー記事はこちら▼

梶山:あと注目は、やっぱりこがけんさんじゃないですか? めちゃくちゃ面白い役ですから。

堀:とぼけてる感じが、事の次第が分からずに右往左往するあの役にちょうどいいし、歌もうまいしね。

梶山:さっきも言いましたが警察音楽隊を演じられるのは本物のミュージシャンの方ですし、ほかの皆さんも個性的なキャストばかりで、本当に楽しみなメンバーです。

▼キャストコメント動画はこちら▼

 

 

――こちらも楽しみです! では最後に、今後のホリプロステージの展開について、いま思い描いていらっしゃるビジョンなどお聞かせいただけますでしょうか。

 

堀:うちは多分、「ホリプロの色はこうでなきゃいけない」っていうのがないからいいんだと思うんですよね。

だからこれからもいろんな作品があっていいんだけども、1~2年に1回はこの間の『hana(―1970、コザが燃えた日―)』のような、ジャーナリスティックなエッセンスのある作品もやってほしい。それは現場のプロデューサーたちに、いつも言ってることですね。

梶山:はい、それは肝に銘じてます。その上で僕の夢はやっぱり、もう一度トニー賞の授賞式に参加したいです。トニー賞って、演劇人が一堂に会してお互いを讃え合う、本当に素敵な空間なんですよ。

堀:ショーとしても面白いよね。プレゼンターもゲストも事前には知らされず、全部サプライズ。

梶山:会長、(ブルース・)スプリングスティーンが出てきた時に、かなり喜んでましたよね(笑)。

堀:30年ぶりくらいに生で観られたものだから、もう感激しちゃってね。いろいろとかかった費用が、急激に安く感じられました(笑)。

梶山:そんな空間に『バンズ・ヴィジット』のおかげでいられたことは、本当に夢のような体験でした。ただやっぱり、自分たちで作った作品ではない、という思いもどこかにあって。

何十年かかってもいいから、次はホリプロステージが一から作った作品であそこに戻ることを目標に、これからもホリプロらしい作品を製作し続けていきたいですね。


 



【公演概要】
ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』


<東京公演>
期間:2023年2月7日(火)~2月23日(木祝)

会場:日生劇場
主催:ホリプロ/TOKYO FM/WOWOW
企画制作:ホリプロ

<大阪公演>
期間:2023年3月6日(月)~8日(水)
―3月6日(月)17:00
―3月7日(火)13:00/17:00【貸切】
―3月8日(水)13:00
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場
お問い合わせ:梅田芸術劇場06-6377-3888(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1079/

<愛知公演>
期間:2023年3月11日(土)~12日(日)
―3月11日(土)17:00
―3月12日(日)13:00
会場:刈谷市総合文化センター大ホール
主催:メ~テレ/メ~テレ事業
お問い合わせ:メ~テレ事業052-331-9966(平日10:00~18:00)
https://www.nagoyatv.com/event/entry-33492.html



<キャスト>
風間杜夫:トゥフィーク(指揮者)
濱田めぐみ:ディナ

新納慎也:カーレド(トランペット)
矢崎 広:イツィク
渡辺大輔:サミー

永田崇人:パピ
エリアンナ:イリス
青柳塁斗:ツェルゲル

中平良夫:シモン(クラリネット)
こがけん:電話男
岸 祐二:アヴラム

辰巳智秋:警備員
山﨑 薫:ジュリア
髙田実那:アナ
友部柚里:サミーの妻
太田惠資:カマール(バイオリン)
梅津和時:警察音楽隊(マルチリード)
星 衛:警察音楽隊(チェロ)
常味裕司:警察音楽隊(ウード)
立岩潤三:警察音楽隊(ダルブッカ)

<スタッフ>
原作:エラン・コリリンによる映画脚本
音楽・作詞:デヴィッド・ヤズベック
台本:イタマール・モーゼス
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:森 新太郎

音楽監督:阿部海太郎
美術:堀尾幸男
照明:佐藤 啓
音響:井上正弘 けんのき敦
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:鎌田直樹
振付:新海絵理子
歌唱指導:石川早苗
稽古ピアノ:安藤菜々子
演出助手:伴・眞里子
舞台監督:小笠原幹夫

公式HP=https://horipro-stage.jp/stage/bandsvisit2023/
公式Twitter=https://twitter.com/bvjp_tweet #バンズヴィジット

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