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【インタビュー】新納慎也「日本のミュージカル界にとって新しい一手というか、突破口になりえる作品」/ ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』

  • インタビュー

2022年9月30日(金)

ブロードウェイで『バンズ・ヴィジット』をご覧になって、日本版でカーレド役をやりたいと立候補していたという新納慎也さんに、本作の魅力と作品への想いを語っていただきました。

(撮影:渡部孝弘/取材・文:兵藤あおみ)

 

 

観終わってすぐ、「あの役やりたい!」と売り込んでおきました

 

 

――2018年にブロードウェイで『バンズ・ヴィジット』をご覧になったとのこと。本作を観ようと思ったきっかけを教えてください。

ニューヨークに行くと、オン・ブロードウェイ・ミュージカルももちろん観るのですが、割とオフの劇場に通っちゃうんですよね。『バンズ・ヴィジット』ももともとはオフの作品で。僕の好みをよく知っている現地の友達が「もうオンに乗って大きな劇場でやっているけど、新納がオフでいつも観ているような、いい雰囲気の作品だから観ておいたほうがいいよ」と勧めてくれたので、観に行きました。

 

 

――実際にご覧になり、どんな感想をお持ちになりましたか。

すごく新しいミュージカルの形態を見せられた気がしました。僕、オン・ブロードウェイでは派手で賑やかで、いかにもお金がかかって見える“ザッツ・ミュージカル”みたいなものを観たいんですよ。

でも『バンズ・ヴィジット』は、大した事件も起こらず、静かに終わっていった。公式のコメントにも「心に優しく暖かい陽が差すような」と書かせていただきましたけど、本当にそういう感じで。「ああ、いい作品観たな」って、ジワ~と心が温まったんです。当時ソーホー(“South of Houston street”の頭文字をとって名付けられたアート地区)に泊まっていたんですけど、終演後、夜10時を過ぎていたと思いますが、何キロも余韻に浸りながら歩いて帰りました。

そういえば、Tシャツを買った記憶もある。あのTシャツどこ行ったんやろ?

 

 

 

飾り気のない、人間そのものの美しさ

 

――「中東を舞台にしたミュージカル」と聞いただけで斬新に思えます。

もとは「迷子の警察音楽隊」という、たくさん賞を獲っている素敵な映画で。僕も見させてもらいましたけど、ストーリー展開は舞台とほぼ一緒。エジプトの警察音楽隊がイスラエルの小さな町に迷い込んで地元民と交流を持つという、華やかさは一切ないし、大事件が起こったりとか誰かが死んだりとか、何も起こらない。正直「これをよくミュージカルにしようと考えたな」と思いました。でもミュージカルになったことで、より物語が心に沁み込むようになった。ミュージカルの醍醐味である“音楽の力”っていうのかな。映画を見た時よりも心を動かされました。

あとニューヨークでの僕はいち観光客であって、よそ者じゃないですか。街中で買い物なんかしている時、明らかに英語が母国語じゃない店員さんと、お互いにやっとこさの英語で喋ることがあるんですが、その体験がまんま舞台に乗っていて。自分を見ているようで可笑しくて、ゲラゲラ笑ってしまいました。あれ、日本語ではどうやるんでしょうね? 先ほどプロデューサーの方に伺ったら、まだ思案中とのことでしたが。

 

 

――特に印象に残っているシーンはありますか。

全編、心地よい中東の音楽で紡がれるのですが、一曲だけ異質な感じのものがあって。僕がやらせていただくカーレドが歌う“Haled’s Song About Love”という曲ですが、割とジャズっぽいテイストで、印象に残っています。

▼新納慎也 歌唱動画
【♪Haled’s Song About Love/新納慎也】



あと、ブロードウェイ版のポスターにもなっているヒロインのディナが歌う“Omar Sharif”。サビに入った瞬間に「来たー!」と思いました。まるでさざ波のような音楽で、歌っているディナも全然化粧っ気がないのに美しいんです。飾り気のない、人間そのものの美しさを突きつけられた気がしました。

 

▼ブロードウェイ上演版映像より

 

――カーレド役をやりたいと立候補されたそうで?

ホリプロさんが出資していることを知って観に行ったので。実際いい作品だったから絶対出してほしいと思ったし、僕がやるならトランペット(カーレド)かなと。だから観終わってすぐ、プロデューサーの方に「あの役やりたい!」と売り込んでおきました。

 

トニー賞10冠のブロードウェイ版(ホリプロも出資者の一人)が獲得したトロフィーと共に

 

――新納さんにとってカーレド役はどんなチャレンジになりそうですか。

トランペットを昨日(9月某日)から習い始めました。聞くところによるとブロードウェイでは当て振り(録音済みの音源などに合わせて楽器演奏のフリをすること)だったそうですが、一応チャレンジしてみようと思って。本番まで乞うご期待です。

あとこれは僕だけのことではなく、この作品を日本で、しかも日生劇場のような大きな劇場でやるってこと自体がチャレンジではないかなと。静かで小粒な作品でありながら、充実したストーリーや音楽でミュージカルの醍醐味を味わえる。こういうミュージカルの楽しみ方もあるんだよっていう、日本のミュージカル界にとって新しい一手というか、突破口になりえる作品だと思うんです。幅広い層のお客様に観ていただきたいし、今ミュージカルの作家を目指しているとか、若い役者さんに「こういうのもあるよ」って見せてあげたいです。

 

 

 

 

今やるべき、観るべき作品だと思います

 

――楽団の行き先を聞き間違えたカーレドのせいで警察音楽隊は迷子になってしまいます。新納さんご自身の迷子の思い出は?

僕、割と一人で旅に出ちゃうんです。あれはニューヨークだったかな、ロンドンだったかな……観たい作品のツアーが回っているからと電車に乗って郊外まで出かけて行ったんですが、夜帰って来る電車がなくなってしまって。見かけた親子連れに「帰れないんだ」と伝え、泊めてもらったことがあります。まさに『バンズ・ヴィジット』ですよ(笑)。

ここ数年、新型コロナウイルスの影響で以前ほど気軽に人助けができない雰囲気があるじゃないですか。特にパンデミック当初は身近で人が突然倒れても、感染する恐れが先に走って「大丈夫ですか」と手を差し伸べづらいような、悲しい現実があった。でも本作のヒロイン、ディナ(食堂の女主人)が違う国から来た警察音楽隊の面々を見て、間髪入れずに「じゃあ、うちとイツィク(常連客)、パピ(従業員)の家に何人かずつ泊まれば」と言う姿を見たら、ああ、人ってこう温かだったよねと思い出すはず。

また、連日ニュースが戦争について報じるなど、世界が緊張状態にある中、市井の人は普通に生活し、普通に愛し合い、普通に他国の人とも交流を持てるという、平和に向けたメッセージも描かれている。『バンズ・ヴィジット』は今やるべき、観るべき作品だと思います。

 

 

――楽隊長トゥフィーク役の風間杜夫さん、ディナ役の濱田めぐみさんなど、キャストには豪華かつ個性豊かな面々が名を連ねています。共演の皆さんに対しての印象をお聞かせください。

日本のミュージカルって僕も含め、割と見知った役者で回っているところがありますよね。

でも今回は、いわゆるグランド・ミュージカルといった大きな作品に出てる役者さんがそんなにいらっしゃらなくて――濱田めぐみさんはもちろんミュージカル界ですごく有名な方ですけれども――、これまでご一緒する機会のなかった、未知の方々と芝居することになります。すごく楽しみです。

 

左から)トゥフィーク役:風間杜夫、ディナ役:濱田めぐみ

 

――森新太郎さんの演出に期待するところは?

僕、森さんの演出する作品がすごく好きで。何度か出させていただいていますし、よく観にも行くんですけど、長年森さんの演出作品を観てきて思うのは、どんどんセットがシンプルになっているなと。

それで『バンズ・ヴィジット』を森さんが演出するって聞いた時、ブロードウェイでも「このシンプルさ?」と思ったんだから、もう素舞台でやりかねないなと(笑)。森さんってちゃんと心のある、美しい舞台を作る人なんです。きっと、このホコリまみれで洋服の汗臭さまで嗅ぎとれそうな、生活臭あふれまくってる物語からも、人間の美しさみたいなものを引っ張り出し、うまく届けてくれるはずと期待しています。

 

新納氏が出演した森新太郎氏演出  2017年上演『パレード』舞台写真

 

――最後に、来年2月の公演に向けての意気込みと開幕を心待ちにしている観客の皆さんにメッセージをお願いします!

この『バンズ・ヴィジット』は、いわゆる皆さんが今まで観てきたミュージカルみたいに、殺人などのドラマチックな事件が何も起こらないんです。だからそういう意味では期待して来ないでください。何も起こりません! まさか最後に大どんでん返し……とかもない。

でも、その何も起こらないってことが美しいな、素晴らしいなと思え、心を洗ってくれるはず。僕がブロードウェイで味わった感動を日本の皆さんにお伝えできるように、そして「やりたい」と言った役をやらせていただける幸せもかみしめつつ、全身全霊頑張って、この何もないミュージカルで皆さんの心をスパ~っと洗い流したいと思います。

ぜひ日生劇場に、そして愛知・大阪といらしてください。お待ちしています。

 

 

 



【公演概要】
ミュージカル『バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊』


<東京公演>
期間:2023年2月7日(火)~2月23日(木祝)

会場:日生劇場
主催:ホリプロ/TOKYO FM/WOWOW
企画制作:ホリプロ

<大阪公演>
期間:2023年3月6日(月)~8日(水)

会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
主催:梅田芸術劇場
お問い合わせ:梅田芸術劇場06-6377-3888(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1079/

<愛知公演>
期間:2023年3月11日(土)~12日(日)
―3月11日(土)17:00
―3月12日(日)13:00
会場:刈谷市総合文化センター大ホール
主催:メ~テレ/メ~テレ事業
お問い合わせ:メ~テレ事業052-331-9966(平日10:00~18:00)
https://www.nagoyatv.com/event/entry-33492.html



<キャスト>
風間杜夫:トゥフィーク(指揮者)
濱田めぐみ:ディナ

新納慎也:カーレド(トランペット)
矢崎 広:イツィク
渡辺大輔:サミー

永田崇人:パピ
エリアンナ:イリス
青柳塁斗:ツェルゲル

中平良夫:シモン(クラリネット)
こがけん:電話男
岸 祐二:アヴラム

辰巳智秋:警備員
山﨑 薫:ジュリア
髙田実那:アナ
友部柚里:サミーの妻
太田惠資:カマール(バイオリン)
梅津和時:警察音楽隊(マルチリード)
星 衛:警察音楽隊(チェロ)
常味裕司:警察音楽隊(ウード)
立岩潤三:警察音楽隊(ダルブッカ)

<スタッフ>
原作:エラン・コリリンによる映画脚本
音楽・作詞:デヴィッド・ヤズベック
台本:イタマール・モーゼス
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:森 新太郎

音楽監督:阿部海太郎
美術:堀尾幸男
照明:佐藤 啓
音響:井上正弘 けんのき敦
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:鎌田直樹
振付:新海絵理子
歌唱指導:石川早苗
稽古ピアノ:安藤菜々子
演出助手:伴・眞里子
舞台監督:小笠原幹夫

公式HP=https://horipro-stage.jp/stage/bandsvisit2023/
公式Twitter=https://twitter.com/bvjp_tweet #バンズヴィジット

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